ドイツ連邦リスク評価研究所 2006年3月31日
噴射式ナノ封入スプレーを使用する時の注意
英文ウェブ掲載 2006年5月4日

情報源:Federal Institute for Risk Assessment 31.03.2006
Exercise caution when using "nano-sealing sprays" containing a propellant!
http://www.environmentaldefense.org/documents/5207_BFRNanoCautionStatement.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年5月9日


せまい場所で使用されると、呼吸器系に問題を起こす可能性がある

 ナノ粒子を含むガラス及びセラミックスの撥水用ナノ噴射ガス封入スプレーはせまい場所で使用すべきではない。ドイツ連邦リスク評価研究所にはこのことを指摘する理由がある。短期間のうちに、連邦政府のいくつかの州の中毒管理治療センターはこの種の家庭用製品を使用しいた後に深刻な健康障害にかかったという39症例の報告を得た。障害を報告した全ての人々は、呼吸器系の障害を訴えた。6症例が病院で治療しなくてはならない肺浮腫であると診断された。

 ガラス及びセラミック表面用のナノ粒子入り噴射ガス封入スプレーは家庭用化学物質の新しいタイプである。浴室及びトイレで、スプレーは表面に撥水性及び防汚性の機能を与えると言われている。液体は跡を残さずにとれると言われている。この製品はポンプ付き容器又はエアゾール容器に入ったものが売られている。

 ある使用者らはエアゾール容器のものを使用して深刻な健康被害を受けた。彼らはエアゾールの微粒子として空気中に浮遊していたスプレーの成分を吸入したように見える。スプレーからの粒子が肺の中の肺胞及び気管支の酸素と水分を交換する機能を妨げたように見える。これは呼吸困難をもたらし、ひどい場合には肺の中に水分がたまることになる(肺浮腫)。

 ポンプ付き容器の使用によるそのような症例は報告されていない。

 連邦政府の地域当局と中毒管理治療センターは市販されている二つの製品について製造者の指示に従って(http://www.giz-nord.de/php/index.php?option=com_frontpage&Itemid=1)、警告を発表した。この症例はまた、非食品に関する欧州緊急警報システム RAPEX に記録された。流通業者は製品の回収に着手し、消費者にはこのスプレーを消費しないよう忠告した。

 健康障害の起きた正確な原因はまだ分っていない。ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は噴射式のナノ封入スプレーをすでに購入した全ての消費者は、それらをせまい場所で使用しないよう勧告する。

 すでに市場にあるナノテク成分を含む噴射式の他の製品(例えば、靴の手入れ用、吹きつけ用、湿気防止用)もまた危険かどうかに関する情報は入手していない。もしこれらの製品を使用して呼吸器系に障害が生じた場合には、直ぐに医師か中毒管理治療センターに連絡すべきである。状況を十分に理解するために使用された製品を見る必要があるということを頭に入れておくことが重要である!

 これらの最近の症例に鑑みて、BfRは、ドイツの医師は化学物質法に従って、化学物質製品に関連するどのような健康障害についてもBfR中毒製品文書センター(BfR Poison and Product Documentation Centre)に報告する義務があることを指摘する。

 BfRは、最近発生したこれらの健康障害の原因を全力をあげてで究明している。科学的討議を行う計画がある。

end bfr-p
訳注:(関連情報)
ドイツ連邦リスク評価研究所 2006年4月12日 ナノスプレー中毒の原因はまだ完全には解明されていない(当研究会訳)



化学物質問題市民研究会
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