エンバイロンメンタル・ディフェンス プレスリリース 2006年4月6日
ドイツのナノ製品 呼吸器系に問題を起こす
ナノ・リスクに対し、もっと先を見越したアプローチの必要性を示す


情報源:Environmental Defense, April 6, 2006
German Nano Consumer Product Causing Respiratory Problems
Demonstrates need for a more proactive approach to nano risks
http://www.environmentaldefense.org/documents/5206_StatementreNanoRespiratoryProblems.pdf

抄訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年5月9日


 最近、ドイツの連邦リスク評価研究所(BfR)は、ナノ粒子を含むエアゾール・スプレー製品の使用により生じる深刻な呼吸器系障害について消費者に警告を発した。

 クラインマン社によって製造され、ナノ・マジックというブランド名で売られている製品の使用により、ひどい呼吸器系障害があったとする消費者からの電話が10日間で100件以上、ドイツ、スイス、オーストリアの中毒管理センター及び製造者にあった。その多くが入院し、当局により潜在的に命の危険もあり得るとされた。

訳注(参考):
ドイツ連邦リスク評価研究所 2006年3月31日 ナノ封入スプレーを使用する時の注意(当研究会訳)

 ”病気になるのにマジック(魔法)など何もない。これは特別な事故なのか、又は今後、やってくる災難の前兆なのかよく見るべきである。このような製品を市場に出す前にリスクを理解し注意を向けるべき時ではないのか?”−とエンバイロンメンタル・ディフェンス上級科学者であるリチャード・デニソン博士は述べた。

 ドイツ政府当局は、詳細は開示されていないが、その製品はナノ粒子を含んでいるということを確認した。しかし、呼吸器系への影響の正確な原因はまだ決定されておらず、これらの製品中のナノ粒子が原因かどうかも明確ではない。

 それにもかかわらず、この事例はナノ粒子を含んだ製品が直接的に人間に対し有害健康影響を及ぼしたことを報告した最初のものである。このことは企業と政府に対する我々の下記要求の妥当性と緊急性を強く裏付けるものである。
  • どのような潜在的なリスクをも特定するために、製品中に使用される潜在的に危険なナノ粒子に関し、市場に導入する前に十分な情報を前もって供給すること

  • 十分な情報が明らかになりその安全性が実証されるまでナノ物質の散布的使用は特に回避すること

  • ナノのリスクとそれらを緩和するために必要な措置を特定する研究を実施するために、現在使われているよりもっと多くのリソース(金と人材)を確保することを約束すること

  • このような事故が起きることを防ぐための我々の能力を現在妨げている深刻な規制の不在と非効率に目を向けること
 ドイツ政府により、2006年3月31日に最初に発表された警告は下記ウェブサイトで入手可能である。
http://www.bfr.bund.de/cms5w/sixcms/detail.php/7699
訳注:
ドイツ連邦リスク評価研究所 2006年3月31日 噴射式ナノ封入スプレーを使用する時の注意(当研究会訳)

 ドイツにおけるもっと詳細な及び更新された情報は同国の中毒管理センターのひとつの下記ウェブサイトから入手可能である。
http://www.giz-nord.de/php/index.php?option=com_content&task=view&id=122&Itemid=85

 製造者による製品中でのナノ物質の使用に関する情報は下記ウェブサイトから入手可能である。
http://www.kleinmann.net/html/index.php?module=ContentExpress&func=display&btitle=CE&mid=&ceid=1206

 ナノ技術に関する環境と健康への影響に関するさらなる情報はエンバイロンメンタル・ディフェンスの下記ウェブサイトを訪問ください。
http://www.environmentaldefense.org/go/nano



化学物質問題市民研究会
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