UNEP(DTIE)/Hg/INC.3/8, 31 October 2011
水銀に関する法的拘束力のある国際的協定書策定のための
第3回政府間交渉(INC3)報告書

2011年10月31日〜11月4日 ナイロビ(ケニア)

情報源:UNEP(DTIE)/Hg/INC.3/8, 31 October 2011
Report of the intergovernmental negotiating committee to prepare a global legally binding instrument on mercury on the work of its third session
http://www.unep.org/hazardoussubstances/Portals/9/Mercury/Documents/INC3/3_8_report_final.pdf

掲載:2012年3月1日
安間武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC3/INC3_UNEP_Report.html

 本報告書は、UNEPが水銀条約ドラフト・テキストに関するINC3における総会での各国政府代表及びNGOsを含む参加者の発言の概要と、コンタクト・グループの討議の結果をまとめたものである。
 最初に第14条汚染サイトに関連する部分を日本語紹介し、その後、可能な範囲で、順次日本語化する予定である。

目次

8. 保管、廃棄物、汚染サイト (ドラフトテキスト セクション H)

 (a) 環境的に適切な[商品水銀の]保管 (ドラフトテキスト セクション H 第12条)
 (b) 水銀廃棄物 (ドラフトテキスト セクション H 第13条)
 (c) 汚染 [及びpolluted]サイト(ドラフトテキスト セクション H 第14条)
 (d)コンタクト・グループの設立とその作業成果

(c) 汚染[及びpolluted]サイト(ドラフトテキストのセクション H, 第14条)

126. 国家グループ代表を含む何人かの代表は、汚染サイトは、人の健康にとって重要であるが、その解決のためには財政的及び技術的援助を要するかなりの技術的課題があると述べた。1人の代表は汚染サイトに対応する国内法が必要であり、曝露防止と汚染サイトの修復(remediation)及び再建(rehabilitation)の管理に関する条項を含むべきであると述べた。そのような問題について彼の国の経験を引用しつつ、技術的指針と情報を共有することを申し出た。彼は、汚染サイトの義務的な浄化は締約国に大きな負担を課し、大気放出のようなもっと重要な問題から労力をそらすであろうと示唆した。他の1人の代表は、そのようなサイトの修復(remediation)及び再建(rehabilitation)は1件づつ慎重に締約国によって決定されるべきであると示唆した。

127. 何人かの代表は、諸国は汚染サイトの目録を作成する必要があると述べ、国家グループを代表してある1人が、特にひどく汚染されたサイトを評価する必要性があると強調した。1人の代表は、開発途上国は全ての汚染サイトのための指針原則並びに、技術的及び財政的援助があって達成できる意識向上キャンペーンが必要であると述べた。他の者は、汚染サイトの修復は義務的なリスク評価を先ず行なうべきであり、それはまた、最もひどく汚染されたサイトの優先付けに役立つであろうと述べた。リスク評価と修復は高価であることに言及しつつ、彼は、汚染サイトの特定から修復まで、この問題及び全ての局面に国が対応可能な財政的メカニズムに対してどのように取り組むかについての助言が必要であることを強調した。

128. ある非政府組織の代表は、水俣の悲劇の一部は汚染サイトの結果であると述べつつ、水俣の悲劇を思い起こさせた。条約文書は、サイトとその他の行動の優先付けの基礎を提供するために汚染サイトの目録の義務的な作成を規定し、修復と被害者の補償に汚染者負担を求め、責任ある汚染者が特定できない又は十分なリソースがない場合には国際的な協力を促進すべきであり、情報へのアクセス、責任と補償、及び汚染者負担原則のためのリオ原則 10, 13 及び16を実施するためのメカニズムを含むべきであると、彼は述べた。

(d)コンタクト・グループの設立とその作業成果

129. 委員会は、Ms. Anne Daniels(カナダ)とMs. Abiola Olanipekun (ナイジェリア)を共同議長とする、保管、廃棄物及び汚染サイトに関するコンタクト・グループを設立することに合意した。保管に関してコンタクト・グループは、使用することを意図された水銀の保管;水銀条約の保管条項は余剰水銀に、商品に、または全ての種類の水銀に適用されるべきかどうか;及び一時的な、永久の、及び暫定的な保管に関連するオプションを検証することを求められた。地域的アプローチが全ての地域に実現可能かどうかを明らかにする必要がある。廃棄物に関してコンタクト・グループは使用許可されない水銀は廃棄物とみなされるべきかどうか;水銀条約はバーゼル条約の定義と規則をどの程度反映させるべきか;及び汚染サイトの修復に関して一般的な義務はあるのかどうか、又はこれについての具体的な規則を開発する要求があるのかどうかを検討することを求められた。

130. その後、Ms. Daniels はコンタクト・グループの作業結果を報告した。ドラフト・テキストの第12条〜14条及び関連するアネックスの議論を反映した同グループの会議メモ(CRP/conference room paper)が配付され、本報告書のAnnex IIに示された。INC間の作業に関して本報告書の第 IV 章 セクションAで言及されているように、委員会は事務局が会議メモ(CRP)に示されたテキストを、INC4 における検討用に、UNEP(DTIE)/Hg/INC.3/3 に示される水銀条約ドラフトテキストの修正版に反映することに同意した。

Annex II
Conference room papers setting out draft text of the proposed mercury instrument discussed by contact groups as it stood at the conclusion of the third session of the intergovernmental negotiating committee2

II. 保管、廃棄物、汚染サイトに関するコンタクト・グループ
2011年11月3日版

第14条 汚染サイト

1. 各締約国は、水銀及び水銀化合物で汚染されたサイトを特定し、評価するための適切な戦略を開発するよう努力しなくてはならない。

2. そのようなサイトにより引きこされるリスクを低減するためのどのような行動も、[適切ならば、]サイトが含む水銀及び水銀化合物からの人の健康と環境へのリスクの評価を反映しつつ、環境的に適切な方法でなされなくてはならない。

3. 代案 1 締約国会議は、汚染サイト管理の原則に関する指針を[採択しなくてはならない][開発てもよい]。

3. 代案 2 締約国会議は、下記を含む汚染サイト管理の原則に関する指針を[採択しなくてはならない][開発てもよい]。

(a) [適用可能なら][実行可能なら][、参照値及び濃度制限値の使用を通じることを含んで]汚染サイトを特定し、評価すること。
[(a) bis 実行可能なら、地域及び国家の参照値及び濃度制限値]及び[曝露レベル]。
(b) 水銀汚染の拡大を防止すること。
(c) 汚染サイト、特に人と環境に著しいリスクを呈するようなサイトを管理し、実行可能で経済的に見込みがある場合には、修復及び再建すること。]

4. 締約国は、能力構築、財政的及技術的援助の条項[に従い][を通じることを含んで]、汚染サイトを特定し、評価し、優先付け、管理し、[適切なら]修復し再建[しなくてはならない][してもよい]。



化学物質問題市民研究会
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