IPEN(国際POPs廃絶ネットワーク)
ナノテクノロジー ワーキング・グループ
2009年7月13日
ナノ技術と環境:主張と事実の不一致

情報源:International POPs Elimination Network's
Nanotechnology Working Group, July 13, 2009
Nanotechnology and the environment:
A mismatch between claims and reality
http://www.wecf.eu/download/2009/FINAL-OECDenvironmentalBrief130709.pdf

訳:野口知美(化学物質問題市民研究会)
Translated by Tomomi Noguchi
Citizens Against Chemicals Pollution (CACP)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年10月20日
更新日:2009年11月10日
報告書後半部追加/完訳
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/IPEN/IPEN_090713_nano_mismatch.html


 ナノ技術は、気候変動、公害、清潔な飲料水など多くの環境問題に対しこれまでにない技術的解決策を提供するものとして扱われている。推進派の主張によれば、ナノ技術はエコロジカル・フットプリント(生態学的足跡)を大幅に削減しながら、よりよい製品や新たな市場を通じて経済成長を実現させるという。しかしながら、こうした主張はナノ技術の全体像を示しておらず、重大な環境リスク及びコストが軽視もしくは無視されているという証拠が明らかになってきた。

 ナノ技術を適用することによって環境影響の減少やエコロジカル・フットプリントの表面上の削減が達成されたとしても、そのいかなる場合においても、ナノ物質を製造することによる環境コスト(エネルギーや水の需要増加など)及び環境コストの拡大が潜在的な環境的利益を上回る可能性があるかどうかについて慎重に考慮しなければならない。ナノ技術のこうした「マイナス面」が認められることは稀であるが、その一方で主張される「利益」はしばしば誇張されるものの実証されておらず、多くの場合その実現は何年も先のことである。

 環境への潜在的な悪影響やコストに対するわれわれの懸念がさらに悪化したのは、各国政府が時宜を得た方法により適切で責任ある監視メカニズムを確立することに消極的になっているようだからである。以下に、われわれの懸念をさらに詳しく述べ、解決策を提案することにする。

環境的利益があるとの主張は事実にそぐわない

 OECDは、クリーナープロダクションや汚染削減など主要な分野において、ナノ技術が環境的利益をもたらすと示唆している。しかし、われわれはナノ技術のそうした能力に疑問を抱いている。というのは、いずれの場合も主張に事実の裏づけがなく、環境コストが常に無視されているからである。

クリーナープロダクションか、汚染をまき散らす製造か

主張:ナノ技術はクリーナープロダクションをもたらすであろう(例えばグリーンケミストリー、またはナノスケール物質の合成及び加工による原材料や水・エネルギーなどの天然資源の消費削減、化学反応及び化学触媒作用の改善を通じて)。

事実:ナノ物質の製造には大量の水やエネルギーが必要とされる上、必要とされる化学物質はナノ物質自体と同じくらい毒性が強い場合が多い。広く普及している「設計による安全」という概念は、適切なライフサイクル分析を欠き、ナノに特化したリスク評価手法も実証されていない、15年先の幻想であると言える。

エネルギーの節約か、エネルギーの過剰要求か

主張:ナノ技術はさまざまに適用され、エネルギー消費を削減するであろう(例えば製造の効率化、エネルギー貯蔵、生成、節約の改善を通じて)。

事実:ナノ物質やナノデバイス(エネルギー生成、貯蔵、節約のために利用されるナノ物質を含む)を製造するにあたって、非常に多くのエネルギーが消費される。ライフサイクルの事前評価によって、ナノの適用がエネルギーの節約につながるとする主張に疑問が投げかけられた。

広範な環境的利益か、環境コストか

主張:ナノ技術はさまざまな環境的利益をもたらすであろう(環境復旧、監視、水のろ過、農薬汚染の削減など)。

事実:現在入手できるナノ物質のいかなるものも、完全な生態毒性プロフィールを有しておらず、健康・環境に重大な懸念をもたらす可能性が既存の科学的結果によって明らかにされている。それゆえ、修復などの目的でナノ物質を環境に大量放出することを考える前に、さらなる研究や生態毒性モデリングを行わなければならない。ナノ技術が水処理に役立つかもしれない地域もある(Meridian Institute 2006)が、ヒトに毒性を与える可能性がある他、コミュニティに管理された効果的な水処理方法などよりも特許を持つ企業に管理された水処理へのナノの適用の方が優先されるという差し迫った危機が存在している。

