ノルウェー技術委員会 2009年6月25日
事業者にナノ物質の使用を申告するよう求める

情報源:Norwegian Board of Technology , June 25, 2009
Businesses asked to declare use of nanomaterials
http://www.teknologiradet.no/FullStory.aspx?m=3&amid=7830

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年8月1日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/europe/090625_Norway_nano_product_register.html


 ノルウェー汚染管理局(Norwegian Pollution Control Authority (SFT))はノルウェーの事業者に化学製品中のナノ物質の使用を報告するよう求める制度”を設立する。これはノルウェー技術委員会の勧告と合致するものである。

 現在までのところ、我々はノルウェー市場のナノ物質の監視ができていない。SFTの取り組みは、労働者、消費者、及び環境の保護を可能とするであろうと技術委員会のディレクターであるトーレ・テノウは述べている。

 化学製品中のナノ物質についての情報は、SFTにより管理されている”ノルウェー製品登録”への別項目の申告として統合されるであろう。

 ”製品登録”はナノ物質の安全な取り扱いに向けて期待されるツールである。もし、あるナノ物質に問題があるとわかった場合、この”製品登録”は、どこでそれが使用されているのかを我々が知り、適切な措置をとることを可能にするであろうとテノウは述べている。

革新的な取り組み
 製品登録の取り組みは国際的にもひとつの模範となる見込みがあるとテノウは言う。彼は、化学物質の登録を含み、また原則としてナノ物質にも適用されるEUのREACH規則に言及する。しかしこれは製造又は輸入される物質を目標としている。新たな取り組みは、物質が化学製品の形で実際にどのように市場に出され使用されるのかに焦点を当て、REACHを補足するものである。

 しかし、いくつかの課題、特に何を申告するかについて課題がある。

何を申告するのか?
 この制度は、厳格に義務的ではない。それには理由があるが、この点は明らかに弱点であるとテノウは言う。

 第一に、何がナノ物質であるとみなされるべきか不明確である。ひとつの例は天然鉱物から製造されるナノ粒子である。会社はその場合、そのナノ粒子は親物質と等しく、特別の注意を払う又は新たに製品登録するに値しないと仮定することができる。

 真実は粒子の特性は新たな性質を帯びるかも知れないが、我々はそれを見過ごすことを恐れるとテノウは説明する。

 製品に重大なリスクが特定された場合にのみ申告する法的な責任が生じる。短期的にはこの基準に該当するナノ物質は少ないであろう。

 このことは、リスクがないことを意味するわけではないが、ナノ粒子の挙動と影響について非常に多くの知識のギャップがあるので、それらはなかなか注目されることがないとテノウは警告する。

REACHの限界

 テノウはこれらの弱点と可能性ある解決を説明するために再びREACHに言及する。

 ノルウェーの取り組みは大きくREACHに依存している。リスク評価のための、そしてそれによって、証拠を集めるための基準を設定するのがREACHである。もし、ナノ粒子がリスク評価により拾い上げられるなら、それは、それらが”製品登録”に登録される価値があるかどうかを含めて、我々がそれらを安全に取り扱うために必要とする知識を生成するものである。

 多くの報告書が、ナノ粒子に関して、特にそのような粒子は新規物質して特定されるのかどうか、したがってリスク評価の引き金となるのかどうかに関して、REACHの限界を指摘している。さらに、REACHの下での義務は1トンという閾値以上製造又は輸入される物質に適用される。そのような重量ベースの閾値は適切ではないとテノウは警告する。

 ノルウェー技術委員会は、実現可能な限り早く義務的な制度にすることを主張している。しかし、産業界にはこの取り組みを直ぐに取り入れるのに良い理由がある。製品登録は産業がその活動を監視し、彼らが製品を安全に取り扱うのに役に立つ良いパートナーとなっているとテノウは言う。

 この制度が成功するよう、技術委員会は、SFTがすでに現在持っているこの制度は義務的なものになるであろうという意図を発信することを勧告する。さらに、この制度には指針と助言を添えるべきである。さらに、、ナノ粒子がどのように扱われるべきかを学ぶために、ナノ粒子についての基本的な知識を生成するための取り組みを急ぐ必要がある。

技術委員会からの勧告
 2008年に、ノルウェー技術委員会はナノ粒子の知識と管理を改善するためのステップを特定するための専門家部会を設立した。専門部会の勧告を含む報告書の非公式な抜粋はここから見ることができる。

Contact
Project manager Jon Magnar Haugen, (0047) 23 31 83 17
Director Tore Tennoe, (0047) 23 31 83 08


訳注:関連記事
Nanotechnology Law Blog 2009年7月8日 ノルウェー 事業者にナノ物質の存在を報告するよう求める



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