CIEL-ECOS-Oeko Project 2015年1月
ナノテクノロジー規制とOECD

情報源:CIEL-ECOS-Oeko Project, January 2015
Nanotechnology Regulation and the OECD
http://www.ciel.org/wp-content/uploads/2015/11/OECD-update-nov2015.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2015年1月22日
更新日:2015年2月 4日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/CIEL/CIEL_Nano_OECD_Nov2014.html

ナノテクノロジー規制とOECD
  • 経済協力開発機構(OECD: Organisation for Economic Co-operation and Development)は、工業ナノ材料作業部会の下に、”人の健康と環境安全に関連する工業ナノ材料の分野において、それらの安全な開発を支援するために、国際的な協力を促進することを目指している”。

  • 工業ナノ材料作業部会(WPMN:Working Party on Manufactured Nanomaterials)には、下記の4つの運営グループ((Steering Group: SG)がある。
    • 工業ナノ材料のテストと評価(SGTA)
    • リスク評価と規制プログラム(SGAP)
    • 曝露計測と曝露低減
    • 工業ナノ材料の環境上持続可能な利用

  • 代表的な13の工業ナノ材料が50の評価項目についてテストされた。テストプログラムにより生成されたデータの評価と分析の第2フェースは2015年に開始するであろう。

  • 多くのガイダンス文書(テストのためのサンプル準備と線量測定に関するものを含む)が既に発表されている。

  • ナノ材料のためのテストガイドラインの評価/改訂/作成に注力している34のプロジェクトの完成度は様々な段階にある。

  • ナノ材料の分類、種間変動の評価、環境リスク評価での溶解への対応、及び代替テスト戦略の特定を含んで、ナノ材料のリスク評価と管理のための規制ツールの開発に注目しているいくつかのプロジェクトが進行中ある。

  • 暴露と暴露測定の様々な面に注目しているいくつかのプロジェクトが進行中である。

  • ナノ材料に関連する意思決定におけるライフサイクル・アプローチを支援するガイダンス・マニュアルが開発されつつある。

  • それぞれの運営グループの作業のプロセスに関与し、作業に情報を提供する機会がある。


経済協力開発機構(OECD)

 OECD は、その環境・健康・安全(EHS)プログラムを通じて、化学物質の規制に重要な役割を果たしている政府間組織である。OECD は、加盟国が参集し、特に化学物質(ナノ材料を含んで)のためのテストガイドラインと優良試験所基準(GLP)に同意し、妥当性を検証する場所である(ボックス 6 を参照)。これらのガイドラインに従って生成されるデータは、データの相互受理(MAD)協定に署名している全ての国の間で、MAD メカニズムを通じて共有される(ボックス 5 を参照)。これらの検証された手法は、全ての OECD 諸国で規制的リスク評価に織り込まれる。

 OECD の中で化学物質関連作業は、化学物質委員会(Chemicals Committee)と化学物質・農薬・バイオテクノロジー作業部会の合同会議(Joint Meeting)の下に組織されている。合同会議は、作業部会又はタスクフォースと呼ばれる12の主要付属組織を統括している。それらは、テストガイドライン、内分泌かく乱物質テスト及び評価、暴露評価、ハザード評価、環境汚染物質排出移動登録(PRTR)、及びそれ以上(原注1)を含んでいる。

 ふたつのOECD作業部会は、ナノエクノロジーにより提起された疑問に目を向けている。
  • バイオテクオロジー、ナノテクノロジー、及びコンバージング・テクノロジーに関する作業部会は、”科学、技術及びイノベーションにおける新規出現政策関連問題に関して助言すること(原注2)、及び

  • 工業ナノ材料作業部会(WPMN)は、”人の健康と環境安全に関連する工業ナノ材料の分野において、それらの安全な開発を支援するために、国際的な協力を促進すること(原注3)”

ボックス1:OECDと工業ナノ材料
作業部会(WPMN)
 OECDは、市場経済において雇用を拡大し、持続可能な経済成長を支援し、世界貿易の成長に寄与し、財政的安定を維持するために協力する34か国からなる政府間組織である。

 OECD 加盟国は、世界で最も経済的に進んだ諸国からなり、世界のGDPの63%を占める(原注4)。この34加盟国が主な意思決定者であり、通常、その作業に対して非常に現場主義的なアプローチをとる。彼らは会議に参加し、内部手続きの規則を定め、2年に1度、作業と予算の計画を決める。

