NOETB 2018年3月27日
OECD は工業ナノ材料の安全性のための
OECD テスト・プログラムにおける
ヒト・ハザード評価のためのイン・ビトロ手法の適用を評価

リン L. バーガソン、カルラ N. ハットン

情報源:Nano and Other Emerging Technologies Blog, March 27, 2018
OECD Evaluates Application of In Vitro Methods for Human Hazard Assessment
in OECD Testing Program for Safety of Manufactured Nanomaterials
By Lynn L. Bergeson and Carla N. Hutton
https://nanotech.lawbc.com/2018/03/oecd-evaluates-application-of-in-vitro-methods
-for-human-hazard-assessment-in-oecd-testing-program-for-safety-of-manufactured-nanomaterials/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2018年4月18日
このページへのリンク
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/OECD/180327_NOETB_
OECD_Evaluates_Application_of_In_Vitro_Methods.html



 経済協力開発機構(OECD)は、2018年3月23日に『工業ナノ材料の安全性のための OECD テスト・プログラムにおけるヒト・ハザード評価のためのイン・ビトロ手法の適用を評価』と題する報告書を発表した。工業ナノ材料のテストのためのテスト・プログラムは、物理・化学的特性、環境的運命、並びに環境及び哺乳類への毒性を含む情報を生成するために11種の工業ナノ材料をテストした。評価の目的は、テストプログラムの書類一式(dossiers)をレビューし、既存のイン・ビトロ OECD テスト・ガイドライン(TG)のどれが使用されたか、どのような他の非ガイドライン手法が適用されたか、そして、工業ナノ材料をテストするために用いられた各分析評価(assay)の潜在的な限界は何か、を評価することであった。報告書は下記のような一般的観察をリストしている。
  • 工業ナノ材料を評価するために OECD テスト・プログラムでは多くのイン・ビトロ手法が用いられているが、報告されている多くのイン・ビトロ データは OECD テスト・ガイドライン(TGs)を使用して生成されていなかった。
  • イン・ビトロ評価項目の多くが評価されているが、特定の工業ナノ材料のための完全なイン・ビトロ評価分析(assays)は利用きない。
  • 既存のイン・ビトロ テスト・ガイドライン(TGs)は大々的に使用されていない。(g., 皮膚感作性及び皮膚刺激性)
  • 既存の OECD TGs 、用量及び用量単位、評価された物理化学的パラメータ、評価分析パラメータを干渉する工業ナノ材料の考慮、及び用いられたプロトコールに関連する書類一式中に多くの矛盾と省略がある。
  • イン・ビトロ条件下で工業ナノ物質の特性化(g., 培養液中)及び細胞内取り込みは報告されていない。
  • ナノクレー及びデンドリマーのためのテスト・ガイドライン(TGs)に基づいたイン・ビトロのデータは何も報告されておらず、テスト・プログラム内で銀及びナノクレーのためのイン・ビトロ細胞毒性データは何も報告されていない。
 同報告書は可能性ある今後の措置として下記を特定している。
  • TG 428 及び報告された調査に基づけば、 TG 428 の工業ナノ材料への適用には明白な制限はない。ナノ材料の皮膚吸収テストのためのいくつかの重要な要素は、これらの調査では詳細には対応されておらず、更なる調査が必要であろう。TG 431 の適用可能性(イン・ビトロ皮膚腐食性:再構築ヒト上皮テスト法」)がさらに議論されるべきである。
  • TG 437 (摘出角膜の混濁及び透過性試験(BCOP 法:Bovine Corneal Opacity and Permeability Test Method)の適用可能性がさらに議論されるべきである。文献によれば、ナノ材料は懸濁液中で凝集塊/凝集体となり、または分散剤及び染料を吸収して、人工物となり得る。また不透明度測定におけるあるナノ材料の存在は結果に影響を及ぼすかもしれない。
  • TG 471(細菌を用いる復帰突然変異試験(bacterial reverse mutation test))は、ほとんどのタイプの工業ナノ材料に適用可能ではないということを認識して修正されるかもしれない(バクテリアへの取り込みがない)。
  • 工業ナノ材料をテストし、工業ナノ材料の細胞間摂取の確認時に、TG 487 (イン・ビトロ微小核分析評価(In Vitro Micronucleus Assay))がサイトカラシン B (訳注1)の追加に関する特定の勧告を含めるために考慮されるべきである。
  • いくつかの遺伝毒性分析評価がテスト・プログラム中で適用されたので、さらなる調和のために分析評価を優先づけるべき遺伝毒性に関して専門家グループに相談することが最も効率的かもしれない。
  • いくつかの細胞毒性分析評価のための標準とガイダンスを開発するために、工業ナノ材料作業部会(WPMN)及び国際標準化機構(ISO)技術委員会(TC)229で現在進行中の作業に加えて、テスト・プログラムは工業ナノ材料をテストするために日常的に使用されている分析評価(assays)の評価とさらなる開発を検討すべきである。例えば、工業ナノ材料が酸化ストレスを引き起こす可能性を調べるために使用される分析評価(assays)、及び工業ナノ材料への暴露の免疫学的影響に特有な評価項目を評価するために使用される分析評価。

訳注:参考情報
CIEL-ECOS-Oeko Project 2015年1月 ナノテクノロジー規制とOECD

訳注1 サイトカラシン/ウィキペディア


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る