Ban Toxics 2009年2月17日 プレスリリース
水銀条約を求めるアメリカをNGOが称賛
情報源:Ban Toxics, 17 Feb 2009 FOR IMMEDIATE RELEASE
Local Group Praise US Call for Treaty on Mercury
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/Ban_Toxics/PR_US_Change_090217.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年2月19日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/Ban_Toxics_090217_US_change.html


 【2009年2月17日 ナイロビ、ケニア】フィリピンの環境団体バン・トクシックス(Ban Toxics)は、今回のアメリカの法的拘束力のある水銀条約を求める表明(訳注1)を称賛する。バン・トクシックスは、現在行われている国連環境計画(UNEP)第25回管理理事会へ参加している世界NGO派遣団の一員である。

 これはアメリカの完全に180度の政策転換であり、オバマ大統領がアメリカの環境政策にもたらした変化の反映である”とバン・トクシックスの代表リチャード・グティエレスは述べた。”我々は8年間、この問題についてアメリカと角を突き合わせてきたが、今、交渉で同じ側の席に座れることができて安堵した”。

 水銀汚染に関する世界の議論は、UNEPが水銀に関する世界評価を打ち上げた2001年に始まったが、そこでは専門家と様々な利害関係者が水銀の発生源とヒト健康及び環境への影響についての世界的な理解に貢献することを求められた。

 環境への水銀の放出により生ずるヒト健康と環境へのリスクを削減するための更なる国際的な行動を正当化するに足る世界中の著しい水銀の有害影響の証拠が十分あるというUNEPの世界水銀評価の結論は、世界のレベルでいかに水銀に対して最善の対処をするかに関する現在行われている交渉に拍車をかけた。

 UNEPの理事アキム・スタイナー博士は開会演説の中で、議論は今週中に山場に達して緊張が高まるとし、第25回管理理事会の5つの成功指標の内のひとつは、水銀により及ぼされる世界の脅威に向けてどのように決定するのかにかかっていると述べた。

 ”今回のアメリカの立場は、ここナイロビにおける議論の状況を真に変えた”とグティエレスは説明した。”我々は、今週が過ぎれば国際交渉委員会に指令が出て、世界は法的拘束力のある水銀条約により近づくであろうことに楽観的である”。

以上

連絡先:
Richard Gutierrez, Ban Toxics!, mobile: +254 716 804 135 (in Kenya), e-mail: rgutierrez@ban.org


訳注1
  • Associated Press, US calls for treaty on mercury reduction By TOM MALITI , 02.16.09, 03:00 PM EST (09/02/18)
    http://www.forbes.com/feeds/ap/2009/02/16/ap6056815.html
     レイフシュナイダー米国務副次官補がナイロビで、法的拘束力のある世界水銀条約に向けて準備ができていると述べたとし、前ブッシュ政権下で自主的取組を主張してきたアメリカが、オバマ政権になって180度の政策転換をしたと米NGOは評価。

  • 環境省報道発表資料 平成20年10月14日「UNEP第2回水銀に関するアドホック公開作業グループ会合」の結果について(お知らせ)
    http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=10283

    イ)法的拘束力のある文書及び自主的取組の強化
     EU諸国、スイス、ノルウェー、アフリカ諸国は法的拘束力のある文書として新規単独条約の策定を支持した。また、中東欧も、単独条約又はPOPs条約新規議定書のいずれを選択するかは地域として合意しなかったが、いずれにせよ、法的拘束力のある文書を支持した。
     一方、米国は自主的取組での対応を支持し、水銀対策のための新規の基金設置を含めた、自主的取組の枠組みを示した。また、豪は、貿易措置以外は自主的取組での対応が可能とし、自主的取組を支持するとした。
     中国は、法的拘束力のある文書の作成は時期尚早であるとし、自主的取組を支持した。また、インドは、長期的には法的拘束力のある文書の必要性は認めるものの、国内法等での措置も可能であり、自主的取組をまず進めるべきとした。
     アジア太平洋地域は、水銀対策の実施のためには資金的・技術的協力が必要であり、法的拘束力のある枠組みであれ、自主的取組であれ、資金的・技術的協力をより強化する選択肢を支持するとした。
     我が国は、水俣病経験国として、世界的な水銀取組の強化、多くの国が参加する枠組みの構築の重要性を指摘し、法的拘束力のある文書の制定と自主的取組の強化を並行して推進することを提案した。
     今次会合では、法的拘束力のある文書及び自主的取組の強化について、各国の意見の隔たりが大きく、合意には至らなかった。このため、支持の多かった、単独条約及び自主的取組の双方について得失を整理し、管理理事会に報告することとされた。



化学物質問題市民研究会
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