ZMWG プレスリリース 2013年10月2日
条約採択を前に、毛髪テストが
世界中の水銀曝露を示す

情報源:Zero Mercury Working Group
Press Release 02 October 2013
In advance of treaty adoption, hair testing shows worldwide exposure to mercury

http://www.zeromercury.org/index.php?option=com_content&view=article&id=269:in-advance-of-treaty-
adoption-hair-testing-shows-worldwide-exposure-to-mercury-&catid=69:press-releases-2013&Itemid=82


訳:安間武 (化学物質問題市民研究会)
掲載:2013年10月21日

このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/DipCon/ZMWG/ZMWG_press_release_131002_hair_testing.html
PDF 版
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/DipCon/ZMWG/ZMWG_press_release_131002_hair_testing.pdfl

[2013年10月2日 水俣、日本] 水銀に関する世界条約の採択の直前にして、ゼロ・マーキュリー・ワーキング・グループの報告書は、世界の水銀汚染と曝露を削減するために可能な限り速やかに条約が批准されることの重要性をハイライトした。この条約は、1950年代に初めて発見された大きな水銀中毒事件が起きた日本の水俣の近くで署名される。

 東京を拠点とする化学物質問題市民研究会を含む9か国からの市民社会組織が、妊娠可能年齢の女性の毛髪水銀レベルを確かめ、暴露削減の意識向上をはかるために、この調査に参加した。この調査はいくつかの国の女性は、魚の摂取に相関して高い水銀レベルであることを明らかにした。

 ほとんど4分の1(24%) のサンプルが、広く認められている米環境保護庁の指針値である1μg/g(毛髪1g中に水銀1μg) を越えていた。特に、4か国で、女性の高い割合がこの閾値を超えていた。
  • 日本:71%
  • スペイン:64%
  • モーリシャス:36%
  • コート・ジボワール:23%
 この結果は、日本の女性の毛髪水銀レベルは、テストした他の諸国よりも著しく高かったと岡山大学大学院環境生命科学研究科の頼藤貴志准教授は述べた。”胎内でのメチル水銀への曝露による子どもの有害健康影響のリスクはよく報告されており、母親の曝露が増大するにつれて高くなる”。

 ほとんどの曝露調査は先進国で実施されてきたが、他の地域での暴露についてはあまり知られていない。

   ”世界中で曝露の変動を評価するための能力を是非拡大しなくてはならない”と、ZMWG国際コーディネータのマイケル・ベンダーは述べた。”市民社会は、特に地域のコミュニティに近づきやすいので、毛髪テストは市民参加に適している。それはまた、暴露削減に関する条約の進捗を評価するためにも利用できる”。

 妊婦に加えて、この報告書はむ潜在的なリスクがある下記を含む他の集団を特定した。
  • 地域の汚染源に暴露している集団
  • 沿岸部の集団
  • 先住民
  • 漁民
  • 魚を大量に食集団
 この報告書は、国毎に状況は大きく異なり、摂食する魚の種類と量や家族の収入を含んで、複数の要因により影響を受けるように見える。

 ”政府は、魚の水銀濃度を測定し、特に妊婦、子ども、及び大量に魚を食べる人々を保護するための勧告を示すべきである”とEEB/ZMWG国際コーディネータのエレーナ・リンベリディ-セッチモは述べた。

###


訳注:報告書の一部抜粋
(毛髪サンプルは南デンマーク大学環境医学研究所に送られ分析された。)

Summary_of_hair_mercury_concentration.jpg(70901 byte)
Individual_253.jpg(38843 byte)
Individual_264.jpg(25430 byte)


参考:国立水俣病総合研究センター
毛髪水銀濃度の目安
(ppm=μg/g)

50 ppm:成人で神経症状出現が疑われる最小値(WHO、1990)
11 ppm:胎児影響が疑われる母親の最小値(日本、2005)
5 ppm:成人に対する耐容摂取量に相当(日本、1973)
2.8 ppm:胎児影響を考慮した母親の耐容摂取量に相当(日本、2005)*
2.5 ppm:日本人男性の平均値**
1.6 ppm:日本人女性の平均値**
注:
*胎児影響が疑割れる母親の最小値(11 ppm)を基準にして、十分な安全性を考慮して算出されました(厚生労働省 2005年)
**国立水俣病総合研究センターの全国調査(2000-2004年)




化学物質問題市民研究会
トップページに戻る