ECHA ニュース 2020年4月11日
女性の生殖能力に関する
ナノ物質データの欠如

情報源:ECHA News, Apr 06, 2020
Female fertility data lacking for nanomaterials
https://agilitypr.news/Female-fertility-data-lacking-for-nanoma-9432

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2020年4月11日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ECHA/200406_ECHA_
Female_fertility_data_lacking_for_nanomaterials.html

【ヘルシンキ/AGILITYPR.NEWS 2020年4月6日】欧州連合ナノ物質観測所(European Union Observatory for Nanomaterials (EUON))から委託された論文レビュー研究が、女性の生殖能力に関するデータの欠如を発見した。生殖能力に関する研究もまた少ない。そのような中でその研究は、懸念が特定される時には、もっと調整のとれたテストと結果のフォローアップを求めている。

ヘルシンキ 2020年4月6日

 このデータの欠如は、多世代にわたるナノ物質の潜在的な有害影響に関する不確実性をもたらす。

 利用可能な情報は、テストされた物質の発達毒性の懸念を特定しており、ナノ物質は重要な臓器系に影響を及ぼすとともに、胎盤関門を通過して発達中の胎児に達することがあるかもしれないということを示している。

 その報告書はまた、同じ物質のバルク形状とナノ形状を比較する研究の欠如を特定しており、その結果、可能性ある毒性の相違について不確実性をもたらしている。

 生殖及び発達の毒性影響は、ある物質に繰り返し暴露した後に生じ得る。ナノ物質は我々の体内で細胞膜及び生物学的関門を通過する能力を有するので、これらの影響を引き起こすかもしれないという懸念がある。

 その研究は、例え完全には適用できなくても可能な限り OECD テストガイドライン原則に従うようなテストを勧告している。

 2,152 の研究論文について一次レビューが行われ、そのうち 19種のナノ物質を対象にし、主に生体内(in vivo)テストを行なった関連のある 111の研究がより詳細にレビューされた。

 ナノ二酸化チタンとナノ銀は最も高い頻度でテストされている物質であり、レビューされた研究の 48%に見られた。両物質は広範囲に使用されており、例えば、ナノ二酸化チタンは紫外線を吸収するために日焼け止めの中で使用されている。ナノ銀はその抗菌特性のために枕カバーやぬいぐるみなどの布製品で使用されている。

 ナノサイズの酸化亜鉛及び酸化シリコンの粒子、及び炭素ベースのナノ物質は研究の 34%を占めており、一方、残りのうちの 18%は 13の異なるナノ物質に焦点を当てている。

 その研究は、欧州連合ナノ物質観測所(UCON)のために DHI A/S 及びデンマーク国立労働環境研究センターにより実施された。

背景

 UCON は、EU におけるナノ物質の安全性と市場に関し公衆に対して利用可能な情報の透明性を増大させることを目指している。観測所の重要な目的は、EU 市民、並びに NGOs、産業、及び規制当局を含む利害関係者が、アクセス可能で関連性がある安全情報を見つけることのできるワンストップ・ショップ(一か所で全てを済ませる)を作り出すことである。

  EUON は EU 市場におけるナノ物質の安全と使用に関連する様々な局面に関する研究を実施するためにその資金調達の一部を使用している。

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