 工業ナノ材料作業グループ(WPMN)の作業は、主に運営グループの主導の下に行われるが、同グループは WPMN によって採択された特定の目的、作業計画、及び時間軸にしたがって独立的に運営する。様々な運営グループへの参加と特定の役割りは自主的である。各運営グループは、WPMN によって指名された議長(通常は二人の共同議長)の下に自身で組織する。各プロジェクトの結果は、複雑な内部手続きに従って広く発表される前に、WPMN によって評価された後、承認される(ボックス 5 を参照)。

 工業ナノ材料作業グループ(WPMN)は8か月ごとに会合を開き、人の健康と環境に責任ある省庁と機関からの代表を召集する。会合と会合の間の期間に、専門家会議、ワークショップ、電話会議などを含む運営グループの活動が行われる。

  工業ナノ材料作業グループ(WPMN)が最初に設立されたときには、9つの WPMN であった。その後、2013年の第12回 WPMN 会合で、本ファクトシートで概説するように4つの運営グループに改組された。
工業ナノ材料安全作業グループ(WPMN)

 2006年に創設された WPMN は、いくつかの運営グループ(SGs)の作業を通じて、工業ナノ材料の分野での人の健康と環境安全に国際的な協力を促進している。WPMN は、OECD 加盟国とブラジル、タイ、中国、南アフリカ、ロシアを含むいくつかの非加盟国、政府間組織(UNITAR, WHO, FAO, UNEP など)そして産業界、労働組合及び NGOs からの代表を召集する。オブザーバーは、WPMN 及び運営グループの作業の全てに参加することができる。

 WPMN の作業は現在、4つの運営グループに組織されている。
  • 工業ナノ材料のテストと評価(SGTA)
  • リスク評価と規制プログラム(SGAP)
  • 曝露計測と曝露低減
  • 工業ナノ材料の環境上持続可能な利用
工業ナノ材料のテストと評価
(SGTA、以前のSG 3/4/7)


 この運営グループは、テストプログラム(スポンサーシッププログラム)に関する SG3 、工業ナノ材料とテストガイドラインに関する SG4 、及びナノテクノロジーにおける代替手法の役割りに関する SG7 を統合した。

  • スポンサーシップ・テストプログラムは、下記のために、代表的なナノ材料 13 種を選択して多くの評価項目についてテストすることを目指している。(1) 暴露及びハザード評価に関連するかもしれない固有の特性に関する情報を理解すること、(2) 現在のテストガイドライン及び他の手法が適用可能かどうかに関する実際的な経験と証拠を得ること、及び(3) 標準化されたテストを設計するのに役立てること。テストされるべき評価項目は下記に関するものを含む。
    • 物理化学的特性及び物質の特性化(水溶性、粒子サイズ、結晶度、表面特性等を含む 17 評価項目)

    • 環境的運命(生物分解性、吸着性、蓄積性等を含む 15 評価項目)

    • 環境毒性(水生及び陸生生物への影響を含む 6 評価項目)

    • 哺乳類への毒性(吸入毒性、生殖毒性、遺伝毒性等を含む 9 評価項目)
    • 材料安全性(可燃性を含む 3 評価項目)(原注6

    ボックス2:誰が何をするのか?
     スポンサーシッププログラム中の各ナノ材料のテストは下記を含むチームにより集合的に実施された。
    • 主スポンサー(特定のナノ材料ごとに適切であるとみなされるテストを調整する)
    • 共同スポンサー(ナノ材料ごとに適切であるとみなされるテストのいくつかを実施する)
    • 協力者(主及び共同スポンサーに関連性があるテストデータ、参照、またはテスト材料を提供する)(原注7
     2013年に終了したプログラムの第1フェーズの間に、13 の代表的ナノ材料のそれぞれについて実験データが生成された。プログラムは現在、データを評価し分析するための第2フェーズに入ろうとしている。このフェーズは2015年に始まることが予測される。スポンサーシッププログラムの第1フェーズの実験データは、IUCLID フォーマットのデータ一形式で編集された。これらは現在、機密解除されて、エグゼクティブサマリーと序文(データ使用の警告付き)が編集中である。第1フェーズからの教訓を特定し、プログラムの第2フェーズに進めるための分析論文が準備中である。さらに、 WPMN 事務局は、テストプログラムと現在までの発見を説明する出版物(小冊子又はリーフレット形式)を準備するであろう。

