イギリス環境食糧地域省 2005年11月30日
人工ナノ粒子による潜在的リスクを特性化する イギリス政府第一次研究報告書 3. 粒子の性質、特性化、計測 情報源: DEFRA, 30 November 2005 Characterising the potential risks posed by engineered nanoparticles A first UK Government research report 3. Particle properties, characterisation and metrology http://www.defra.gov.uk/environment/nanotech/nrcg/pdf/nanoparticles-riskreport.pdf 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2006年3月8日 3 粒子の性質、特性化、計測 3.1 はじめに 37. 下記のための信頼性のある、価格的に入手可能で、標準化された手法が欠如している。 ・ナノ粒子のサイズと形状の測定 ・ナノ粒子の特性化、例えばその成分と表面活性 38. これらのギャップに対応することは、比較可能で、再現性があり、科学界によって許容される結果を生み出す、有意で有効な研究を実施するために本質的であり、そのことに信頼性あるリスクの特定、評価、及び管理が基づくことができる。 39. これに関連することは、曝露とハザードの調査に使用するために最も適切な粒子の測定基準を定義することの必要性である。何を測定しようとしているのか、なぜ特定の測定基準が選択されるのか、そしてどのようにして測定を実行するのかについて明確にすることが重要である。最も適切な測定基準が、異なるタイプのナノ粒子に対して異なるということがあり得る。例えば、ナノ粒子の表面積とナノチューブのファイバー径である。
40. 同時に、計測、特性化、曝露、及びハザード評価に使用するために(特に毒性学における比較のためのベンチマーク作成目的のために)サイズ、形状、耐久性、成分、及び表面活性毎に標準化され、よく特性化されたナノ粒子を確立する必要がある。特性化と計測に関与する研究所の認可プログラムの設定もまた検討する必要がある。
41. 曝露とハザード評価に関連する方法論のための研究課題はそれぞれの章で述べられている。 3.2 引火と爆発の可能性 42. その特性の詳細な理解が緊急に必要とされている、ナノ粒子によって及ぼされるひとつの特定の潜在的なハザードは火災又は爆発を引き起こす潜在的可能性である。同様な効果は、もっと大きな粒子が大気に放出され点火源となる時に観察される。イギリス健康安全局(Health and Safety Executive / HSE)[23]によって取り組まれている調査がナノ粉じん爆発危険性を高めることはほとんど確実であり、その表面積が大きいという特性のために空気への曝露によって自然発生的な可燃性を持つかもしれないことを示した。このことは酸化しやすい金属ナノ粒子に特にあてはまる。 43. 粒子に点火するために必要なエネルギーは粒子径の関数であり、またナノ粒子は高い静電荷を持っている(空気中に広がると自身が点火源となるのに十分な程度に荷電されている)ことがあるので、ナノ粒子は点火の可能性という観点からその特性を測定し理解することが重要である。ナノ粒子の凝集形成傾向がテストを難しくしているが、それは現在の手法が凝集した粒子を適切に散乱させないかもしれず、相互反応のために曝露する表面積がナノ粒子が完全に散乱した場合より小さいからである。これらのテストがナノ粒子にに対して適切であるかどうか検証する必要がある。
3.3 実施中の活動 44. 国立物理研究所(National Physical Laboratory (NPL))で、手法、調整技術、及びナノ粒子の化学的特性の開発に関する作業が、既存の大気中の自動車排出物質の研究と密接に連携をとりながら、既に開始している。 45. ナノ技術のための測定要求はまた、現在、展開中の通商産業省(DTI)の基金による様々な国家測定システム(NMS)プログラムの中で定義されている。さらに、新たな NMS 新規技術測定プログラムはマイクロ及びナノ粒子特性化に関する重要なプロジェクトを含んでいる。そのプロジェクトは、マイクロ装置によるナノ粒子検出、ナノ粒子表面の化学分析、及び総表面積の迅速測定に関する研究を含んでいる。それは段階的に規制官と産業の品質管理者のための重要な測定問題に対応するであろう。 46. 安全衛生研究所(HSL)に関連して、健康安全局(HSE)は、ナノ粒子の点火と爆発特性を測定するための手法の実行可能性を含むこの分野での特定の研究の必要性を特定しつつある。彼らはまた、大量の材料が入手できるようになる前に結果が得られるよう、現状の手法よりも少ない材料を用いる手法を開発しようとしている。 [23] HSE (2005) Explosion hazards associated with nanopowders (EC/04/03). London: HSE. |