デアドラ・イムス環境健康センター 2016年1月16日
大学医療センターにより実施された研究が
子どもの体内にいくつかのホルモンかく乱化学物質を見出す

情報源:Deirdre Imus Environmental Health Center, January 26, 2016
Study Conducted by The Deirdre Imus Environmental Health Center at HackensackUMC
Finds Levels of Hormone Disrupting Chemicals in Children
http://www.hackensackumc.org/mobile/study-conducted-by-the-deirdre-imus-environmental-
health-center-at-hackensackumc-finds-levels-of-hormone-disrupting-chemicals-in-children/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2016年2月29日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/usa/160126_HackensackUMC_Finds_EDCs_in_Children.html

   ハッケンサック大学医療センターにあるデアドラ・イムス環境健康センターにより実施された最近の研究は、子どもの体内に様々な環境化学物質が検出可能なレベルで存在することを明らかにした。50人の健康な思春期直前の患者の研究で、対象者の全員が、その尿中に検出可能なレベルで少なくとも5種類又はそれ以上の内分泌かく乱環境化学物質を持っていることが分かった。これらの子どもたちのほとんど4分の3が8種類又はそれ以上の化学物質を持っていた。この研究は、BioMed Central 出版の 『BMC Endocrine Disorders 2015年12月号』 に発表された。

 ビスフェノールA(BPA)、フタル酸エステル類、パラベン、ノニルフェノール(4NP)、そしてトリクロサン(TCS)のような内分泌かく乱化学物質は我々の体内に浸透している。それらは赤ちゃん用ボトルや食品容器のようなプラスチック製品;殺菌性の手洗い石鹸、練り歯磨き、家庭洗浄用品;そして身体手入れ用品及び化粧品等の中に存在する。以前の研究は、これらの化学物質を小児内分泌障害(訳注1)、及びエストロゲン依存性(訳注2)がんに関連するエストロゲン代謝の変化に関連付けた。

 ”科学はこれらの化学物質がいたる所にあることを確認している”とデアドラ・イムス環境健康センターの創設者であり代表者であるデアドラ・イムスは述べた。”現在、我々はそれらが子どもたちの体内にも存在することを知っている。我々が注力すべきことは、我々の子どもたちの健康を守るために、どのようにすればこれらの暴露を減らすことができるかということである”。

 アメリカでは、がんは子どもと成人の病気による死亡原因の第一位である。子どものがんは1975年以来着実に増大しており、特に精巣及び卵巣の胚細胞腫瘍(訳注3)が多い。さらいくつかのに研究は、思春期早発症の発生が、特に少女に増加していると結論付けている。これらの発症は両方とも、内分泌かく乱化学物質を含んで、環境的要因に関連付けられている。

 特に注目すべきことは、この研究の子どもたちの3分の1近くが尿中に測定可能なレベルのノニルフェノール(4NP)を持っており、この新たな発見はこの化学物質の存在と影響に関してもっと多くの研究の緊急な必要性を示唆している。ノニルフェノール(4NP)は、洗剤、プラスチック、ゴム及び、整髪料を含む身体手入れ用品の製造に用いられている。これは、アメリカの子どもたち中のノニルフェノール(4NP)について、知られている限り初めて発表された研究である。

   テストされた化学物質とエストロゲン代謝との関連は何も見出されなかったが、子どもたちの大部分の尿中に多数の化学物質が存在していたことは、特に小児内分泌障害の増加を考えると大きな懸念である。

 ”この小規模ではあるが革新的な研究は、化学物質がどのように思春期の前及び後の両方で子どもたちに影響を及ぼすのかを正確に理解するために更なる研究が必要であることを強調している”とこの研究の主調査者であり Whole Child Center の創設者である小児科医師ローレンス・ローゼン博士は述べた。

 ”我々の日々の環境中にある内分泌かく乱物質に関するこの研究に参加くださった家族の方々に感謝申し上げる”と、この研究の主著者であるエリン S. イドは述べた。”子どもの健康を守ることは当センターの使命の中心である”。


訳注1 こどもの内分泌疾患 診断基準など/日本小児内分泌学会

訳注2 エストロゲン依存性とは?

訳注3 胚細胞腫瘍とは/国立がん研究センター 小児がん情報サービス

訳注:関連情報
ChemicalWatch, 18 February 2016, Endocrine disruptor 4NP found in children's urine. Variation in occurrence and levels of oestrogenic intermediate demand more research, say scientists.



化学物質問題市民研究会
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