    ボックス3:OECD テストガイドライン
     化学物質のテストのための OECD テストガイドラインは、”化学品の安全性を評価するために政府、産業、及び独立系研究所により用いられている最も適切な国際的に合意されているテスト手法の収集である”(原注10)。このテストガイドラインは、規制のための安全性テスト 及び化学物質の届出と登録という状況に適用される。それらは、科学的発見と規制状況の変化を反映するために定期的に更新されることが想定されている。しかし、更新プロセスは長々しく、コストがかかる。

     テストガイドラインは次の5つの区分に分けられる。
    1. 物理化学的特性。テストガイドラインの例は、pH 、酸性度、及びアルカリ度、沸点、その他の決定のためのテストを含む(原注11)。

    2. 生物系への影響。テストガイドラインの例は、魚類胎芽急性毒性(FET)テスト、魚類性的発達テスト、鳥類生殖テストを含む(原注12)。

    3. 分解と生物蓄積。テストガイドラインの例は、陸生貧毛類(ミミズなど)中の生物蓄積テスト、水中の化学物質の光変換(直接光分解)テスト、海水中の生物分解性テストを含む(原注13)。

    4. 健康影響。テストガイドラインの例は、 眼刺激性/眼腐食性テスト、試験管内皮膚刺激性テスト、げっ歯類での発がん性研究及び神経毒性研究を含む(原注14)。

    5. その他のテストガイドライン。テストガイドラインの例は、保存商品中の残留農薬の安定性テスト、作物畑試験、加工製品中の残留農薬テストを含む(原注15)。
     スポンサーシップ・テストプログラムの脈絡で、OECD は一連のガイダンス・マニュアルを作成した。これらは、主スポンサー、共同スポンサー、及び協力者の作業を支援するための工業ナノ材料のテストのためのガイダンスマニュアル(原注8)、及び工業ナノ材料の安全テストのためのサンプル準備及び線量測定に関する予備的ガイダンス・ノート(原注9)を含んでいる。

     ECHA(欧州化学物質庁)は、この統合された運営グループ(SG)の議長を務めている。それは、下記に関連するナノ材料のためのテストガイドラインの評価/改訂/作成に注力している様々な完成度の段階にある34のプロジェクトを含む。
    • 物理化学的特性
    • 生物系への影響
    • 環境的運命、分解、及び生物蓄積
    • 人の健康への影響
     この運営グループ(SG)の全体的目的のひとつは、既存のテストガイドラインが工業ナノ材料に対応するために適切かどうかを評価するために、そして新たなガイドラインが策定されるべきかどうかを問うために、ナノ材料のためのテストガイドラインとガイダンス文書の適用可能性を評価することである。過去5年間に組織された多くの専門家ワークショップは、吸入毒性テスト、環境的運命と生態毒性、遺伝毒性、毒物動態に着手するために実施されている。

    リスク評価と規制プログラム 
    (SGAP、以前のSG SG 5/6)


     この運営グループは、自主的スキームと規制的プログラムについての連携に関する SG5 と、リスク評価についての連携に関する SG6 を統合したものである。現在、ドイツとカナダが共同議長を務めている。SG5 は、規制制度(国家調査で収集された情報に基づく)に関する報告書の作成と自主的スキームの促進を使命としていた。SG6 は、交換された情報を通じてリスク評価能力を強化する機会を評価することを求めた。

     SGAP の全体的な目的は、ナノ材料は既存の化学物質規制の枠組み又は他の管理システムを通じて管理することができると結論付けた OECD 理事会勧告を支持することであり、この勧告は工業ナノ材料の特定の特性を考慮するために採択された。SGAP の作業は、2012年の報告書 ”ナノ材料のリスク評価における重要な問題” をもたらした。そこで特定された重要な問題は2013年に優先付けが行われた。

    ボックス4:WPMN における
    成果文書の発表手続き
     提案される文書は政府により同意されたように作業プログラムの中で特定される。最初の草稿は事務局によって、またはしばしば(特に WPMN の場合には)一緒に作業するひとつ又はそれ以上の主導的政府により準備される。