 農業への適用に関しては、使用されるナノ化学物質がたとえ少量であったとしても、格段に高い潜在能力があることから、多大な毒物学的負担をもたらす可能性が依然として存在している。さらに、ナノ農薬を使用することは、あらゆる化学物質の使用を制限しようという認識や行動が高まっている時代に反して、化学物質への依存を固定化することにつながる。

 このような事実のさまざまな側面については、以下に具体的な提案とともにその詳細を述べる。

環境的利益をもたらす可能性を評価する際、環境コストを考慮せよ

ナノ物質の製造には莫大なエネルギー・環境コストがかかる。

 ナノ技術の推進派は、ナノ物質によってエネルギーや資源の使用が減少することになると主張してきた。なぜなら、より強力なナノ物質は少量であっても、理論上、はるかに大量の通常物質と同じことを成し遂げることが可能であり、カーボン・ナノチューブのような物質によって工業部品を軽量化することができると予測されるため、こうした部品を利用することがエネルギー要求の減少につながるからである。しかし、Sengulら(2008)によって、ナノ物質の製造が予想外に大きなエコロジカル・フットプリントをもたらすことが分かった。これには、非常に特殊な製造環境、加工過程でのエネルギー・水の高需要、製造量の少なさ、廃棄物発生量の多さ、メタンなど温室効果ガスの生成及び使用、有害化学物質やベンゼンなどの溶剤の使用が関連している。

 カーボン・ナノファイバーの製造に関する別のライフサイクル研究において、Khannaら(2008)は、カーボン・ナノファイバーが地球温暖化、オゾン層減少、環境・ヒト毒性の一因となる可能性は、単位重量当たりでアルミニウム、鋼鉄、ポリプロピレンなど通常物質の100倍にものぼるかもしれないということを発見した。

 ナノ物質は通常の物質よりもはるかに少ない量で使用される傾向にあるため、ナノ物質が使用されている製品のライフサイクルを評価することによって、エネルギーや環境への全体的な影響についてより正確に理解することができるであろう。だが、科学者たちは初期の評価結果から、ナノ物質の製造がもたらす環境コストはいかなる環境的利益よりも上回る可能性があると結論づけている。

商業的に使用されるナノ物質の多くは環境に有害

 ナノ物質自体は、新世代の有毒化学物質を構成するものである。粒子サイズが減少するに従って、多くのナノ物質において遊離基の生成が増加し、毒性も同様に増加する。試験管内研究により明らかにされたことは、現在商業的に使用されているナノ物質はヒトのDNAに損傷を与え、細胞機能に悪影響を及ぼし、細胞死さえ引き起こす可能性があるということである。藻類、無脊椎動物、魚種などよく使われる環境指標に対して有毒なナノ物質もあるということを示す科学的研究は少ないものの、徐々に増えつつある(Hund-Rinke & Simon 2006; Lovern & Klaper 2006; Templeton et al.2006; Federici et al. 2007; Lovern et al. 2007)。また、生態系の機能を支える栄養循環において重要な役割を果たすミミズの機能や生殖周期を阻害する恐れのあるナノ物質もあるという証拠も存在する(Scott-Fordsmand et al. 2008)。ごく最近では、新たな証拠によって、ナノ物質が何世代にもわたって動物(ねずみ; Takeda et al. 2009; Tsuchiya et al. 1996)及び植物(米; Lin et al. 2009)の双方に移行していく可能性があるという憂慮すべき事実が証明された。

