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Chemical Brain Drain - News 2019年5月20日 水銀:石炭から脳へ 情報源:Chemical Brain Drain Website - News 20 May 2019 Mercury - from coal to brains By Philippe Grandjean, MD http://braindrain.dk/2019/05/mercury-from-coal-to-brains/ 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2019年9月3日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Mercury_from_coal_to_brains.html 2009年に国連参加国はこの有害な金属による汚染を管理し最小にすることに合意した。その合意は、メチル水銀が数千人の人々に中毒をもたらし、子どもたちの脳に深刻なダメージを引き起こした日本の漁村の名前に因んで水俣条約と名付けられた。 アメリカは、その条約を批准した最初の国であり、アメリカにおける最大の汚染源である石炭炊き発電所からの水銀排出を抑制する計画を直ちに発表した。それにもかかわらずアメリカ環境保護庁(EPA)は現在、石炭産業と時代遅れの発電所の支持を受けてその立法を弱めることを提案している。 水銀研究者らは、この書簡にあるように精力的に反対している。EPA の提案は恣意的で気まぐれであり、科学的知識と矛盾している。現在 EPA は水銀のリスク評価を再検証すると発表している。参照用量(reference dose)と呼ばれている現在の暴露限度は2001年に決められ、それは人々に対して保護的ではないと批判されているので、それは確かに期限切れのものである。 ある書簡の中で研究者らは、徹底的で丁寧な評価を実施し、子どもたちの脳の発達への有害影響に関する最近の 12の研究を考慮するよう EPA に勧告している。さらに、いくつかの変化が子どもたちを脆弱にしているので、水銀限度は保護のために低くする必要があるとしている。 メチル水銀は、ほとんどが魚の摂取に由来するが、その目的は、海産物の摂取を制限することではなく、水銀の蓄積が少ない食物連鎖の下位の魚から重要な栄養素を得ることである。そうでないと、水銀は魚を含む健康な食物からの利益を排除することになるかもしれない。 EPA の提案は石炭燃焼からの水銀汚染の増加を許すものなら、暴露制限の改正にとって理想的な時期ではないかもしれない。再度、疑問が浮かび上がる。短期的な利益は、科学と将来の脳の保護をそこなうことにならないか? |