     その後草稿は WPMN の中で合意に達するまで数回の討議を経る。このプロセスの一部として、加盟国が 意思決定者であるが、他の利害関係者の文書精査のコメントと参加は歓迎され、積極的推奨される。コメントは一般的に、公式代表を通じて主草稿者及び/又は事務局に提出される。公式代表には、国家代表又は特定のグループの代表があり、特定のグループには、現在はCIEL により率いられる環境NGOs 、労働組合諮問委員会(TUAC)の代表、及び経済産業諮問委員会(BIAC)などがある。

     合意が WPMN の中で得られれば、その文書は管理委員会である化学物質委員会に上げられ、そこで機密指定が解かれてから公開される。機密指定解除と公開は、WPMN の合意後2年はかかる。

     WPMN により指定解除され、公開された全ての文書は、下記のULRで入手可能である。
    http://www.oecd.org/science/nanosafety/publications
    intheseriesonthesafetyofmanufacturednanomaterials.htm


     新たに統合された管理グループは現在、リスク評価とその他の規制的プログラムに焦点を当てている。このことは、リスク評価優先度(原注16)に関する目標プロジェクトを開発するために加盟国と作業を行い、連携のための分野を決めるために他の管理グループ(SGs)及びOECD組織と相互に働きかけることを含む。プロジェクトは下記を含む。
    • 異なる哺乳類種における単一ナノ材料の毒性に目を向けるスポンサーシッププログラムからの研究及び発表された文献を特定しレビューすること(ドイツが主担当)。

    • 事例研究としてナノ銀を使用し、その後異なる種類の工業ナノ材料に外挿しつつ、環境的リスク評価における溶解に目を向けること(カナダが主担当)。

    • 人の健康のため工業ナノ材料の物理化学的特性に基づく分類、等価、及び Read-across (訳注)の概念を開発又は使用するアプローチ(日本が主担当)。
      訳注:Read-across とは、物質を試験する必要性を回避するために、規則的パターンに従いそうな類似物質の特性[物質化学的性状、生態毒性等]を利用して、不明瞭な物質のカテゴリーまたは物質群を「見なす」方法である。欧州化学物質規制“REACH”と欧州リスク・アセスメントの動向 による。)

    • 代替テスト戦略:Read Across とリスク評価ガイダンスのための先端科学(アメリカ及びカナダが主担当)

    ボックス5:データの相互受け入れ (MAD)
     1981年に理事会は、”OECD加盟国によりテストガイドライン及び優良試験所基準(GLP)原則に基づき生成されたテストデータは人の健康と環境の保護の評価及び目的のために他の国においても受け入れられるべきである”と表明し、データの相互受け入れに関する決議を採択した(原注18)。

     このシステムは、重複するテストを削減し、政府間の連携を増大し、標準化を進めることにより重要なテスト資源を守り、それによりもっと多くの化学物質のテストを可能にすることが意図されている(原注19)。

     データの相互受け入れ(MAD)合意には二つの異なる参加のタイプがある。すなわちテストガイドラインとGLPに準拠するOECD加盟国、及びテスト施設が等価の品質レベルでデータを生成できることを示すことができる非加盟国である。このことは、OECD加盟国がデータの相互受け入れ(MAD)準拠の非加盟国でなされたテストを受け入れることを可能にする。

     現在、40か国・団体がデータの相互受け入れ(MAD)に準拠しており、20113年4月現在、マレーシアが直近で参加した(原注20)。

    暴露測定と暴露軽減 (SG 8)

     OSHA(米・労働安全衛生庁)に率いられるこの管理グループは、徹底的なリスク評価を実施し、暴露軽減のための適切な手法を決定するために必要なナノ材料に関する暴露データ収集することを求めている。この管理グループは、暴露特定評価項目、例えば人の職業的、非職業的及び生物相の評価項目、を通じて運営している。

     そのようなプロジェクトの例は、オストラリアにより率いられる大気中の工業ナノ材料の濃度決定のための技術とサンプリング手順に関するプロジェクトを含む(原注17)。

     工業ナノ材料への暴露に関する評価のための利用可能な手法とモデルに関する調査が2011年3月に発表された。いくつかの注目に値する事例研究が2011年8月に実施されたナノ銀のための暴露評価を含む。例えば、職 業別曝露表(job-exposure matrix)の開発を可能にする個々の作業者の暴露に関する暴露情報の収集は、暴露評価に関するガイダンス文書の進展を可能にする。