 さらに、ナノ物質は通常の物質よりも使われる量が少なかったとしても、より大きな毒物学的負担をもたらすかもしれない。2006年、ウッドロー・ウィルソン国際学術センターの新興ナノテクノロジー・プロジェクト(PEN)は、2011年から2020年の間に世界中でナノ物質が58,000トン製造されるであろうと予測している。PENが懸念しているのは、ナノ物質の潜在能力を考慮すると、通常物質の5百万トン分‐ことによると500億トン分‐にも匹敵する影響を生態系にもたらす可能性があるということである(Maynard 2006)。

太陽エネルギーの獲得が増え続ける中、有害ナノ物質の利用への懸念が生じている

 推進派の予測によれば、ゆくゆくはナノソーラーパネルの効率が60%に到達する(40%ほどにしかならない通常のパネルとは対照的)とのことである。現時点での数字は、それほど大したものではない。二酸化チタン、銀、量子ドット、テルル化カドミウムなどのナノ粒子が薄膜太陽電池の効率を高めるために利用されているが、これまでのところ、その成果は控えめなものとなっている。例えば、アメリカのナノソーラー社は効率を14%まで上げた薄膜電池を製造しており、経済的生産性は1ワット当たり1米ドルに近づいていると主張している(Bergeson 2009)。しかし、通常のウェーハベースの結晶シリコンパネルの方が約25%とはるかに高い効率を維持しており、さらにずっと安価である。ワット当たりのコストを比較するのは非常に困難なことなのであるが、「通常の」太陽熱システムについてのヨーロッパの数値は、1ワット当たり約0.50米ドルである(Greenpeace and EPIA 2008)。

 ナノをソーラーパネルに利用することによって、非常に柔軟なパネルを製造できるようになったこと、そしてパネルを「オープンリール式」に印刷できるようになったことは、いずれも紛れもない利点である。しかし、(目に見えない)赤外線を取り入れてエネルギーを発生することのできるプラスチックベースの塗料など、ナノをさらに変化させた形で利用することが予測されているものの多くは、いまだ予備的研究の段階であり、全て実証されたわけではないという状態である。

 今のところまだ、ナノソーラー製品のライフサイクル評価がないので、太陽エネルギーを生み出すためにナノソーラー製品を製造するにあたって、大量のエネルギーが必要とされるかどうかについては明らかになっていない。分かっていることは、多くの薄膜技術に使われているナノ粒子は重大な毒性問題を引き起こす可能性があるということである(例えばカドミウム、量子ドット、銀、二酸化チタンナノ粒子)。

以下追加(09/11/10)
超コンデンサ、バッテリー、飛行機・車用の軽量な「超部品」にカーボン・ナノチューブを利用しようとの提案は、アスベストに似た健康リスクをもたらす

 カーボン・ナノチューブは既に、飛行機や車の特殊部品や高性能プラスチックを強化するために、燃料フィルター、電子製品、炭酸リチウム・バッテリーに使われている。将来的には、カーボン・ナノチューブを利用することによって超軽量の飛行機や超低燃費の車が製造できるようになり、飛行機旅行の環境コストが大幅に減少すると予測されている。また、カーボン・ナノチューブを繊維、医薬品、食品包装など様々なものに適用することが議題として挙がっている。

 通常の物質よりも軽く、強い物質を製造するためにナノ技術を利用することは、カーボン・ナノチューブの場合と同じように、明らかに車や飛行機の燃費向上につながる。(例えば化学反応を促進する物質など)ナノサイズの触媒を車のエンジンに使用する場合、バルク状態の同じ触媒を使用するときよりも70%-90%少ない量で済む。バッテリーの貯蔵容量や寿命、安全性も、ナノ技術による恩恵をこうむると言われている(Ortego 2008)。しかし、製品のライフサイクル評価がいまだ存在しないため、製品を使用することによって節約されるエネルギーの量が、ナノ物質の製造に必要なエネルギーの量を上回るのかどうかについては分からない。

