GMA News Online 2012年8月22日
フィリピンのブラックマーケット
小規模金採鉱の金を中国に密輸


情報源:GMA News Online in Phlippines, August 22, 2012
PHL black market yields gold for China
http://betterphils.blogspot.jp/2012/08/philippines-black-market-yields-gold.html

http://www.gmanetwork.com/news/story/270724/economy/
business/phl-black-market-yields-gold-for-china
 (リンク切れ)

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年9月1日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/news/
120822_PHL_black_market_yields_gold_for_China.html


 フィリピンの小規模金採鉱からの金産出の90%は東南アジア以外の諸国へ、そして大部分は中国へ流出していることを、ロイター通信員によるミンダナオ島の金採鉱地域での現地調査、及び採鉱者、取引業者、規制当局とのインタビュー、さらには金取引データのレビューにより判明した。

 潜在的な国家歳入の損出はかなりの額になる。貴金属コンサルタント会社トムソン・ロイター GFMS によれば、フィリピンは世界で第18位の金産出国である。フィリピンは、2011年には100万トロイオンス (約30トン)、16億USドル相当(約13億円)を産出しており、その56%は小規模金採鉱に由来する。

 金産出は減少していないが、合法的な金購入高は減少している。

 今年の第二・四半期に小規模金採鉱者と取引業者により中央銀行に売られた金の量は、前年比で98%減少した。

 フィリピンの採鉱活動を所管している鉱物地球科学局は、ひとつの結論に至らざるを得なかった。

 ”金産出は同量であるが、それらは地下に潜った。行き先はブラックマーケットか国外への密輸であると我々は疑っている。80%ほどの金損失である”と鉱物地球科学局のディレクター、レオ・ジャサレーノは述べた。

 ジャサレーノは、取引業者が金を外国の買手に売るということを告げていると述べた。
 ”金は、未確認情報であるが、香港、マレーシア、中国に輸出されているという未確認情報がある”とジャサレーノは述べた。

 彼は、合法的市場からの金の消滅、推定約24トンについての犯罪者集団の関与を調査するであろうと付け加えた。

 取引業者と規制当局は、過去数年の金密輸の急騰傾向の背景にある最大の要因は、新たに導入された課税にあると述べている。2011年以来、どのような金販売も2%の消費税(excise tax)及び5%の源泉徴収税(withholding tax)が課せられ、通常取引業者が負担する。

 この税を嫌って、多くの取引業者はブラック・マーケットに向かったと当局は述べている。

 フィリピンで小規模金採鉱が最も盛んな最大のコンポステラ・バレー州(フィリピン南部)知事としてマウント・ディワタを管理下に置くアーサー・ウイは、金のブラックマーケットは主に首都マニラを拠点としていると述べた。

 "ブラックマーケットは現在、繁盛しており、彼等はブラックマーケットに生産物を送っているが、それはブラックマーケット活動をしているビジネスマンは、2〜3%しか課税しないからである”とウイは述べた。

 二期目の州知事であり、彼の中国系家族がマウント・ディワタでにある最も生産性が高い4つの小規模金採鉱のひとつを所有しているというウイは、産出される90%の金は、ブラックマーケットに行き、そのほとんどが香港に密輸されると述べた。
 もし、1991年の小規模採鉱法が守られるなら、フィリピンで採鉱者により産出される全ての金は中央銀行に売られ、同行は概ね世界の市場価格でそれらを買うことになる。

 フィリピンの総産出の3分の2以上を占める小規模金採鉱は、中央銀行が保有する金の主要供給源であり、今年のはじめには最高額の104億ドル(約8兆円)に達した。

 これらの採鉱所で生産されるほとんどの金は密輸出され、フィリピン中央銀行は金保有の最も安い供給源を失いつつある。

 問題は金から他の鉱物に飛び火し、7,100以上の群島からなるこの国の抜け穴だらで取締りが不適切な国境から密輸されている。

 フィリピンは、金、銅、ニッケル、クロム、マンガン、銀、鉄など1兆ドル(約80兆円)に相当する鉱物を保有していると信じられている。

 取引業者と規制当局は、金の多くは香港ではなく、中国への金の流れの主導管に流れ込んでいるように見えると述べている。

 香港とフィリピンの統計の食い違いがしばしば規制当局を悩ましている。

 2005年から2010年の香港の最大金輸入国はフィリピンであったことを中国の公式データは示している。フィリピンから香港への金輸出のピークである2010年の81,471kgは、9年前のわずか11kgを優に超えており、2011年も81,192kgを保っていた。

 しかし、合法的輸出を反映しているフィリピンの公式統計は、2010年と2011年の香港への金輸出は香港当局により記録された合計量の約3%でしかない。

 フリピンの関税データは供給契約のある大鉱山会社による輸出だけを表しているが、それは小規模採鉱からの金の輸出は禁止されているからである。

 この数年歴史的な高値の傾向を示す金価格は、世界中の不法な金採鉱を促している。カナダに拠点を置くArtisanal Gold Councilによれば、不法採鉱は現在世界の金産出の15%以上を占めている。

ロイター



化学物質問題市民研究会
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