グランジャン博士のウェブサイト
Chemical Brain Drain - News 2014年12月5日 温室農薬 情報源:Chemical Brain Drain Website - News Greenhouse pesticides, 5 December 2014 By Philippe Grandjean, MD http://braindrain.dk/2014/12/greenhouse-pesticides/ 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2014年12月7日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Greenhouse_pesticides.html
アンデルセン博士は、1997年〜2001年に、母親たちを募集し、彼女たちの農薬への職業暴露に関する詳細な情報を得た。女性らのある者は、温室から離れた場所にある事務所で働いていたので暴露しなかった。妊婦とその胎児は、ダメージを受ける可能性のある暴露から高いレベルの保護を受けていたので、この研究は複雑なものになった。デンマークの法律によれば、職業暴露を受ける女性は、妊娠したことがわかった時点で速やかに暴露を受けない仕事に替わるか、有給休暇を取らなくてはならない。現代の農薬は体内に長らくとどまることはないので、どのような暴露も、妊娠の最初の数週間に限られた。 結局のところ、女性らは203人の子どもを出産し、その約3分の2は現在、学童年齢で検査を受けている。研究者らは、脳の機能のどのような欠陥をも調査するために、神経心理学的なテストを使用し、潜在的な能力を誘発した(聴性脳幹反応)。発表されたばかりのヘル R. アンデルセン博士の結果は、悪いことに、このような高いレベルの保護があっても、胎児の脳の発達については不十分であることを示唆している。 112人の出生前暴露の子どもたちを暴露していないコントロール(21人+44人の追加コントロール)と比較すると、誘発された潜在的能力は暴露した子どもたちに遅れがあり、暴露した少女らに神経心理学的機能の減損が見られたが、一方少年にらには影響は見られなかった。最も明確に影響を受けた機能は、言語と動作速度であるが、同様な傾向は少女らの他の脳機能にも見られた。 どのような個別の農薬も暴露関連の欠損の主原因として特定できるかどうかという疑問がある。残念ながら現代の暴露は複雑で、温室の作業者は 124種の異なる活性成分に対応する約200種の異なる農薬調剤を散布している。どれが犯人かをこの研究から割り出す方法はない。 研究者らは以前に、農薬暴露した女性は内分泌かく乱の兆候を示したことを発見した。これらの女性の血清は、より大きなエストロゲン(女性ホルモン)活性を有し、エストロゲン受容体により大きく作用した。したがって農薬毒性は、体内のホルモン活動への干渉を通じて作用するかもしれない。このことは、なぜ影響が少年には出ずに、少女にそのように強く出るのかを説明することができたであろうか? アメリカ及びEUで一般的に使用されている農薬クロルピリホスに出生前に暴露させたマウスに関する最近の研究は、脳機能は二つの性において同じようには影響されるわけではないことを示したが、それはおそらくこの農薬が内分泌かく乱物質であるからである。これらの実験データは、少女の方が少年よりある農薬に対してより脆弱であるかもしれないという意見を支持するものである。 かくして、この新たな報告書は、例え安全であるとみなされる条件下においても、現代の農薬への職業暴露は次世代の脳にとっては安全ではないという懸念を加えるものである。 |