欧州委員会プレスリリース 2008年2月8日
欧州委員会 ナノ科学及びナノ技術の
責任ある研究のための行動規範を採択


情報源:EU Press Release 08/02/2008
European Commission adopts Code of Conduct
for Responsible Nanosciences and Nanotechnologies Research
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/08/193
&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年3月2日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/eu/EC_Nano_Code_080208.html


 ヨーロッパは、経済的、社会的、及び環境的に重要で肯定的な影響の可能性を持つ発展途上の分野であるナノ科学とナノ技術(N&N)の分野で先陣に立っている。しかし、これらの技術の人の健康と環境に与える影響について知識のギャップが、倫理と基本的権利の尊重に関連する問題とともに存在する。このことが欧州委員会が本日加盟国にこの分野の研究を統制するための行動規範を採択するよう加盟国に勧告している理由である。持続可能性、予防原則、参加、及び説明責任のような課題を含む7つの一般的期原則に基づき、この行動規範は加盟国が、大学、研究所、会社などを参加させ、ナノ技術の安全な開発と使用について、具体的な行動を取るよう要請するものである。

 ”ナノ技術とナノ科学は、技術を可能にし次の革命をまさにもたらすものであり、ヨーロパはこの技術の開発に輝かしい経歴を有している”と欧州科学研究委員会のジャネッツ・ポトニックは述べた。”我々の強みは彼らの責任ある開発と使用に目を向けているということにある。行動規範は、欧州委員会によって公衆協議(パブリックコメント)にかけられた後に策定されたひとつのツールであり、ナノ技術に関して提起される妥当性に関する懸念に目を向けるのに非常に容易となるであろう”。

 欧州委員会は2007年7月に行動規範について協議(パブリックコメント)にかけた(IP/07/1140)。そこで得られたコメントに基づき、本日の文書は起草された(訳注1)。それは、2005年ナノ技術行動計画の核心である統合された安全で責任あるナノ科学とナノ技術を推進するという目的と非常によく合致するものである(IP/07/1321)。

7つの原則:

意義:N&N 研究活動は、公衆に対して分りやすいものであるべきである。それらは、設計、実施、普及、使用において、基本的な権利を尊重し、個人の幸福と社会の利益のために行われるべきである。

持続可能性:N&N 研究活動は、安全で倫理的で持続可能な開発に寄与するものであるベきである。それらは、現在も将来も、人々、動物、植物、又は環境に危害と脅威を及ぼすべきではない。

予防原則:N&N 研究活動は、N&Nの成果の環境、健康、安全に関する潜在的な影響を想定し、また保護のレベルに釣り合った正当な予防措置を取りつつ、一方、社会と環境の便益の発展を促進しつつ、予防原則に基づいて実施されるべきである。

参加:N&N 研究活動の統制は、全ての利害関係者への公開性、透明性、及び情報アクセスへの正当な権利の尊重によってに導かれるべきである。それは、N&N 研究活動に関与している又はそれについて懸念している全ての利害関係者を意思決定プロセスに参加させることを許すべきである。

卓越:N&N 研究活動は、研究の高潔性(integrity of research)と優良試験所規範(good laboratory practices)を含む最良の科学的基準に合致すべきである。

革新:N&N 研究活動の統制は、革新と発展のための最大限の創造性、柔軟性、計画能力を促進すべきである。

説明責任:研究者と研究組織は、その仕事の社会的、環境的、人の健康への影響について説明責任を持つべきである。

 この行動規範はまた、下記に対し、これらの7つの原則を実施するガイドラインを提供するものである。
  • 優良研究統制(good governance of research)
  • 予防の正当な尊重
  • この行動規範の普及と監視
 ヨーロッパにおけるナノ技術に関する更なる情報は
Europe at the cutting edge of nanotechnology development (IP/07/1738) を参照のこと


訳注1
COMMISSION RECOMMENDATION of 07/02/2008 on a code of conduct for responsible nanosciences and nanotechnologies research (Brussels, 07/02/2008 C(2008) 424 final)



化学物質問題市民研究会
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