Firehouse.Com News 2012年4月24日
ナノテクノロジーは消防隊員に危険をもたらす

情報源:Firehouse.Com News, April 24, 2012
Nanotechnology Spells Danger For Firefighters
By Ed Ballam, Firehouse.Com News
http://www.firehouse.com/news/10705138/nanotechnology-spells-danger-for-firefighters

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2012年5月8日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/120424_Nano_danger_for_firefighters.html


 消防隊員や関係者は、煙が彼等の健康に有害であることは何十年も前から知っているが、最近の研究は火災時に空気中に浮遊する微細粒子が考えられていたより危険であることを示している。ナノテクノロジーが広まっており、サイズが10億分の1メートルのレベルの粒子が今日、消費者製品中で使用されている。

 カナダのオタワ消防署の署長ピーター・マックブライドは、がんを引き起こす物質を含むナノテクノロジーの危険性について、インディアナポリスで開催された消防署指導員会議(FDIC)で話をした。彼は、オタワ消防署の安全管理者であり、同署の消防隊員の健康と安全に責任がある。

 彼は、繁華街の巨大なスポーツ用品店が火災で燃え、数街区に渡り酸性の黒煙が上がったのを経験してから、急にナノテクノロジーに関心を持ち始めた。数千のスキーを含むカーボンファイバーのスポーツ用品が燃えて微細粒子を放出し、それらはあらゆるものの表面に付着し、消防署支給の彼の白いSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)も例外ではなかった。彼は、SUVに付着したがんこな黒い汚れは落ちないであろうということがわかった。

 ”3回洗い、2回ラッカー・シンナーを塗ったが、汚れは落ちなかった”とマックブライドは述べた。

 安全管理者として、彼は、これらの物質が彼の消防隊員、彼等の作業衣、そして恐らく家族に及ぼすかもしれないダメージについて、懸念するようになった。

 煙は消火作業における固有の危険であることは承知しているが、彼のSUVについた汚れは正確には何なのか、そして彼の隊員たちをどのようにその危険から守ればよいのか調べたいと述べた。

 ”安全管理者は常に白黒はっきりしていなくてはならないというわけではなく、多くの灰色もある・・・”と彼は述べた。”安全でないことがあっても受け入れるが、危険であることには受け入れられない”。

 彼が見つけたことは、ナノテクノロジーによる物質が燃えると、それが危険な粒子を放出するということである。

 煙の気温的な要素は、よく知られているエアゾル、ガス、そして微粒子であるとマックブライドは述べたが、しかし新たな要素はナノテクノロジーである。

 薄型テレビや粉末コーティングが施された新たな商品のようなナノテクノロジーを利用した新たな消費者製品は、燃えたときに及ぼす健康リスクについて未知であり、よく理解されていない成分を放出する。

 そのことが、たとえ消火後の検査時であっても、彼が消防隊員に常に自給式呼吸器(SCBA)をつけるよう求める理由である。また、マックブライドが隊員たちに、作業服を有害物質であるかのように扱い、消防署に持ち帰る前に現場で洗い流し、プラスチックのバッグに入れるよう求める理由である。消防隊員たちはまた、火災の後は直ちに現場で可能な限り皮膚から付着物を洗い流し、また入浴するよう促されている。

 ヨーロッパの諸国では、消防署の居室に入る前に靴を洗い、作業服を整備するための洗い場が各消防署に設置されているとマックブライドは述べた。”ヨーロッパ人は、我々が知らない何かを多分知っているのだろう”と彼は述べた

 これらの予防措置をとることは、がんを引き起こす物質を個人の品に付着させて家に持ち帰り、隊員の家族に悪影響を与えることを軽減する事を意味すると、マックブライドは述べた。

 ”私は、ナノテクノロジーに反対するものではない”とマックブライドは述べた。”私は、既知の危険から我々自身を守るための措置を我々がとらないことに反対する”。



化学物質問題市民研究会
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