Nanowerk 2011年9月19日
二酸化チタン・ナノ粒子
魚の脳を損傷する


情報源:Nanowerk News, September 19th, 2011
Nanoparticles cause brain injury in fish
Source: Society for Experimental Biology
http://www.nanowerk.com/news/newsid=22775.php

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2011年10月2日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/110919_brain_injury_in_fish.html


(Nanowerk News) プリマス大学の科学者らは、初めて脊椎動物でナノ粒子が脳及び中枢神経系のある部分に有害影響を及ぼすことを示した。

 彼等は、塗料、身体手入れ用品、食品産業で検討されている応用などを含んで、多くの製品中で白色化剤として広く使用されている二酸化チタン・ナノ粒子にニジマスを曝露させた。彼等は、このナノ粒子が脳の一部に液胞(穴)を形成し、脳中の神経細胞を死に至らしめることを発見した。ナノ粒子のいくつかの影響は培養細胞中及び in vitro で今までに示されていたが、生きた脊椎動物で確認されたのは初めてのことである。

 この結果は、ロンドンの王立協会で開催される「ナノ粒子及びナノ物質へ及ぼす環境影響に関する第6回国際会議(9月21日〜23日)」で発表されるであろう。

 ”この研究の段階では、これらの影響がナノ粒子が脳に侵入したことにより引き起こされたのか、あるいはナノ粒子の化学的特性または反応性による二次的影響なのかは定かでない”とこの研究の指導科学者であるリチャード・ハンディ教授は述べている。

 ハンディ教授の研究結果及びナノ粒子の生物学的影響を調査している他の研究者等の結果は、ナノ物質からの環境保護と安全性に関する規制政策に影響を与えるかもしれない。

 ”これらのナノ粒子により引き起こされた魚の脳に及ぼす影響は、例えば水銀中毒のような他の物質によるものと類似するところがあることが心配であり、ひとつの懸念はナノ物質が生物蓄積し、野生生物や人に対して進行性の又は残留性のハザード(有害性)を及ぼすかもしれないということである”とハンディ教授は述べている。

(出典:Society for Experimental Biology)



化学物質問題市民研究会
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