NOETB 2017年12月13日
世界保健機関(WHO)
工業ナノ物質の潜在的なリスクからの
労働者の保護に関するガイドラインを発行

リン L. バーガソン及びカルラ・ N. ハットン

情報源:Nano and Other Emerging Technologies Blog, December 13, 2017
WHO Publishes Guidelines on Protecting Workers from Potential Risks of Manufactured Nanomaterials
By Lynn L. Bergeson and Carla N. Hutton
https://nanotech.lawbc.com/2017/12/who-publishes-guidelines-
on-protecting-workers-from-potential-risks-of-manufactured-nanomaterials/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2017年12月24日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/171213_NOECTB_WHO_Publishes_
Guidelines_on_Protecting_Workers_from_Potential_Risks_of_Manufactured_Nanomaterials.html


 2017年12月、世界保健機関(WHO)は、工業ナノ物質の潜在的なリスクからの労働者の保護に関するガイドライン(WHO Guidelines on Protecting Workers from Potential Risks of Manufactured Nanomaterials)を発行した。WHO は、工業ナノ物質(MNM)の潜在的なリスクから労働者を保護するための最良の方法を勧告するガイドラインを開発した。WHO によれば、その勧告は、政策策定者と労働安全衛生の分野の専門家が職場における MNMs に特化した潜在的なリスクに対する最良の保護について意思決定するのに役立てることが意図されている。ガイドライン開発グループ(GDG)は、指針原則のひとつとして、階層制御だけでなく予防的アプローチを用いた。GDG は、工業ナノ物質(MNM)の有害健康影響の防止に下記のことが最良であろうと考えている。

  • ナノ物質を特定の毒性を持つ工業ナノ物質(MNMs)ファイバー状 MNMs、及び粒状生体内残留性 MNMs にグループ化すること
  • 工業ナノ物質(MNMs)の特定の健康及び安全問題に関して労働者を教育し訓練すること。
  • リスク評価及び管理の全ての局面で労働者を関与させること。
 全ての重要な問題について、現在の科学水準の体系的なレビューが、ガイドライン開発のための WHO ハンドブックの中に提示されているプロセスにしたがって勧告するよう委託されている。その勧告は、科学的証拠、価値及び好み、並びに勧告に関連するコストに依存して、”強”又は”条件付き”として重み付けられる。全ての勧告はガイドライン開発グループ(GDG)内での合意に基づいてなされた。勧告は下記を含む。
  • 工業ナノ物質(MNMs)の健康ハザードを評価すること。
  • 工業ナノ物質(MNMs)への暴露を評価すること。
  • 工業ナノ物質(MNMs)への暴露を管理すること。
 証拠の欠如のために、すでに使用されている既存の健康調査プログラムを超えて、目標とされる工業ナノ物質(MNMs)の特定健康調査プログラムのための勧告をすることはできないとガイドライン開発グループ(GDG)は述べている。

 ガイドラインによれば、ガイドライン開発グループ(GDG)は労働者を訓練すること及び最良の実施であるべき健康と安全問題への労働者の関与を考慮しているが、利用可能な調査が欠如しているので、労働者の訓練のひとつの形又は労働者の関与のひとつの形を勧告することはできない。ガイドラインは次の様に述べている。”検証された測定方法及びリスク評価にはかなりの進展があることが予測される。したがって、ガイドライン開発グループ(GDG)は、今後 5年で、すなわち 2022年までにこれらのガイドラインを更新することを提案する”。



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