グランジャン博士のウェブサイト
Chemical Brain Drain - News 2015年1月7日
水中のマンガンによる脳汚染

情報源:Chemical Brain Drain Website - News
7 January 2015
Manganese in water drains brains
By Philippe Grandjean, MD
http://braindrain.dk/2015/01/manganese-in-water-drains-brains/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2015年1月13日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Manganese_in_water.html

sWaterFaucetEarth-300x248.jpg(3331 byte)
【2015年1月7日】マンガンは、確かではない健康への重要性が考えられているが、その水汚染は、洗濯物を汚ごし、また飲料水の味を悪くする。2011年に世界保健機関(WHO)は、飲料水中の最大マンガン濃度(400μg/L という過大なレベル)のガイドラインを中止することを決定した(訳注1(参考:日本の水質基準))。”この健康に基づく値は通常、飲料水中で見られるマンガン濃度より十分高いので、それは公式のガイドラインから導き出す必要はないとみなされている”とWHOは結論付けた。しかし、新たな研究がこの決定は早急に修正する必要があることを示唆している。

 モントリオール大学の研究者らは、6〜13才のケベックの子どもたち375人を調べ、家庭の水道水及び子どもたちの髪の毛のマンガン濃度を測定した。子どもたちの神経発達に影響を与える他の要素を調整した後、水道水及び髪の毛の両方のマンガン濃度は、子どもたちの記憶力と注意力テストの点数に強い否定的な関連性を示した。水中マンガン濃度の高位レベル20%に暴露した子どもたちは、低位レベルに暴露した子どもたちに比べて記憶力機能が8%低下していた。これらの発見は、以前のWHOの濃度限界よりはるかに低い世界中で一般的に遭遇する濃度でのマンガン暴露による脳の化学物質汚染を示唆している。

 この研究は、飲料水のマンガン汚染は健康に有害であるという既存の証拠を支持するものである。他の新たな研究はさらに懸念をもたらす。新たに発表されたブラジルの二つの研究もまた、鉄マンガン・プラントの近くにある地域社会の学童に神経毒影響の兆候があることを発見している。ひとつの研究は行動障害に焦点を当て、特に少女は高いマンガン暴露で注意力欠如の大きな問題を持つことを発見した。もうひとつの研究は、神経心理学テストによって、高い暴露を受けた子どもたちに知能指数の欠如とその他の有害影響があることを見出した。マンガンは、既に化学的脳汚染物質であるとみなされている。新たなデータは、産業汚染によるものであろうと、地中の鉱物からの浸出によるものであろうと、世界中で一般的に起きる高められたマンガン濃度で引き起こされる有害影響を示している。水からマンガンを除去する安価な方法が利用できる。たとえ WHO が何もしなくても、発達中の脳はマンガンの毒性から守られねばならない。

訳注1:水道法による水質基準(日本)

化学物質問題市民研究会
トップページに戻る