欧州労連研究所(ETUI)2013年5月7日
ナノ物質:安全を確実にするために
トレーサビリティが必要である


情報源:European Trade Union Institute (ETUI), May 7 2013
Nanomaterials: traceability needed to ensure safety
http://www.etui.org/News/Nanomaterials-traceability-needed-to-ensure-safety

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2013年5月22日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ETUC/130507_ETUI_nano_traceability_needed.html


 非常に多様な工業ナノ物質とそれらを含む製品がすでに市場に出ているのに、それらを規制する法律がないので、いくつかの加盟国は、ナノ物質、混合物及びそれらを含む製品を記録しトレーサビリティを確保するために、登録制度を確立した。

 そのような登録制度の背後にある考えは、当局が、現状の法的枠組みの中では得ることができない情報にアクセスできるようにすることである。その例のひとつとして、ナノ形状についての情報は、REACH登録者が自主的に報告している場合には、REACH規則からは簡単には引き出すことができないということがある。

 登録制度のもうひとつの利点は、 一般公衆のナノ物質、混合物、または製品に対する信頼性を高めることに役立つであろうという点である。

   ベルギー、フランス、デンマークは、拘束力のある報告制度の提案を発表した。イタリアは、自主的な報告制度とし、オランダは欧州データベースを目指している。

 フランスでは、4月30日までに行われた登録受付の結果、ナノ物質を製造、輸入、流通または調合している457社が1,991件の申告をした。この最初の結果について、フランス政府は満足した。

 同様なことが、特に市民社会組織が関与しているベルギーで実施されている。

 これらの全ての取り組みの背後にある重要な原則は、消費者、労働者、市民社会は、自分たちが購入し、使用し、取り扱っている化学物質を正確に知るべきであるということである。ナノ物質は、責任ある、安全な、持続可能な方法で製造され、販売され、使用され、処分されなくてはならない。

   欧州労連研究所(ETUI)により発表されている政策概要(Policy Brief)は、ナノ物質を含む製品の登録を確立するために欧州諸機関からの行政的対応の必要性にすでに目を向けているが、同時に、欧州委員会に対して、このプロセスに踏み込むよう説き勧めている。



化学物質問題市民研究会
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