国際環境法センター (CIEL)
CIEL WORLDVIEW 2014年3月27日 我々の未来の透明マントか? 情報源:CIEL WORLDVIEW, March 27, 2014 Invisibility Cloaks In Our Future? By David Azoulay http://ciel.org/wordpress_211560016/?p=1200 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2014年10月28日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/CIEL/CIEL_140327_Invisibility_Cloaks_in_Our_Future.html
ふたつのナノ物質のサイズが変わった時にどのようにそれらの特性が変化するかについて二つの基本的な例を示す。 金:我々が知っているように金は黄金色であり、熱伝導及び電気伝導が非常に小さく、完全に不活性である。化学的反応をさせても金は反応しない。純粋の金のままである。 もし、理想的な物差しで 30 ナノメートル(nm)の金を作れば、人間の髪の毛は 幅が約 80,000 nm であり、赤血球は幅が約 2,000 nm であり、DNA 鎖は約 2 nm なので、30 nm というのは非常に小さいことがわかり、色は赤になり、穏やかな反応性を示すようになる。 3 ナノメートル(nm)では金は緑色になり熱伝導及び電気伝導の両方ともに非常によくなり、反応性をもつようになる。それは完全に異なる物質である。 炭素:我々は、鉛筆の芯や炭として炭素を認識している。幅がわずか数ナノメートルの管(別名カーボンナノチューブ又はCNTs)に製造されると、炭素は、鋼鉄製のものより強度は15倍まで強くなり、重さは10倍軽くなり、驚くような電磁特性と光学的特性を持つようになる。CNTs は、我々のアイフォーンやコンピュータ、ゴルフクラブや自転車の車体で使われている。カーボンナノチューブは、素晴らしいわくわくするような特性の全てを持っている。それらは、ハリーポッター風の透明マント(訳注1)を開発するのに最適であると信じられている。マサチューセッツ工科大学はつい最近、光合成能力を増すために、植物の葉緑体にCNTs を導入することに成功したと発表した。問題は、これらと同じカーボンナノチューブをあなたが少し吸い込むと肺の中でアスベストのように反応し、30年後にはひどい苦痛であなたは殺されるかもしれないということである。 今日、市場にはナノ粒子を含む製品が1,500以上あるが、それらは大部分が、消臭布地、透明な日焼け止め、より白いドーナツ粉砂糖、及び、どちらかと言うと潜在的なリスクは小さいその他の応用である。 その使用と応用は倍加し、全ての分野に広がっているので、我々の直接的な暴露は、我々の健康へのリスクとともに、劇的に増大している。同様にこれらの物質が環境中のいたるところに行きわたっているので、全ての生物生育環境(バイオトープ)や生態系への影響が劇的に増大し、さらに我々が呼吸する空気、我々が食べる食物、我々が飲む水を通じて我々の暴露(したがってリスク)が増大する。この新たな技術は全く興奮をさそうものであるが、上記のことが、それらを安全に市場に出すにはまだ我々の知識は十分でなく、予防を続けるべきとCIELが考える理由である。 ナノ開発の環境的及び社会的影響の意識向上を、特に暴露のリスクがある地域においてはかるという我々の継続する使命の一環として、CIEL と IPEN は地域的ナノガイドブックのシリーズ第3弾を発表している。ラテンアメリカとアフリカの小冊子に続いて、アジア太平洋の小冊子が、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)の第4回アジア太平洋地域会合が開催されるクアラルンプールで発表されるであろう。 訳注1:透明マント
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