2013年1月8日 ニュースリリース
水俣病被害者・市民団体共同声明
世界36か国のNGOsが自国政府に送付


掲載:化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2013年1月8日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/minamata/130108_News_Statement_of_Minamata.html


 「水俣病被害者・市民団体共同声明:水俣の問題が解決されず、水銀条約に水俣の教訓が反映されないなら水俣条約という命名に反対する」 と題する下記の声明が、2012年12月24日に水俣で開催された”水銀条約を考える集い実行委員会”主催の「水銀条約を考える集い」で紹介され、12月27日付けで同実行委員会により、内閣総理大臣、外務大臣、経済産業大臣、環境大臣、熊本県知事、水俣市長宛に提出されました。

 この声明を直ちに英語に翻訳し、世界の環境700団体の連合体であり、水銀条約交渉(INC)に参加する NGOsのリーダーとして活躍しているIPEN(国際POPs)に送付したところ、さらに中国語、フランス語、ロシア語、スペイン語、アラビア語に翻訳されて世界中のNGOに広められました。現在、さらに多くの言語への翻訳作業が行なわれています。

 また、IPENのメンバーのうち、水銀条約交渉に参加している下記36か国のNGOsが自国政府にこの声明を送付したことが、1月7日にIPENのウェブページで発表されました。http://ipen.org/hgfree/inc5/

Argentina | Bangladesh | Belarus | Brazil | Cameroon | Canada -1, 2 | Central African Republic | Chad | Chile | China | Colombia | Cote d’Ivoire | Czech Republic | Democratic Republic of the Congo | Gabon | India - 1, 2, 3 | Jamaica |Japan | Lebanon | Madagascar | Mexico | Moldova | Nepal | New Zealand | Niger | Romania | Russia | South Africa | Spain | Sri Lanka | Tunisia | Uganda |Uruguay | USA | Venezuela | EU


2012 年12 月27 日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
外務大臣 岸田 文雄 殿
経済産業大臣 茂木 敏充 殿
環境大臣 石原 伸晃 殿
熊本県知事 蒲島 郁夫 殿
水俣市長 宮本 勝彬 殿

水俣病被害者・市民団体共同声明
水俣の問題が解決されず、水銀条約に水俣の教訓が反映されないなら
水俣条約という命名に反対する

 私達は、水俣病の被害者及び市民団体です。世界の何処にも水俣のような悲劇を繰り返すことのないようにするために、国連環境計画(UNEP)の下に2013 年に採択されるべく、現在検討されている水銀条約に水俣の教訓が反映されることは極めて重要であると考えます。しかし、2013 年1 月の最終交渉(INC5)での討議用に現在提案されている議長ドラフト・テキストの条約案第14 条“汚染サイト”には「水俣の教訓」から導かれる下記要求が反映されていません。

1:汚染サイトへの責任と修復を汚染者に求めること
2:全ての被害者への責任と補償を汚染者に求めること
3:国と汚染者に被害の全貌解明のための徹底的で透明性のある調査を求めること
4:被害に関連する情報をすべて開示すること

 これ等「水俣の教訓」を尊重し、水銀条約に反映させることは、水俣病を経験した日本政府の責務であり、その実現のために最大限の努力が求められていると理解します。

 水俣病の全容解明、被害者の救済は道半ば、水俣湾には150万m3にも及ぶ水銀ヘドロが工事着工以来30 年以上、未処理で暫定的に埋め立てられたままであり、八幡残渣プールも未処理です。

 国連環境計画(UNEP)は、日本政府の提案により、2013 年に水銀条約の採択、署名のための外交会議を日本で開催することを決定しており、日本政府は条約名を「水俣条約」とすることを提案しています。しかし水俣の悲劇がいまだ解決していない状況で、「水俣の教訓」が反映されていない条約に、「水俣条約」と命名することは水俣病被害者の尊厳を冒涜するものであり、水銀条約の権威を損なうことになると考えます。

 私たちは上述の水俣の教訓を水銀条約の義務的条項に反映するよう求めるとともに、もし水俣の教訓が意味ある形で条約に反映されない場合には、水俣条約と命名することに同意できません。

賛同団体及び個人
水俣病被害・市民の会、水俣病被害者互助会、水俣病互助会、チッソ水俣病患者連盟、水俣の暮らしを守る・みんなの会、個人(35 名)

連絡先 水俣病被害・市民の会 代表 坂本 龍虹 Tel&Fax 0966-62-0470
水俣病被害者互助会 代表 佐藤英樹 Tel&Fax 0966-63-8779
〒867-0023 熊本県水俣市南福寺108



化学物質問題市民研究会
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