C&EN 2007年11月14日
米下院 金属水銀の輸出禁止法案を可決
エネルギー省は産業からの余剰水銀の保管が必要


情報源:C&EN November 14, 2007
House Passes Ban On Exports Of Elemental Mercury
Bill would require DOE to store excess metal from industry
by Cheryl Hogue
http://www.pubs.acs.org/cen/news/85/i47/8547news2.html

訳:安間 武/化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年10月4日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/US/071114_C&EN_mercury_ban.html



 米下院は2007年11月13日に、2010年以降、金属水銀の輸出を禁ずる法案を採択した。

 この法案はエネルギー省に対し、塩素−苛性ソーダ製造設備(訳注:水銀電極法)、金鉱山操業、及び、蛍光灯や水銀含有機器のリサイクルで回収する水銀を保管することを要求する。

 同法案 H.R. 1534 は、神経毒素である水銀の環境中への排出をなくすことを目的としている。世界中で大量の水銀が市場で販売されており、その多くは開発途上国の小規模な金鉱山操業に向けられている(C&EN, May 28, page 26)。子どもを含む数百万人の金鉱山労働者は岩石と砂のかけらから金を分離するために使用される水銀により汚染されている。

 エネルギー省に水銀を保管することを求める条項は、3つの産業界組織、米国化学工業協会(American Chemistry Council)、塩素協会(Chlorine Institute)、米国鉱山協会(National Mining Association)、さらには環境団体である天然資源防衛協議会(NRDC)や州政府環境規制首脳の全国組織である全国環境協議会との協議の後に、共和党と民主党により交渉が行われた。

 ブッシュ政権はこの法案に反対している。ホワイトハウスの声明は、エネルギー省に水銀保管を求める同条項は、”同省の中心的任務の所掌範囲外であり、納税者に追加的な費用を課すことになる”と述べている。

 発声投票で採択された法案 H.R. 1534 は会社に対し、水銀保管の費用の大部分をカバーする料金を毎回エネルギー省に払うことを求めている。

 議会予算局(Congressional Budget Office)は、エネルギー省はテネシー州オークリッジの施設に保管するために、1ポンド(0.454kg)当り3ドル、又は1トン当り6,600ドルを産業側に課すと見積もっている。エネルギー省はそこに、”冷戦( Cold War)”の後遺症である数百トンの水銀を保管する。

 米上院はまだ共同法案である H.R. 1534 を提議していない。上院議員バラク・オバマ(民主党・イリノイ州)が法案 S. 906を3月に提出した。



化学物質問題市民研究会
トップページに戻る