
ASGMの水銀放
ASGMにおける水銀使用
 |
水銀は、水銀と金との合金を作ることにより、鉱石から金を抽出するために用いられる。この混合物を加熱して水銀を蒸発させ、金だけを残す。水銀を使用したこのプロセスは、安価で、利用しやすく、簡単であり、採鉱者が手早く、しばしば、たった1日で金を取り出すことができるので、現在、他の金抽出手法に比べて小規模金採鉱者によく使用されている。発展途上国における小規模金採鉱(ASGM)は、水銀の用途として、世界最大である。
人と環境の健康
他の産業用途と対照的に、ASGMで使用される水銀のほとんど全ては、最終的には直接環境に放出される。放出された水銀は、最初に地域の大気、土壌、水路、水銀採鉱者、そして彼らの村を汚染し、深刻な健康リスクをもたらす。大気に放出された水銀はまた、長距離を移動し、世界中の湖、河川、そして土壌を危険に曝す。
貧困の救済
ASGMは、特に田舎にある地域社会の貧困救済に重要な機会をもたらす。採鉱による収入は、しばしば、同じ地域の典型的な農業活動で得られる収入より2〜4倍高い。ASGM分野は、70カ国以上の1,000万から2,000万の人々の主要な収入源であり、世界中で間接的に5,000万から1億の人々の生活を支えていると推定されているが、金価格の上昇は金採鉱者にとって魅力であり、その数は上昇している1。
解決
水銀使用と曝露を大幅に削減するために直ぐに実施できる簡単で効果的な代替手法がある。これらには、ASGMにおける最悪の実施方法を廃絶することを含む。最悪の手法とは、水銀を不必要に使用しているか、又は(1) 鉱石全体のアマルガム化、(2) 蒸留器又はその他の水銀蒸気捕集システムを使用しないアマルガムの直接加熱、(3) 水銀アマルガム化後、又は最初に水銀を除去せずに水銀を多く含む残渣処理にシアン化合物を使用−である。
ある場合には、水銀を使用しない代替が実施可能である。水銀使用手法の廃絶、及び低水銀又は水銀を使用しない代替手法の採用を促進するために、水銀使用削減とその管理のための動機を高める水銀供給の制限が必要である。さらに、いくつかの国では必要な協力と投資を得るために、小規模金採鉱者のための法的及び経済的構造が修正される必要がある。
条約管理措置
条約は、採鉱者にとって水銀の利用が難しくなり魅力をなくすために、水銀の世界的な供給と貿易を制限すべきである。この条約は、国ごとにASGM操業と地域社会の環境的、社会的、経済的特性に特化した具体的なASGMにおける水銀削減目標の設定を義務付けるべきである。これらの水銀削減目標は、最低限、最悪のASGM手法の廃絶と水銀使用の少ない手法を求め、実行可能ならば水銀を使用しない代替手法を促進すべきである。
脚注1:Telmer K.H and Veiga M.M. (2009) World emissions of mercury from small scale and artisanal gold mining. In: Mercury Fate and Transport in the Global Atmosphere Emissions, Measurements and Models; Part of the UNEP
Mercury F&TPartnership, Pirrone, Nicola; Mason, Robert (Eds.); Springer, 637 p.
|