SAFENANO Article 2008年6月9日
カーボン・ナノチューブ
職業暴露測定を検証する


情報源:SAFENANO Article 09/06/2008
Carbon Nanotubes - study examines occupational exposure measurements
http://www.safenano.org/SingleNews.aspx?NewsID=415

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年6月10日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/080609_safenano_occupational_exposure.html

 ジャーナル ”Inhalation Toxicology(吸入毒性)”に発表された新たな研究は、アスベストの測定に使用される手法と同様な手法を用いてカーボン・ナノチューブ(CNT)への暴露を測定する試みを初めて詳述している。リ・ジェ・ユ(Il Je Yu)教授の研究チームによる”カーボン・ナノチューブ研究施設における多層カーボン・ナノチューブ(MWCNT)への暴露の監視”とういタイトルのこの研究は、合成調合プロセスの一部であるMWCNTの製造後の回収工程及び混合工程における暴露を測定した。

 著者らは、気中ナノ濃度(数と重量)およびサイズ分布を測定するためにリアルタイム・システム(走査型移動度粒径測定器/アエロダイナミック・パーティクル・サイザー SMPS / APS)を用いたが、酢酸セルロース・フィルター上のサンプルを収集し、透過電子顕微鏡を用いて分析することによって繊維状の構造の濃度を測定した。MWCNTとして特定されたアスペクト比(縦横比)が3以上の全ての対象が計数され測定された(長さと径)。  混合工程において明らかに高い繊維濃度が検出されたが(最大 194 fibres/cc)、これは現在の繊維許容限度TLVs(アスベスト0.1/cc)をはるかに超える。しかし、著者は、従来の計数手法がとられた場合には長さが5μmより短い全てのMWCNTは計数から除外されべきであろうと報告している。額面では測定された繊維の全ては、繊維病原性のために十分な長さであるとしてポランドらにより先週測定されたもの(15μm)より短い。プロセスを隔離する管理アプローチがとられた場合、繊維濃度は 0.1/cc以下に低下した。

 この研究は混合工程のようなプロセスでは、高いカーボン・ナノチューブ気中濃度が生じることがありえることを示している。さらに、そのような暴露は、従来の繊維計数技術と同様な手法を用いて評価することができることを実証している。繊維の長さが懸念を引き起こす長さより短いというケースが常にあるわけではない。この研究はMWCNTが扱われている施設では効果的な暴露管理が必要であることを明確に示している。

Inhalation Toxicologyの論文にここをクリックしてアクセスできる。



化学物質問題市民研究会
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