水銀条約第3回政府間交渉会議(INC3)における
当研究会発言の発言
第14条 汚染サイト

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安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年11月7日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC3_CACP/CACP_INC3_Interventation_Article_14.html



水銀条約第3回政府間交渉会議(INC3)
2011年11月1日、ナイロビ、ケニア
第14条 汚染サイト

議長、ありがとうございます。
私は、日本の化学物質問題市民研究会(CACP)の安間武です。
私の発言は第14条:汚染サイトに関連するものです。

 水俣病は50年以上前に汚染されたサイトから引き起こされたもので、汚染サイトの問題は、水俣の悲劇と密接に関連します。その時以来、水俣の悲劇により5万人を超える被害者が出ていると言われており、水銀で汚染されたサイトが引き起こす危害を世界に知らしめることになりました。
 もし、条約が水俣条約と名づけられるなら、この条項(第14条)は、将来再び同じような水俣病が起きぬよう、INC3 参加代表者らがどれだけ真剣に対応しようとしているのかを示すものであると信じます。

 水俣の経験に基づき、私達は次の3点を勧告します。

  1. ドラフト条約テキストは二つのオプションを示しており、そこには汚染サイトのための適切な義務に関する見解に大きな差異があります。解決に向けて前進させるために、締約国が緊急の健康状態を最優先し、必要な行動を取るための基本情報を入手することができるよう、汚染サイトの目録作成と汚染状況を明らかにすることを義務付けることを私達は提案します。

  2. 私達は、汚染サイトの修復コストと被害者に対する適切な補償を支払うことを義務付ける文言をオプション1に追加することを提案します。この文言はまた、リオ原則10:情報へのアクセス;リオ原則13:汚染の被害者とその他の環境ダメージのための補償;リオ原則16:汚染者負担原則−を含むべきです。また、責任ある当事者を特定することが出来ない、又は必要なレベルのリソースが欠如している最も問題のあるサイトに対応するために、国際的な協力を促進するための規定が含まれるべきです。

  3. 水銀汚染物質が汚染サイトの修復のために除去されるときには、それらが引き続き汚染源となることを防ぐために、環境的に適切な方法で収集され、運ばれ、処理され、管理されるべきです。汚染サイト修復の結果として生成される廃棄物の安全な管理のために、ガイドラインが開発され、関連する文言が、第13条(廃棄物)に従う修復廃棄物の安全な管理を求めるべきです。
 これらの三つの措置は、150万立方メートルの汚染スラッジが”仮埋立地”ということで水俣湾にまだ存在する水俣の現在のサイトにも適用されるべきです。

 私達は、水俣の悲劇を敬うことは、水俣のような悲劇が決して再び起きないようにするために、公衆を汚染サイトから守るための義務を含めることを意味すると信じます。

 ご検討を感謝します。



化学物質問題市民研究会
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