SAFENANO 2009年8月20日
公益団体
日焼け止め中のナノ物質のリスクを警告


情報源:SAFENANO 20/08/2009
New report from public interest groups warns of risks from nanomaterials in sunscreens
http://www.safenano.org/SingleNews.aspx?NewsId=807

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年9月11日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/090820_risk_nano_sunscreens.html


 地球の友、消費者連盟、及び国際技術評価センター(ICTA)が、なぜ消費者はナノ物質を含む日焼け止めについて懸念するのかについて説明した新たな報告書『工業的ナノ粒子と日焼け止め:予防が必要な主な理由』(pdf, 492 KB)を発表した。

 二酸化チタンや酸化亜鉛のような日焼け止め成分を、白ではなくて透明にするために工業的ナノ物質が日焼け止め中で広く使用されている。これらのナノ物質は、同一組成でもっと大きな物質と基本的に異なる物理的、生物学的、化学的特性を帯びることが示されている。この報告書は、非常にわずかなナノ物質しか適切にテストされていないが、その限られた入手可能なデータは、それらの小さな粒子は肺に入り込み、細胞膜を通過することができ、損傷又は日焼けで火傷した皮膚から浸透する可能性があることを示している。

 ”ナノ日焼け止めは、安全な日焼け保護を謳っているが、我々が集めた潜在的なリスクの証拠はそうではない”と著者の一人で地球の友の健康環境キャンペイナー、イアン・イルミナトは述べた。”消費者は、日焼け止め中のナノ物質は安全性と相対的な効能について非常にわずかな証拠しか持っていないということを知らなくてはならない”。

 2007年に、消費者リポート(消費者連盟により発行されている)はナノ物質を含む日焼け止めをテストし、ナノ物質の存在と日焼け保護との間に何も関係がないことを見つけた。消費者リポートのテストは、ナノスケールの酸化亜鉛又は酸化チタンのどちらも、他の活性成分以上に明確で一貫した性能的優位性を示さなかった。

 ”ナノ粒子を日焼け止めに加えることは、特に著しい利益もなしに、不必要な潜在的リスクを我々の健康と環境に及ぼすことを意味する。なぜそのような危険をおかすのか?”と報告書の共著者で消費者連盟の上席科学者であるミカエル・ハンセン博士は述べた。

 いくつもの研究がナノ粒子の広範な生態系への放出からもたらされるかもしれない環境影響について危険信号を発している。いったん環境中に放出されると多くのナノ物質は、大気、土壌、又は水に残留し、蓄積するかもしれない。2006年のある研究は、二酸化チタン・ナノ粒子のある形状のもの(ナノ日焼け止めでよく使われている)が藻類やミジンコに、特に紫外線に暴露した後に、有毒であることを示した。藻類やミジンコは水生態系の重要な一部である。

 ”日焼け止めを含んで、ナノ物質を含むどのような製品もラベル表示が求められていない”とICTAのスタッフ弁護士ジョージ・キンブレルは述べた。”それどころかナノ日焼け止めは市場に出す前に評価も承認もいらない。我々は、もしそれらが承認されているなら、消費者が体に塗ったり家族が使用するものについて情報に基づく選択ができるよう、それらの新規な製品を政府に規制させる必要がある”。

Source: Friends of the Earth



化学物質問題市民研究会
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