     この管理グループにより目を向けられたもうひとつの基本的な問題は、工業ナノ材料の廃棄処理技術のための政策を決定することである。

     SG8 における最近の展開は下記を含む。
    • 職場における工業ナノ物質への空気伝達暴露の測定と評価のための調和のとれた段階的アプローチ(tiered approach)。報告書の開示解禁は2015年2月が予定されている。

    • ナノ金に関する暴露評価完了(南アフリカ)。報告書の開示解禁は現在討議中。

    • ナノ材料の耐菌性とそれらの表面配位の評価に関する研究(南アフリカ)。 WPMN-14 での内部文書として発表されるであろう(2015年2月)

    • アメリカによる新たな活動提案:銀、二酸化チタン、多層カーボンナノチューブに焦点を当てた暴露研究の調査。

    • ナノ材料を含む製品のために計画されたデータベース。

    ボックス6:優良試験所基準(GLP)原則
     ”優良試験所基準(GLP)原則”は、品質管理システムであり、1981年にOECDにより採択されたものであり、実験室研究がどのように”計画され、実施され、監視され、記録され、報告される”かについて、政府が高い基準を保持することを可能とする。このシステムは、データの相互受け入れ (MAD)とともに、全ての参加国にわたって同じ方法で得られるべき高品質のデータを可能にしつつ、テスト手法の国際的な調和を求めている。

     優良試験所基準(GLP)とテストガイドラインは元来、化学的安全データの一様性、一貫性、信頼性、再現性、品質、及び健全性を確実にし、科学的に誤った行為と不正手段を徹底的に回避するために開発されたが、規範的に過ぎ、リスク評価やリスク管理の規制プロセスから有効な結果を除外する結果をもたらすとして批判されている。このことは、特に、ピアレビュー誌に発表された大学研究室で生成された基礎研究のケースに該当することがある。

     これらの広範なガイドラインは、多額な費用がかかり、厳格な文書を求め、代替的仮説を検討する可能性を制限する。この要求を満たすことができない人々に大きな圧力をかけ、その結果、不必要なデータの重複をもたらすことがある。
    工業ナノ材料の環境的に持続可能な使用(SG 9)

     この管理グループは工業ナノ材料応用の潜在的な便益を探究する。この管理グループの目的は、ナノ材料のライフサイクルとこのサイクルの異なる段階の異なる応用:環境的問題に目を向ける又は間接的に環境的目的に貢献すること(原注21)、あるいはこの新たな技術を取り巻く不確実性を緩和すること−についての情報を得ることである。

     この管理グループの活動は2009年7月のナノ便益会議とともに始まった。この会議で、管理グループは工業ナノ材料のライフサイクルの局面について(開発の異なる段階でなされたテストをもって)知識を強化することを求めた。

     現在、SG9 は、規制的な意思決定はもとより、研究、革新、製品開発、製造規模の拡大、市場調査、及び廃棄を含む様々な状況における意思決定を支援することを目指すガイダンス・マニュアルを開発している。 このガイダンス・マニュアルは特に、リスク評価とライフサイクル分析情報をよりよく関連付けることを目指している。その勧告は、データが豊富な事例研究、すなわち半導体におけるカーボンナノチューブに基づいてチェックされるであろう。

     この管理グループはまた、ナノテクノロジーが関わるタイヤの持続可能な開発に関する研究のレビューに関与している。これは、タイヤ産業により強く主導されたナノテクノロジー作業部会(WPN)との共同プロジェクトである。

    参照

    1. For more details on the various working groups under the joint meeting, see http://www.oecd.org/env/ehs/organisationoftheenvironmenthealthandsafetyprogramme.htm

    2. OECD Working Party on Nanotechnologies (WPN): Vision statement, available at http://www.oecd.org/document/35/0,3343,en_21571361_41212117_42378531_1_1_1_1,00.html.

