ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
2013年11月27日プレスリリース
未知の重要技術:
ドイツ人はナノテクノロジーについて
何を考えているか?


情報源:Federal Institute for Risk Assessment 27.11.2013
Unknown key technology: what Germans think of nanotechnology

http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2013/31/
unknown_key_technology__what_germans_think_of_nanotechnology-188485.html


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2013年12月14日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/bfr/131127_bfr_what_Germans_think_of_nanotechnology.html


 BfR はドイツ人とメディアのナノテクノロジーについての認識に関する報告書を発表した。

 NanoView(ナノ眺望)という名の下にドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、ドイツ人とメディアのナノテクノロジーについての認識に関する研究プロジェクトを完了した。既に2007年に BfR は、ドイツ人はナノテクノロジーをどのように認識し、このトピックスが、ドイツのメディアではどのように報道されているかについての調査を実施している。NanoView(ナノ眺望)は、多くの追加的な側面を考慮して調査を拡大した。この調査はドイツ人のナノテクノロジーに対する認識と態度が過去5年間で変化しているのかどうかという問いについて精査した。追加的な問いはメディアにおけるナノテクノロジーについての発表に何らかの変化があったかどうかである。”今回の結果は、回答者の大部分が未だにナノテクノロジーという用語にほとんどなじみがないということを示している。同時に、5年前に比べてこの主題に関する報告は少なくなっている”と BfR 所長アンドレアス・ヘンゼル博士は述べている。”そこで我々は、この調査で特定された消費者の情報不足及び情報の必要性に目を向けたコミュニケーション戦略開発した”。

 今回の利用可能な代表的集団調査(representative population survey)の結果は、消費者は現在、2007年の調査時に比べて一般的にナノテクノロジーについて知らなくなっていることを示している。しかし同時に、染料、繊維製品、化粧品の分野での具体的なナノテクノロジーの応用はよく知られるようになってきた。既存の知識のギャップにも拘わらず、ナノテクノロジーの便益は、圧倒的多数のの人々により、どのような潜在的なリスクよりも決定的に勝るとみなされている。

 この調査の注目すべき発見は、性別による相違である。男性のナノテクノロジに対する態度は、明らかに女性よりも肯定的であり、男性はナノテクノロジーを支持しているようである。明確な相違は、消費者の情報を改善するためのコミュニケーション戦略を開発する上で考慮された。その戦略は実際、この調査の発見に基づいていた。

 2007年以来、ドイツメディアにおけるナノテクノロジーの取り上げ方は、代表的集団調査(representative population survey)の結果に対応している。次の紙版メディアに現れた合計591の記事が分析された。Frankfurter Allgemeine Zeitung, Suddeutsche Zeitung, die tageszeitung, Frankfurter Rundschau, Die Welt, Financial Times Deutschland, Die Zeit, Spiegel, Focus and Bildzeitung. 全体として、ナノテクノロジーに関する記事の数は、レビュー期間の間に減少した。同時に、2008年から2012年の間に発表された記事は、より実体があり、より応用分野志向であった。記事の多くは、様々な日刊紙やジャーナルの科学欄に掲載された。代表的集団調査と同様に、メディアの報告書もまたナノテクノロジーの便益を明確に強調している。潜在的なリスクに焦点を当てる又は記述する記事はほとんどない。

 ナノテクノロジーは科学的用語が圧倒的に多く見える分野であるということができるであろう。既存の知識のギャップにもかかわらず、人々はどのような潜在的なリスクにも明らかに勝る便益をもつ技術として認識している。目標とされたコミュニケーション戦略を実施することにより、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、知識のギャップを埋めることに貢献しようと努力している。特に、男性と女性の異なる情報要求が考慮されなくてはならない。男性はナノテクノロジーについて事実に基づく情報を好む傾向があり、一方女性は、容易に具体的な行動に転換することができる日常生活に関連する勧告を好む。

 NanoView(ナノ眺望)− Einflussfaktoren auf die Wahrnehmung der Nanotechnologien und zielgruppen-spezifische Risikokommunikationsstrategien と題する公衆の認識に関する報告書(BfR-Wissenschaft 10/2013)は、http://www.bfr.bund.de/de/start.htmlからダウンロードできる。

 NanoMedia(ナノメディア): Analyse der Medienberichterstattung zum Thema Nanotechnologie 2008-2012と題する報告書(BfR-Wissenschaft 11/2013)は、http://www.bfr.bund.de/de/start.htmlからダウンロードできる。

BfR について

 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、ドイツ連邦食品、農業、及び消費者保護省(BMELV)内 にある科学的研究所である。それはドイツ連邦政府及び連邦州政府に食品、化学物質及び製品の安全性に関する疑問に助言を与える。BfR は、評価業務に密接に関連するトピックスに関する独自の調査を実施する。



化学物質問題市民研究会
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