欧州労働安全衛生機関(EU-OSHA)
ニュースリリース 2012年6月20日
非常に小さいもののリスク

情報源:EU-OSHA News release, 20.06.2012
The risks of the very small
http://osha.europa.eu/en/press/press-releases/risks_of_very_small

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2012年7月13日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/EU-OSHA/120620_EU-OSHA_The_risks_of_the_very_small.html


 欧州労働安全衛生機関(EU-OSHA)の新たな文献レビューによれば、職場でナノ物質を取り扱うときにもたらされる潜在的なリスクに関する我々の知見には深刻なギャップがあり、これらのリスクの職場への知らされ方には重大な欠陥がある。

 我々は、日常生活において多くの製品と応用の中でナノテクノロジーに直面している。いくつかの工業用ナノ物質(注1)について健康と環境へのハザードが示されているにも関わらず、それらは食品、化粧品、繊維製品、塗料、スポーツ用品、電子機器、洗剤、その他多くの健康/フィットネス製品中で使用されている。そしてそれらは多くの職場にも存在する。現在、1,000以上のナノ消費者製品がリストされており、30カ国で500以上の会社により製造されている。EUでナノテクノロジーに直接関わる雇用が30万〜40万あり、サプライチェーンの川下ではもっと多くの職場で工業用ナノ物質が鳥圧か我って折、それらの75%は中小企業である。

 本件に関する今回の研究レビューで、EU-OSHA はそのような物質によりもたらされる潜在的なリスクに関するコミュニケーションがまだ不十分であり、欧州の人々の多く(54%)が、ナノテクノロジーとは何かということすら知らないとことが分かった。工業用ナノ物質が取り扱われている職場ですら、そのことを知っているレベルは低い。例えば、建設現場における作業者と従業員の75%は、彼らがナノ物質を扱っていることを知らない。

 工業用ナノ物質のリスクについて情報交換し、これらをどのように管理するかについて、いくつかの取り組みがある。(このことが常に職場で目標となっているというわけではないが)例えば、主要な製造者、いくつかの労働組合、いくつかの加盟国での国民対話、そして欧州委員会によるコミュニケーション・ロードマップを通じたものがある。

 しかし、もっと多くのことがなされる必要があり、政策策定者、社会的パートナー、国家労働安全衛生機関、公衆健康機関、産業分野等が共同で行うことがのぞましい。不十分なリスク・コミュニケーションは混乱を引き起こし、根拠のない恐れやリスクの過小評価に導き、その結果、不適切なリスク防止やリスク管理をもたらすかもしれないからである。リスク・コミュニケーション戦略は、従業員が彼らの職場について情報に基づく決定をし、適切な場所に適切な防止措置を施し、自分自身を適切に守るために個々の作業者が彼ら自身の状況を自己管理できるよう支援することを必要とする。

 EU-OSHA は、加盟8カ国と繊維、建設、医療など様々な産業分野をカバーする工業用ナノ物質の職場における会社の優良管理事例のオンライン・データベースを開発した。本件に関するする将来的な作業は、ナノ物質のための、及び保守、建設、健康介護におけるナノ物質のリスク管理のためのリスク管理ツールに関するウェブ特集、短い実際的な情報資料などを作成することである。


(注1)
 ナノテクノロジーは非常に小さなスケール(ナノスケールとは人間の髪の毛の径より10,000倍小さいスケール)で物質を取り扱う。

 ナノ物質の定義に関する2011年10月18日の欧州委員会勧告(2011/696/EU)):
 ”ナノ物質”は、非束縛状態(unbound)、又はアグリゲート(aggregate)又はアグロメレート(agglomerate)の状態であり、サイズ数分布が50%以上であるような粒子については、1 又はそれ以上の次元の外部寸法が1nmから100nmの範囲にある、天然、非意図的、又は工業的に製造された物質を意味する。

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編集者へのノート:
 欧州労働安全衛生機関(EU-OSHA)は、ヨーロッパをより安全で、より健康で、うおり生産的な職場にすることに貢献している。同機関は、信頼の置けるバランスの取れた公平な安全と健康情報を調査し、開発し、配布しており、全ヨーロッパで意識向上キャンペーンを実施している。1996年い欧州連合により設立され、スペインのビルバオに拠点を置く同機関は、欧州委員会、加盟国政府、従業員及び労働者組織、EU27加盟国およびそれ以外の国からの専門家が」集まっている。

連絡先:
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Marta Urrutia - Spanish press +34 94 479 57 46 | noticias@osha.europa.eu
Brenda O’Brien - Brussels Liaison Office +32 2 401 68 59 | obrien@osha.europa.eu



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