Particle and Fibre Toxicology 2019年6月24日
自然発症高血圧ラットの二酸化チタンナノ粒子への 亜慢性暴露は心構造と機能を変える アブストラクト ステファノ・ロッシ (イタリア・パルマ大学)他 情報源:Particle and Fibre Toxicology, 24 June 2019 Subchronic exposure to titanium dioxide nanoparticles modifies cardiac structure and performance in spontaneously hypertensive rats - Abstract By Stefano Rossi (University of Parma), et al. https://particleandfibretoxicology.biomedcentral.com/ articles/10.1186/s12989-019-0311-7 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2019年7月2日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/pft/190624_ Subchronic_exposure_to_titanium_dioxide_nanoparticles.html アブストラクト
背景 遺伝的、環境的、及び生物学的要因の結果であるとされる非感染性疾患により毎年 4,000万人が死亡しており、それは世界の全ての早死の概略 70%に相当する。工業ナノ粒子(NPs)が心機能に影響を及ぼすかもしれないという可能性は、工業ナノ粒子(NPs)を主要な公衆健康の懸念としてのみならず、職業上の危険(occupational hazard)として認められてきた。志願者によって定量化することには問題がある。我々は最近、最も多く製造されている工業ナノ物質のひとつである二酸化チタンの吸入は、心細胞との直接的相互作用により、正常血圧のラットの心興奮を急性的に高め、不整脈原性を促進することを発見した。我々は、そのような状況は高血圧のような潜在的な心血管障害により悪化させられると仮説を立てた。 結果 我々は、毒性学的、免疫学的、身体的、及び遺伝学的分析に関連した心機能測定の組合せを使用して、二酸化チタン NPs に 6週間暴露させた自然発症高血圧ラット(SHRs)の心臓の電気機械的機能を監視した。 無線遠隔測定の心電図(ECG)記録装置及び多誘導心外膜電位マッピング装置が、不整脈の傾向だけでなく、心房興奮伝達時間が著しく増大したことを明らかにした。ナノ粒子投与の第3週に肺と心臓の組織は、増大した炎症性サイトカインレベルと脂質過酸化反応を皮切りに、非適応性の不可逆的構造的な再構築をし、その結果、主要な線維症を進行させる心臓遺伝子の発現増加をもたらした。暴露させていないコントロール・ラットに比べて心臓血行動態は悪化し、線維性組織の著しい蓄積が生じたが、暴露の終わりに自発的な不整脈の発症の多くはなくなった。粒子線励起 X 線分析及び微細構造的分析により明らかにされるような明白な蓄積ではないが、二酸化チタンナノ粒子は心臓組織中で定量化された。 結論 高血圧症と吸入ナノ粒子の共存は、潜在的に心不全をもたらす心構造疾患に関連する不可逆的な血行動態の障害を誘引する。時間依存の暴露は、ナノ粒子に日々暴露している高血圧症対象に考慮される必要のある復帰不能点を示している。 |