ゼロ・マーキュリー・ワーキング・グループ 2009年1月15日
ZMWGが提案する
水銀に関する第25回管理理事会(GC25)決議

情報源:Zero Mercury Working Group, 15 January 2009
Proposed Zero MercuryWorking Group GC 25 Decision on Mercury
http://www.zeromercury.org/UNEP_developments/090115UNEP%20-%20ZMWG%20Proposed%20GC%2025%20Decision%20on%20Mercury.pdf
Zero Mercury Campaign Website
http://www.zeromercury.org/index.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年1月24日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/zmwg/zmwg_proposed_GC25_decision.html


管理理事会

管理理事会は、

 水銀に関する世界政策についての決議 18/12 of 26 May 1995, 19/13 of 7 February 1997, 20/23 of 4 February 1999, SS.VII/3 of 15 February 2002, 22/4 of 7 February 2003, 23/9 of 25 February 2005, SS.IX/1 of 9 February 2006 and 24/3 of 9 February 2007 concerning global policies related to mercury を想起しつつ、

 水銀の人の健康と環境への深刻な有害影響についての広範囲にわたる懸念と緊急な国際的取組みの必要性を認めつつ、
 水銀を含む化学物質管理に関する理事の報告を検討しつつ、
  1. 水銀に関するアドホック公開作業グループの最終報告、及び大気放出と汚染場所に関する報告書を歓迎し、

  2. 水銀に関するアドホック公開作業グループの最終報告中に含まれる包括的な水銀の枠組みの要素を支持し、

  3. ジュネーブにおいて2008年4月1〜3日に策定されたUNEP世界水銀パートナーシップの包括的な枠組みを歓迎して支持し、

  4. 水銀からのリスクを削減するための現在の取組みは水銀によって及ぼされる課題に対応するためには十分ではなく、水銀の使用と放出から生じる人の健康と環境に対するリスクを削減するために求められる単独の世界的な法的強制力のある協定を含んで、調整された国際的な行動が求められると結論付け、

  5. 水銀行動計画は、水銀使用と放出、及び水銀への暴露は様々な業種分野を含む様々な意図的及び非意図的使用を考慮に入れなくてはならないということ、及び、政府間交渉委員会によって策定されるべき枠組みと協定の中で、特定の用途又は分野のために異なるアプローチが必要かもしれないということを結論付け、

  6. 水銀とその化合物の放出をライフサイクルを通じて最小化することにより、そして、可能なら、世界的な人為的な水銀使用と大気、水、大地への放出を最終的には除去することにより、人の健康と環境を保護するために、緊急な調整された国際的な取組みが着手されるべきであるということを決議し、

  7. 人の健康と環境を守るために調整された国際的な行動は下記を含む広範な活動を含むべきことを認め、
    1. 実行可能な限り供給と貿易措置を通じて国際的な水銀使用の最小化と除去、及び製品中とプロセス中での非水銀への代替
    2. 非意図的な放出源からの水銀放出の最小化
    3. 環境的に健全な水銀保管と水銀含有廃棄物の管理の推進
    4. 汚染場所の強化の推進
    5. 水銀の使用と放出、環境中の水銀レベル、及び環境中の水銀の運命に関する必要に応じた追加データの収集
    6. 様々な提案された行動について、段階的な実施による移行期間の使用

  8. 調整された国際的な行動は次のような最適な取組みを具体化することを認め、
    1. 地域的及び国家の状況をそれぞれ他と区別し、開発途上国と経済移行国の特定の課題を考慮しつつ、水銀とその他の関連する問題に対する現行の活動を認めるような方法で策定される単独の世界的な法的強制力のある協定の迅速な策定
    2. 法的強制力のある協定を補うものとして実施される、あるいは独立の自主的取組み
    3. 他の国際的及び地域的協定とプログラムによる重複を避ける相互に支援的で効果的なプログラムによる調和の取れた環境及び健康の成果を確実にするための水銀に関する地域的及び国際的取組み
    4. 科学的、技術的、医学的、経済学的専門性の投入と、この投入を供給すべき既存の制度、専門家、利害関係者の能力の検討
    5. 透明性、効果的な実施、及び制度の順守を支援するメカニズム

  9. 開発途上国と経済移行国は、法的強制力のある協定及び/又は自主的取組みの下に適切な行動を実施するための適切で十分な経済的及び技術的支援を必要とすることを認め、

  10. 理事に対し、他の関連する国際組織とともに、水銀に関するアドホック公開作業グループによって策定された包括的水銀の枠組みの要素に基づき、水銀に関する国際的行動を実施するための世界的な法的強制力のある協定を準備する義務を持った政府間交渉委員会を準備し召集することを求める。政府間交渉委員会への参加は、適切な国際連合のルールに従い政府及び関連する政府間及び非政府組織に開かれたものでなくてはならない。

