NHI 2011年9月9日
ナノ労働者の保護に混乱
UCSBの調査が示す

ギネス K. シャウ

情報源:New Haven Independent, September 9, 2011
Survey Shows Confusion On Protecting Nano Workers
by Gwyneth K. Shaw
http://www.newhavenindependent.org/index.php/archives/entry/
survey_shows_confusion_on_protecting_nano_workers/#


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2011年11月14日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/110909_NHI_Protecting_Nano_Workers.html


 超微小粒子の物質が製造業で使用されることが増えているが、会社は労働者が目に見えない危険に曝露する可能性についてどのように対処しているのか?

 カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の研究者等のグループが調査結果を示した。彼等は国際的な会社について調査を行い、職場の安全な状況はまだ完全には確立されていないことを発見した。

 UCSBの社会学博士課程の学生キャアサンドラ・エンゲマン(Cassandra Engeman )は、先月の第5回ナノテクノロジー労働安全衛生に関する国際シンポジウムで研究グループの調査結果を発表した。

 調査サンプルは比較的小さいが、参加した78社はの回答は、ナノ粒子を扱っている会社は、それらの物質を扱う労働者を保護するための正しい方法について、あるいは彼等がどのように曝露しているのかについてまだ確信を持っていない。

 エンゲマンの研究への協力者は、同校の関連施設であるナノテクノロジー環境影響センター、及び国家科学基金(NSF)によるナノテクノロジー社会センターの研究者 Barbara Herr Harthorn、Patricia Holden、Lynn Baumgartnerらである。

 エンゲマンは、87%の会社が、産業界ではEHSとして知られている環境的健康と安全に関わる基本的なプログラムを持っていたと述べた。ほぼ半分がナノ専用のEHSプログラムを持っていた。しかし、13%が安全プログラムは全く持っていないと報告された。

 60%以上の会社が職場のナノ粒子を監視しているとエンゲマンは述べた。しかし、研究者らが潜在的な汚染にどのように対処するかについての詳細を質問すると、彼等は混乱した回答を得た。多くの会社は、掃き掃除又は掃除機による吸い取りのような方法を用いていると答えたが、それらはむしろナノ粒子を空気中に拡散する。

 この調査は、ナノテクノロジー職場の安全にたどり着くにはまだ遠い道のりがあることを示していると、エンゲマンは述べた。労働者の見解は、”議論の中にない”と彼女は述べ、会社が述べた実施方法が最も有用であるかどうかについて多くの疑問が残っているとしている。

 ナノテクノロジーは新たな製品を作り出すために超微細粒子(ナノメートルは10億分の1メートル)を利用している。これらの物質は、バイクの車体を軽く強靭にし、サンスクリーンは肌でもっと透明にし、命を守る医療機器や薬品を作ることができる。

 ナノテクノロジーは広い適用範囲で多くの可能性を持つことが認められている。しかし、小さくなったこれらの物質はその特性を変える。科学者らはこれらの変化が、なぜ、どのようにぜ起こり、危険をもたらすのかどうかについて、調べている。

 ほとんどのナノ物質について公式の規制がない中で、この種の情報の収集は重要である。超微細粒子の工業的製造は、骨の折れるプロセスであり、しばしば、水などの資源を多量に使用し、排水やその他の廃棄物が懸念をもたらす。

 職場の安全は、ナノ粒子に関連する潜在的なリスクを把握するための大きな取り組みの中の重要な一部となっている。国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、大学の研究者らと同様に、労働者の保護に関して製造者と協力して取り組んでいる。UCSBの調査は、会社がNIOSH及びその他の機関による勧告を採用するかどうかに関する懸念には正当性があることを示している。



化学物質問題市民研究会
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