ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
2010年6月10日 プレスリリース
ナノ銀は、食品、織物、化粧品にふさわしくない

情報源:Federal Institute for Risk Assessment 10.06.2010
Nanosilver has no place in food, textiles or cosmetics
http://www.bfr.bund.de/cd/50960

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2010年6月18日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/bfr/100610_bfr_nanosilver.html


 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、現状ではナノ銀イオンを消費者製品中で使用しないよう助言する。

 消費者製品の製造者らは、かなり長い間、銀イオンの抗菌特性を利用している。最近は、ナノ範囲の銀粒子が同様に使用されている。例えば、ナノ銀が施された冷蔵庫の表面は病原菌の増殖を抑制することが意図されており、ナノ銀はまた運動用ソックスの臭いを防ぐことを目的に使用される。現時点ではナノ銀が消費者の健康リスクになるかどうかを最終的に決定することは不可能である。”我々は、潜在的な健康リスクを確実に排除する状況になるまでは、製造者は消費者製品中でナノ銀を使用することを控えるよう我々は勧告する”とドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)所長教授アンドレア・ヘンセル博士は述べている。

 銀と銀化合物は病原菌の増殖を抑制することができる銀イオンを放出する。そのために、例えば、それらは化粧品、織物、家庭用品に使用されている。さらに、銀は食品の色素として認められている(E174)。

 最近、消費者製品の製造者はナノ粒子の形状で銀を使用することが増えている。ナノ粒子は径が100ナノメートル以下の粒子である。ナノ粒子の特性は同一物質でサイズの大きな粒子の特性と異なる。そのような特性が様々な応用のために関心を持たれている。しかしそれらが有毒特性に変化し消費者の健康リスクになるかどうかまだ確認されていない。

 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、ナノスケールの銀を抗菌材料として使用することに関連する基本的な問題を明確にするための研究が必要であると感じている。どのような規模で消費者はナノスケール粒子に接触するのか? 抵抗性発達の危険性はどのくらい大きいのか?

 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、決定的な安全性評価が入手可能となるまで、消費者製品中でどのようなナノスケール銀も使用することを控えることを勧告する。どのような場合でも、食品中でのナノスケール添加剤は承認が求められる。ナノ銀は食品中での使用は承認されていなかった。ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、リスク評価についての疑問にまだ答えていないという文脈から、このことを歓迎する。

 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、この課題に関する意見を発表している。次のウェブサイトからアクセスできる。http://www.bfr.bund.de./

ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)について
 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、連邦食品・農業・消費者製品省(BMELV)管理下の科学研究所である。BfRは連邦政府及び州政府に食品・化学物質・製品の安全性の全ての局面に関して勧告する。BfRその評価業務に密接に関連する課題に関し、自身で研究を実施する。



化学物質問題市民研究会
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