    3. OECD Environment, Health and Safety News, 21 November 2007, http://www.oecd.org/dataoecd/2/57/39618090.pdf.

    4. United States Mission to the Organization for Economic Cooperation and Development, “What is the OECD?” accessed online July 18th 2014: http://usoecd.usmission.gov/mission/overview.html

    5. For a list of the 13 tested nanomaterials and 50 end points, see ENV/JM/MONO(2010)46 at http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=env/jm/mono%282010%2946&doclanguage=en

    6. For more information see Sponsorship programme for the testing of manufactured nanomaterials. Available online at http://bit.ly/14uK9jl
    See also: Mar Gonzales presentation, May 2012, available at http://bit.ly/1BLMu44, p.11

    7. For a list of lead sponsors for each materials, see http://www.oecd.org/env/ehs/nanosafety/MN_Lead_Sponsors_Table_May_2013.pdf For a full list including co-sponsors and contributors for each of the 13 NM, see http://ihcp.jrc.ec.europa.eu/past_events_workshops/joint-jrc-nano-enpra-2011/presentations/Session%202_%20Regulatory%20Implementation/02-Kirsten%20Rasmussen.pdf p.12

    8.Available at http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=env/jm/mono%282009%2920/rev&doclanguage=en

    9. See ENV/JM/MONO(2012)40 - OECD, available at: http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=env/jm/mono%282012%2940&doclanguage=en

    10. OECD Guidelines of the testing of chemicals and related documents, accessed online 22nd July 2014 http://bit.ly/1AwICHe

    11. OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Section 1: Physical-Chemical properties, accessed online 22nd July 2014 http://www.oecd-ilibrary.org/environment/oecd-guidelines-for-the-testing-of-chemicals-section-1-physical-chemical-properties_20745753;jsessionid=102s479l2fgei.x-oecd-live-01

    12. OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Section 2: Effects on Biotic Systems, accessed online 22nd July 2014 http://www.oecd-ilibrary.org/environment/oecd-guidelines-for-the-testing-of-chemicals-section-2-effects-on-biotic-systems_20745761

    13. OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Section 3: Degradation and Accumulation, accessed online 22nd July 2014 http://www.oecd-ilibrary.org/environment/oecd-guidelines-for-the-testing-of-chemicals-section-3-degradation-and-accumulation_2074577x

    14. OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Section 4: Health Effects accessed online 22nd July 2014 http://www.oecd-ilibrary.org/environment/oecd-guidelines-for-the-testing-of-chemicals-section-4-health-effects_20745788

    15. OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, Section 5: Other Test Guidelines accessed online 22nd July 2014 http://www.oecd-ilibrary.org/environment/oecd-guidelines-for-the-testing-of-chemicals-section-5-other-test-guidelines_20745796

    16. Aoyagi, Asako (April 2013) WPMN Steering Groups 5&6 Risk Assessment and Regulatory Programmes/Developments, 11thMeeting of the WPMN, Paris, accessed online 6th August 2014 https://community.oecd.org/docs/DOC-54180

    17. Aoyagi, Asoko (December 2012) WPMN Steering Group 8: Co-operation on Exposure Measurement and Exposure Mitigation Teleconference 3rd December 2012 Summary Notes, accessed online 7th August 2014 https://community.oecd.org/docs/DOC-49486

    18. OECD (January 2011) Nanosafety at the OECD: The First Five Years 2006-2010 http://www.oecd.org/fr/securitechimique/nanosecurite/47211475.pdf page 12

    19. OECD Chemical safety and biosafety Mutual Acceptance of Data, accessed online 24th July 2014 http://www.oecd.org/env/ehs/mutualacceptanceofdatamad.htm

    20. OECD Environment, Health and Safety Briefs: OECD’s Mutual Acceptance of Data (MAD) system, accessed online 24th July 2014 http://www.oecd.org/env/ehs/testing/MAD-briefing-notes-EHS.pdf

    21. OECD (2013) “Malaysia joins OECD agreement on mutual acceptance of chemical safety data” OECD Newsroom, 10th April 2013 accessed online 18th August 2014 http://www.oecd.org/newsroom/malaysia-joins-oecd-agreement-on-mutual-acceptance-of-chemical-safety-data.htm

    22. Environment Directorate: Chemicals Group and Management Committee (Jan 1998) OECD Series on Principles of Good Laboratory Practice and Compliance Monitoring ENV/MC/CHEM (98)7 found online 25th July 2014 http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=env/mc/chem(98)17&doclanguage=en page 7

    23. Environment Directorate: Chemicals Group and Management Committee (Jan 1998) OECD Series on Principles of Good Laboratory Practice and Compliance Monitoring ENV/MC/CHEM (98)7 found online 25th July 2014 http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=env/mc/chem(98)17&doclanguage=en page 13

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