 さらに、ナノチューブの健康・環境リスクについては、重大な懸念が存在する。特に、カーボン・ナノチューブの中には吸入されると、アスベストに似た健康被害をもたらすかもしれないものもあることが懸念されている。2004年、英国王立協会及び世界第2位の再保険会社スイス・リーのリスク専門家たちは、ナノチューブがいったん肺に入り込むとアスベストに似た振る舞いをする可能性があると警告した(RS/RAE 2004; Swiss Re 2004)。それ以来、数々の実験が行われ、ある種のカーボン・ナノチューブがネズミの肺に取り込まれると、炎症、肉芽腫の形成、繊維症、動脈の「プラーク」形成が引き起こされ、心臓発作やDNA損傷の原因となることが証明された(Donaldson et al. 2007; Lam et al. 2006; Muller et al. 2006)。また、2つの独立した研究によって、カーボン・ナノチューブの中には中皮腫の発症を引き起こすかもしれないものもあることが明らかにされた。中皮腫とは、これまでアスベスト暴露としか関連がないと考えられてきた癌のことをいう(Poland et al. 2008; Takagi et al. 2008)。

カーボン・ナノチューブは米の収穫量を減少させ、異なる汚染物質に対する小麦の脆弱性を増加させる

 新たな研究により、C70フラーレンと多層ナノチューブ(MWNT)という2種類のカーボンナノ物質が米の開花を少なくとも1ヵ月遅らせていたことが分かった(Lin et al. 2009)。また、これらのカーボンナノ物質に暴露された稲は、収穫量が著しく減少していた(C70により4.6%、MWNTにより10.5%の稲種子が減少した)。そして、稲種子はC70フラーレンにたった2週間暴露されただけでも、次世代の稲種子にこのカーボンナノ物質を伝達してしまった。さらに、カーボン・ナノチュ−ブへの暴露によって、汚染物質吸収に対する小麦植物の脆弱性が増加している(Wild and Jones 2009)。カーボン・ナノチューブが小麦植物の根の細胞壁を貫通した「管」を作り、汚染物質がこの「管」を通じて生細胞に運び込まれていたのである。

 米と小麦は、世界の大部分の人々が食べている主要生産物である。こうした予備的研究が示唆していることは、いまだかつてない世界的な食糧危機に見舞われているこの時代に、カーボンナノ物質は世界で最も重要な主要生産物のひとつの収穫量を減少させ、さらにもうひとつの主要生産物の汚染物質吸収に対する脆弱性を増加させるかもしれないということである。

水のろ過・浄化技術は現在の技術とほぼ似たような機能を果たすが、コミュニティによる管理を排除する

 ナノ技術を使用した水処理技術について、その推進派は、現在使用されている水処理技術よりも安価で耐久性があり、効率的なものになると主張している(Hillie et al. 2007)。商業的に利用可能または開発中であるナノ技術には、ナノ膜、ナノメッシュ、ナノ繊維フィルター、ナノセラミック、ナノクレー、ナノ吸着剤、ナノゼオライト、ナノ触媒などがある。使用する技術によっては、これらも従来の方法と同じような機能を果たすことが可能である。しかしながら、安全性について新たな懸念が高まっている上、製造に必要とされる高度な技術力は、そのほとんどが現在、先進国の専門施設でしか利用することができない。そのため、コミュニティが今もこれからも頼りにし続けるのは、遠く離れた水処理企業の商業意欲と無償技術援助ということになるであろう。

 水に含まれるコレラ菌を減少させる効果的で無理のない方法に関するバングラディッシュのパイロット・プロジェクトが、そのいい例である。このプロジェクトでは(四つ折りにした)古いサリー布を利用することが試され、これが水中のコレラ菌を99%取り除くことに成功したという、単純で無理のない方法であることが判明された(Hillie et al. 2007)。一方、ナノを利用して水処理をすれば、さらに塩などの物質をろ過除去することができるかもしれないが、地元住民による技術管理までも排除してしまうであろう。

 ナノを利用した水処理技術が開発されることによって、給水サービスが必要不可欠な地域において利益第一の民間企業の市場アクセスが増加する可能性もある。ゼネラル・エレクトリック、ダウ・ケミカル、シーメンスなどの企業は、十億ドルもの金を水市場に投入し、ナノ技術を使用した水処理の研究に巨額の投資を行ってきた(Barlow 2007)。しかし、世界中で水へのアクセスが欠如している主な原因として国連世界水開発報告書が挙げている経済的・政治的要因を是正するためには、ナノ技術は役に立たないであろう(UNESCO 2006)。

