欧州委員会 - BiPRO 2010年4月16日
液体及び固化水銀の可能性ある保管オプションと
対応する許容基準及び施設関連要求に関する拡大サマリー

5. 結論と勧告

情報源:European Commission/BiPRO, April 16, 2010
Extended summary on possible storage options for liquid and solidified mercury
and the corresponding acceptance criteria and facility related requirements
5. Conclusions and recommendation
http://www.unep.org/hazardoussubstances/LinkClick.aspx?fileticket=phEBiZTt6pc%3d&tabid=4325&language=en-US

報告:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年5月21日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/Storage/100416_BiPRO_Report_Mercury_Storage.html

欧州委員会の委託を受けてドイツのコンサルタント会社 BiPRO が作成した349頁からなる報告書の中から「結論と勧告」の部分を紹介しました。
5. 結論と勧告

 規則 EC (No) 1102/2008 のひとつの大きな目的は、廃棄物とみなされる余剰水銀の安全な保管を確実にし、それが再び市場に入り込むことを防ぐことである。この研究の目標は実行可能な保管オプションを特定し、必要があれば、その実施のための許容基準案と最小要求を定義することである。

1. 安全な余剰水銀の保管のための可能性あるオプションは入手可能である

 下記の永久保管オプション(事前の暫定保管なし)が可能性あるオプションとして評価された。
  • 金属水銀の岩塩鉱での永久保管
  • 金属水銀の事前処理後の岩塩鉱での永久保管
  • 金属水銀の事前処理後の深い地下岩盤での永久保管
  • 金属水銀の事前処理後の地上施設での永久保管
 これらのオプションの入手可能性に関して不確実性がまだ存在するので、暫定的保管オプションもまた次のように検討された。
  • 金属水銀の岩塩鉱での暫定的保管
  • 金属水銀の地上施設での暫定的保管
 これらのオプションは2011年3月までにおそらく入手可能であろう。若干の懸念は、埋立処理(地上及び地下)における液体水銀の保管のために根拠ある許可が得られる処分場が現在ないという事実である。さらなる不確実性は事前処理のための十分な能力が2011年3月には得られると発表されたが、実際にはまだ存在しないという事実に基づく。

2. 許容基準と追加的な施設関連要求が開発されている

 液体水銀の安全な保管のための可能性あるオプションとして評価された全てのオプションについて許容基準と追加的な施設関連要求が現在入手可能である。 これらの関心は特に:
  • 金属水銀のための最小許容基準と手続き(例えば、純度99.9%重量以上)及び容器(例えば、炭素鋼容器)
  • 安定化水銀のための最小許容基準(例えば、漏洩率は 2 mg/kg drymass 以下)
  • 岩塩鉱における永久保管のための追加的施設関連要求(例えば、保管場所の最小深度:300m)
3.推奨されるオプション

 経済的及び環境的評価に基づき、下記のオプションが推奨される。
  1. 金属水銀の事前処理(硫黄安定化)後、岩塩鉱で永久保管(最高レベルの環境保護。許容できるコスト)
  2. 金属水銀の事前処理(硫黄安定化)後、地下岩盤での永久保管(高いレベルの環境保護。許容できるコスト)
  3. 岩塩鉱で永久保管(高いレベルの環境保護。最もコスト効果のあるオプション
4. 推奨される暫定保管のための時間枠

 現在、永久解決(保管)が入手可能ではないので、−全ての潜在的な永久解決(保管)は2011年3月までの入手可能性に関連する不確実性がある−最終保管が入手可能となるまで、暫定的保管解決がこの溝を埋めるために必要である。暫定保管の時間枠として5年間が推奨される。

 規則 Regulation (EC) No 1102/2008 はの見直しは、2013年3月15日までに行なわれると見越されている。この見直しプロセスの中で、永久オプションの実際の入手可能性がチェックされ、将来の暫定保管の要求が討議されるべきである。



化学物質問題市民研究会
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