2010年5月10日欧州議会環境委員会第二読会
リスク評価を受けていないナノ食品は
市場に出すべきではない


情報源:EUROPEAN PARLIAMENT 10-05-2010
Novel foods: risk assessment for nano-foods
http://www.europarl.europa.eu/news/public/story_page/067-74271-127-05-19-911-20100507STO74257-2010-07-05-2010/default_en.htm

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2010年5月18日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/eu/100510_EP_risk_assessment_nano-foods.html

本件は欧州議会環境委員会第二読会において採択されたもので、本年7月の欧州議会総会第二読会で採決予定である(訳注1)。
同法案は本年3月に第一読会で採択されている(訳注2)。


 欧州議会環境委員会によれば、ナノテクノロジーにより製造される食品は欧州の市場に出される前に特定のリスク評価を受けるべきであり、それまではEUの新規食品リスト(1997年5月以前に上市されていなかった食品)に含まれるべきではない。
 同委員会は5月4日、ナノ食品の可能性ある健康影響が完全に評価されるまで、ナノテクノロジーを用いて製造される食品は新規食品リストから、したがってEU市場から除外されるべきであることを採択した。

 食品製造におけるナノテクノロジーのひとつの例は、果物や野菜の店頭寿命を延ばすために、ワックス様のナノコーティングである。また、注ぎやすくするためにサラダドレッシングやソースの中で使われている。欧州の会社を含む世界で最大の食品会社のいくつかは、ナノテクノロジーを食品分野で応用することを研究している。しかし、欧州委員会によれば、現在、EU市場にはナノ食品はない。

 left-leaning GUE/NGLのオランダ出身議員であり欧州議会でこの法案の推進をしているカーチカ・リオタードは、”我々はナノテクノロジーを用いて製造された又はナノ粒子を含む食品は、有効性が確認されたリスク評価を受け、安全であることが証明されていなければ、市場に出されるべきではないと主張している”。

クローン動物由来の食品に反対

 同委員会は、新規食品の認可のための提案を単純化し一元化する提案に強く賛成して採択したが、それはまた、EUでは従来消費されていなかった食品も含むことができるとしている。この報告書は7月に欧州議会の本会議で採択される。

 しかし、クローン動物及びその子孫に由来する食品の使用に反対し、欧州委員会にそれを禁止する異なる提案とするよう要求した。

 ”我々が知る限り、今日、欧州市場でクローン動物から製造された食品は存在せず、欧州議会が知りたいことは将来それがどうなるかということである”とリオタード女史は述べた。”欧州委員会は、公衆の議論もなしにこの継続する問題に関する立法を進めようとしている”。
 コストと新規性のためにクローン動物は食品に使用されていない。それらは通常、望ましい特徴を従来の繁殖法よりもっと速く家畜に導入することによってエリート動物の繁殖に役立つ最良の種に由来す動物で食品に実際に使用されている唯一の動物は、クローンの子孫である。

 ”我々は、クローンは非常に議論ある手法なのだから、クローン動物の子孫に由来する食品を排除することを望む”とリオタード女史は述べた。我々は不必要な危害を動物に及ぼすことを防止することを目指しており、もしクローン動物を食品に望まないなら、我々はまた、これらの動物の子孫を市場に出すことを望まない”。


訳注1
EP Press Release May 4, 2010 Novel foods: MEPs vote to exclude food from cloned animals

訳注2
欧州議会プレスリリース 2009年3月25日  欧州議会 ナノなど新規食品に新たな規則



化学物質問題市民研究会
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