結論:持続可能性の目標を明確化し、環境リスク・ライフサイクル評価を質的に向上させ、技術革新の管理を改善する

 ナノ技術は、人の健康や環境への数多くの被害からの回復を約束する最新の技術革新である。ナノ技術のみ単独で扱うと、(物質の挙動など)技術関連の影響ばかりに焦点が当てられ過ぎてしまうことがリスクとなる。ナノ技術開発の基となるアプローチでは、技術革新は現在の問題を解決し、さらに経済的利益をもたらす可能性のあるものと見なされている。

 ナノなどの技術開発による潜在的利益について、不安と異論の声が上がっている。推進派は利益を大げさに主張するばかりで、重大かつ長期的な悪影響を及ぼす可能性のあることを見過ごしているのだ。

 ナノ技術はバイオテクノロジーと同じく、自然のシステムやサイクルについてのわれわれの知識を超えたものであり、意図しない悪影響を監視または管理することは不可能である。自然の基本的なサポートシステムに関する知識のないまま、市場への適用をこれからも進めていけば、先の不安と異論の声は強まり続けるばかりであろう。こうしたことは、社会不安につながっていく。なぜなら、公衆は議論されている問題が何かよく分からないため、社会的意思決定に参加することができず、公的機関や産業界に対する公衆の信頼がさらに失墜することになるからである。

 このような社会不安を緩和し、技術革新を公衆が受け入れ可能な方向に導いていこうとするのなら、技術革新の管理を改善することが極めて重要になってくる。技術革新は進歩の手段であり、環境問題の解決策を生み出す可能性があると考えられているが、科学的知識の乏しい分野において問題を引き起こしたり、(例えばエネルギー消費から汚染というように)知識のある別の分野に問題を移し変えるだけだったりするのであれば、そのように考えることはできない。

 技術は、社会に奉仕するものとして運用されなければならない。すなわち、社会組織が技術を管理し、その方向性を定めていかなければならないということである。受け入れ可能な技術開発、被害に対する責任については、公的に議論する必要がある。主要な産業政策や研究方針において、持続可能性の目標を(「環境影響の削減」と言うだけでなく)詳細に示し、より受け入れ可能な技術開発を特定する手段として技術の持続可能性評価を利用するべきである。

 ナノ技術と関連して、ナノ粒子を製造するには大量のエネルギーが必要とされるとか、ナノ粒子の製造によって有害な可能性のある廃棄物が大量に生み出されるとか、ナノ粒子の多くはそれ自体が生態毒性のある挙動を示すといったことがずいぶん前に証明されている。ナノ技術が現在の生態学上の危機に「環境に優しい」解決策を提供するという産業界の主張に対しては、こうした証拠に基づき疑問が投げかけられている。

 実際には社会的・経済的・政治的解決策が必要とされる問題に対して技術的な応急処置が試みられおり、その一例がいろいろな意味でナノ技術であるといえる。それゆえ、ナノ技術は最大の緊急課題に対して本当の解決策を提供するのではなく、新しい産業拡大の波を後押しして、現在の資源・エネルギー利用を増大させ、環境破壊を悪化させることになるのではないかと懸念されている。

 現在行われているリスクの高いナノ技術の商業化と、まだほとんど証明されていない社会的利益を両立させるために、適切で包括的なリスク・ライフサイクル分析を行わなければ、環境コストが増大し、ナノ技術全般に対して公衆が信用しない、あるいは拒絶するようになるかもしれない。


問い合わせ
更なる詳細又は質問については下記にお問い合わせください。

David Azoulay, Center for International Environmental Law (CIEL): +33 686 524625 (dazoulay@ciel.org)
Doreen Fedrigo, European Environmental Bureau (EEB): +32 496 186 121 (doreen.fedrigo@eeb.org)
Ian Illuminato, Friends of the Earth US: +1250-478-7135 (IIlluminato@foe.org)
Pat Mooney, ETC group: + 1 613 240 0045 (mooney@etcgroup.org)


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