WWICS/PEN 2009年9月29日ニュース
ナノ技術と合成生物学:アメリカの一般大衆は何を考えるか?
画期的な世論調査によれば、アメリカ人の10人に9人が
新らたに出現している技術についてもっと知りたいと望んでいる

情報源:Woodrow Wilson International Center for Scholars
Project on Emerging Nanotechnologies
Nanotechnology and Synthetic Biology:
What does the American public think?
September 29, 2009
http://www.nanotechproject.org/news/archive/hart4/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年10月12日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/wwics/090929_Nanotech_Synthetic_Biology.html

 【ワシントンDC】 ナノ技術(Nanotechnology )と合成生物学(synthetic biology)(訳注1)は科学的発見において最もエキサイティングな2つの分野として発展し続けているが、研究によれば、一般大衆はこの科学とその応用についてほとんど完全に知らない。ピーター D. ハート研究所と新興ナノ技術プロジェクト(PEN)による1,001人の成人を対象とした画期的な世論調査は、アメリカ人の90%は、一般大衆はこれらの先端技術開発についてもっとよく情報を与えられるべきであると考えていることを示した。

 ”歴史的に、政府と産業は、社会に変革を与えるような影響を及ぼすことがあり得る科学の発展について一般大衆に情報を提供し、また関与させることをほとんど行ってこなかった”とPENのディレクターであるデービッド・リジェスキーは述べた。”この世論調査は、よりよいコミュニケーションが必要であり、科学における我々の投資に対する約束を確実にする上で有益である”。

 よく知られたNBCユース/ウォールストリート・ジャーナルの世論調査を実施したのと同じ会社によって実施されたこの世論調査は、合成生物学について多少は聞いたことがあるという成人の割合は過去に2倍以上に増えた(9%から22%)。ナノ技術について知っている人々は(30%が多少は聞いたことがある)、2006年に調査されたレベルと比べて、昨年までほとんど増えていない。

 ”ナノ技術の一般大衆の認知は、数十億ドル(数千億円)の研究への投資及び市場におけるナノ対応製品のの増大にも関わらず、我々のプロジェクトの4年間にわたる世論調査でほとんど変化していない”とPENの主席科学顧問は述べた。”この新たで重要な技術ついてのメッセージが一般大衆に届いていないことは明らかである”。

 この調査は、応用分野が合成生物学への一般大衆の態度を形成する上でひとつの決定的な要因であることを示した。回答者の半分以上が、その応用分野の潜在的なリスクと便益について情報を与えられた後でも、もっと効率的なバイオ燃料の開発を目指す合成生物学の研究を支持した。しかし、調査の回答者は合成生物学の開発に関連する潜在的なリスクについて懸念を抱いていた。3分の2の回答さhがこの新興技術の規制を支持した。

 ”合成生物学の知っているかどうかに関わらず、あるいはリスク−便益の天秤でどのような結論に至ろうと、成人の大部分はこの研究は連邦政府によって規制されるべきであると考えている”とピーター D. ハート研究所の代表ジェフ・ガーリンは述べた。


訳注1:合成生物学(synthetic biology)


化学物質問題市民研究会
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