欧州委員会共同研究センター(JRC) 2015年9月11日
食品及び農業におけるナノ
安全確保の規制のために国家間の連携が求められる


情報源:欧州委員会共同研究センター(JRC), September 11, 2015
Nano in food and agriculture: regulations require collaboration to ensure safety
https://ec.europa.eu/jrc/en/news/nano-food-and-agriculture-regulations-
require-collaboration-ensure-safety?search


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2015年10月4日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/JRC/JRC_150911_nano_in_food_and_agriculture.html


 食料と飼料の生産におけるナノテクノロジーの利用に関する規制による世界的解決の概観訳注1)がひとつのアプローチを示している。EUとスイスだけがナノ特定の条項を既存の法令の中に持っているが、他の諸国は産業のための法的拘束力のないガイダンスと基準に頼っている。欧州委員会共同研究センター(EC JRC)の研究者らを共著者とする論文によれば、情報を共有し人と環境の保護を確実にするために、世界における国家間の連携が求められている。

 その論文”EU及び非EUの農業/飼料/食品分野におけるナノテクノロジーの規制面”は、ナノテクノロジーの潜在的なリスク又は安全性が世界中の様々な国でどのように管理されているかをレビューし、これはナノが可能とする農産物と飼料製品の国際的な市場に影響を及ぼすかもしれないことを認めている。

 ナノテクノロジーは、農業生産、動物飼料と治療、食品プロセス及び食品接触容器を含んで、多くの産業分野で革新的な製品と応用の開発のために多大な将来性が見込まれている。いくつかの応用はすでに市場に出されているが、他の多くのナノ可能製品は現在は研究開発の途上にあり、近い将来市場に出されるかもしれない。その様な製品の期待される便益には、ナノカプセル化を通じての農薬の効果向上、栄養素の生物学的利用能の増大、又は微生物ナノ粒子を通じてのより安全な容器包装材等がある。

 他の規制される製品と同様に、市場投入の承認のための申請をしようとする者は、その様な新たな製品の使用は、消費者や環境に不適切な安全リスクを及ぼすことなく、安全であることを示さなくてはならない。ある国は、他の国よりナノテクノロジーの安全性に関する規制の枠組みの適切性を検証するのにもっと積極的である。その結果、様々なアプローチが、農業/飼料/食品分野でナノに基づく製品を規制するために採用されている。

 その分析は、EUとスイスだけが、法的拘束力のあるナノ物質の定義及び/又はナノテクノロジーのための特定の条項を導入している国であることを示している。ひとつの例は、工業ナノ物質の形状の成分をもつ食品に対するEUのラベル表示要求である。世界の他の地域は、主に法的な拘束力のないガイダンス及び基準に基づいて、もっと黙示的にナノ物質を規制している。

 『Regulatory Toxicology and Pharmacology 』誌にオープンアクセス記事として発表された既存の法令及びガイダンスの概観は、文献研究及び専用の調査を通じて、欧州委員会共同研究センター(JRC)、オランダ食品安全研究所(RIKILT-Wageningen)、及び欧州食品安全機関(EFSA)によって収集された情報に基づいている。


訳注1
参照: Amenta, V. et al. 2015. “Regulatory aspects of nanotechnology in the agri/feed/food sector in EU and non-EU countries,” Regulatory Toxicology and Pharmacology, 73:1, pp. 463-476. doi:10.1016/j.yrtph.2015.06.016



化学物質問題市民研究会
トップページに戻る