  11. 水銀をカバーする世界的な法的強制力のある協定は将来、追加的な物質に拡張することができ、政府間交渉委員会の義務は管理理事会のさらなる決定により補われるかもしれないことを認め、

  12. 水銀のための世界的な法的強制力のある協定を策定する間に、バーゼル条約、ロッテルダム条約、ストックホルム条約及び気候変動条約の範囲内で現在実施されている作業を、本決議15項(g)の下に実施される調査を含んで、十分に検討することを勧告し、

  13. 政府間交渉委員会は2009年9月までにその作業に着手することを求め、

  14. 理事に、2012年末までに結論付けられるべき水銀放出の削減/除去のための国際的行動のための世界的な法的強制力のある協定を採択し署名することを目的とする外交官会議を開催すること求め、

  15. 理事に対し、他の国際的及び地域的組織、政府及び非政府組織、学究的専門家、その他の適切な組織/人と協力し、次のことのために迅速な行動を起こすことを求め、
    1. 水銀使用に関する情報の開発と共有のための:
      1. 場所、サイズ、既存の放出制御機器、その他のデータを提供する優先的大気放出源の定期的に更新される分野特定のインベントリー
      2. 情報のギャップに対応し、水銀暴露を削減し、優先的な世界的汚染物質である水銀に関する地域的及び世界的な認知を高めるための、魚、野生生物、及び環境の媒体中の水銀のサンプリング
      3. 世界の水銀汚染問題の程度の認知と理解のために必要とされる国のインベントリー
      4. インターネット上の電子データベースを含んで、国連環境計画の水銀に関する情報のためのクリリングハウスを維持することにより、水銀問題に関する既存及び将来の情報への開発途上国のアクセスの改善
    2. 優先的大気放出源からの放出値の2年に1度の収集のための報告様式とデータベースの利用を開発し、そのようなデータを4年に1度の世界放出報告−次回の報告は第27回管理理事会/世界閣僚フォーラム−を更新するために利用すること
    3. 優先的大気及び水放出源の監視を含んで、最良の入手可能な技術と最良の環境的実施に基づく指針を開発すること
    4. 非水銀製品とプロセス代替に関する情報と専門性の入手可能性を改善し、関連するパートナーシップとその他の適切な活動を通じて、そのような代替の利用を促進すること
    5. そのような採掘が行われる諸国の環境を考慮して、新たな一次水銀採掘を抑制し、既存の一次水銀採掘の廃止を奨励し、水銀を市場に出すのではなく水銀の短期的及び長期的な保管能力の開発を奨励し、環境的に不適切な世界的な水銀使用を抑制するために必要なその他の行動を奨励することにより、水銀供給の世界的な削減を推進すること
    6. 小規模金採鉱での水銀使用を削減するために、特に地域の特性を考慮した協調的なプログラムに着手し推進すること
    7. 石炭焚き設備からの水銀放出削減に利用可能な選択肢、気候変動に対応してとられる措置による水銀放出削減の可能性、及びコスト効果のある方法で著しい水銀放出削減の達成に役立つ管理戦略選択肢に関連するコストと水銀放出削減を調査し、調査結果を第26回管理理事会/世界閣僚フォーラムに報告すること
    8. UNEP水銀活動の効果を評価する手法を開発すること
    9. これらの行動範囲の中で技術移転を推進し容易にすること

  16. 政府間交渉委員会の設立と、その後の水銀に関する単独の世界的な法的強制力のある協定の交渉は国連環境計画の優先的行動であるとみなされるべきであると結論付け、

  17. 理事に対し、適切な事務局機能の支援を提供し、作業に必要な分析報的告書を準備し、政府間交渉委員会と開発途上国、特にもっとも小さな開発途上国や小さな島の開発途上国、経済移行国、及び先住民の政府間交渉委員会への完全で効果的な参加を支援するために適切な資金が提供されることをを確実にすることを含んで、政府間交渉委員会の作業を推進し支援することを求め、

  18. 理事に対し、地球環境ファシリティ( Global Environmental Facility)のような適切な政府間組織と政府の調整で、本決議の第15項で特定されている行動項目を実施するために適切な資金が提供されることを確実にするよう求め、

  19. そのように実施すべき立場にある政府とその他の関係者に対し、本決議の第15項で特定される行動項目の実施を可能とするために国連環境計画に必要な資金的及び技術的資源を提供し、開発途上国、特にもっとも小さな開発途上国や小さな島の開発途上国、経済移行国、及び先住民の政府間交渉委員会への完全で効果的な参加を含んで、政府間交渉委員会の完全で効果的な機能を可能とするよう求め、

  20. そのように実施すべき立場にある政府とその他の関係者に対し、開発途上国、特にもっとも小さな開発途上国や小さな島の開発途上国、経済移行国が水銀に関する適切な行動をとることを可能にするために、技術的支援、能力構築、及び資金調達を可能とするよう求める。


化学物質問題市民研究会
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