The Innovation Society Ltd. 2017年3月15日
二酸化チタンナノ粒子は
小腸の細胞に影響を及ぼす


情報源:The Innovation Society Ltd. March 15, 2017
Titanium dioxide nanoparticles influence small intestine cells
http://innovationsgesellschaft.ch/en/
titanium-dioxide-nanoparticles-influence-small-intestine-cells/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2017年3月30日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/
170315_IS_Titanium_dioxide_nanoparticles_influence_small_intestine_cells.html


 農薬、加工食品、栄養補助食品のような製品からの二酸化チタンナノ粒子の摂取は避けることができない。消化管は体と外部環境とのインターフェースであり、重要な栄養吸収の場所である。モデルを使った研究の結果は、腸の上皮細胞(intestinal epithelial cells)は一般的に食品から摂取されるナノ粒子により、機能レベルで影響を受けることを示している。

 この研究の目標は、小腸上皮の試験管内(in vitro)細胞培養モデルを用いて、30 nm の TiO2 ナノ粒子摂取の影響を検証し、TiO2 ナノ粒子への急性及び慢性暴露が、腸のバリア機能、活性酸素生成、炎症誘発シグナリング、栄養吸収(鉄、亜鉛、脂肪酸)、及びブラシ縁膜酵素機能(腸のアルカリホスファターゼ)にどの様に影響を及ぼすかを調べることであった。

 Caco-2/HT29-MTX 細胞培養モデルを、TiO2 ナノ粒子の生理的に妥当な用量で、急性(4時間)又は慢性(5日)暴露させた。

 TiO2 ナノ粒子への慢性暴露により、腸のバリア機能は大幅に低下した。

 TiO2 ナノ粒子への暴露後、活性酸素(ROS)生成、炎症誘発シグナリング、及び腸のアルカリホスファターゼの活性はすべて、増大を示した。

 TiO2 ナノ粒子への暴露後、鉄、亜鉛、脂肪酸の搬送は、大幅に減少した。

 搬送の減少は、ナノ粒子暴露は腸の上皮細胞にある吸収性微絨毛(びじゅうもう)の減少を誘発するからである。栄養搬送たんぱく遺伝子発現もまた変更されたが、これは、ナノ粒子摂取によりかく乱された搬送メカニズムを調整するよう細胞が作用していることを示唆している。

 全体としてこれらの結果は、腸の上皮細胞は一般的に食品から摂取されるナノ粒子への生理的に妥当な暴露により、機能的レベルで影響を受けることを示している。

原論文:Titanium dioxide nanoparticle ingestion alters nutrient absorption in an in vitro model of the small intestine" (ScienceDirect)
原画:pixabay


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る