グランジャン博士のウェブサイト
Chemical Brain Drain - News 2014年6月2日
フッ化物:歯にはよいが脳には悪い

情報源:Chemical Brain Drain Website - News, 2 June 2014
Fluoride - good for teeth, bad for brains
By Philippe Grandjean, MD
http://braindrain.dk/2014/06/fluoride-good-for-teeth-bad-for-brains/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2014年6月9日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Fluoride_good_for_teeth_bad_for_brains.html

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【2014年6月2日】 1900年代中頃の研究が、子どもたちが飲料水中に多すぎない(多いと歯の成長に悪影響を及ぼすかもしれない)フッ化物を含む地域に住んでいると、虫歯がより少ないということを明らかにした。これらの観察により歯科医師らは、”最適”量がわからない時に、飲料水中にフッ化物を添加することを推進し始めた。米・疾病予防管理センターは、疾病予防の主要な勝利であるとして地域の水へのフッ化物添加を歓迎した。

 50年あるいはそれ以上前のデータが、まだ妥当かどうかには議論がある。虫歯の発生は多くの国で、またフッ化物がなくても低減している。フッ化物入り練り歯磨きがおそらくその理由の一部であり、それらは標的(歯)に直接、保護剤(フッ化物)を適用するという長所がある。それにもかかわらず、水へのフッ化物添加は虫歯を防ぐのに最も効果的な公衆衛生措置であるとして、多くの歯科医師により、いまだに歓迎されている。

 有害影響の証拠もまた不明確であり、特に有毒かもしれないフッ化物の用量に関してもそうである。高いフッ化物濃度の水とIQの低下に関する主に中国からの研究についての最近のあるレビュー及びメタ分析(訳注:グランジャン博士が主著者)は、大きな反響を呼び起こした。新聞は報告書の結論を不正確に引用し(訳注:Fluoridated water and brains / Chemical Brain Drain, 11 February 2013. 後日紹介予定)、ある主要誌は、その間違った主張のいくつかは宣伝であるということが明らかになった時には、報告書を取り下げることを決定した。水へのフッ化物添加についての明らかな賛成者からも反対者からも、間違った声明がなされた。

 幸いなことに、この論争は、高いフッ化物暴露のIQへの可能性ある影響に関する研究への新たな関心に拍車をかけた。ニュージランドのダブリンでひとつの研究の結果が発表された。1972-1973 年に生まれた1,000人近くの対象者からのIQデータが利用可能であり、質問票のデータはフッ化物含有の練り歯磨き又はフッ化物錠剤の過去の使用を含んでいた。居住情報は、対象者の99人はフッ化物添加水の地域には住んだことがなく、22人はフッ化物含有練り歯磨きを使用したことがなかったことを示していた。研究者らは、フッ化物暴露指標に関連するIQ、及び38歳におけるIQに関して、どの様な相違をも見出さなかった。その報告書は、狭い曝露範囲内で、そしてフッ化物暴露の不正確な分類を考慮して、検出可能であったはずのフッ化物影響の大きさを考慮していない。統計的信頼限界は、彼らの調査結果は2〜3のIQポイントの損失を排除することはできなかったということを示唆している。それにもかかわらず著者らは、西欧における同様な集団には有意な影響は存在しないということを一般化できると結論付けている。

 彼らの結果を支持して著者らは次のように書いている。”地域の水へのフッ化物添加の広範な実施又はフッ化物含有練り歯磨きの世界中での導入の後、劇的な歴史的なIQの減少は見られていない。その代り、1900年代中頃以来世界中の国で相当なIQの増加を歴史的ないくつかの比較が報告している”。それにもかかわらず、この混乱した独立要素の関連性をどう判断するかを決めることは難しい。それでもニュージランドの歯科医師たちは次のような助言を提言している。”科学者と政策策定者は、証拠が存在しない時に因果関係ありとすることには慎重になる必要があることを思い起こすべきである”。

 全くその通りであるが、我々はまた、有害影響は、たとえ特定の研究、特に弱いか又は有用な情報がないとみなされる研究で実証されることができなくても、存在するかもしれないということを思い起こすべきである。



化学物質問題市民研究会
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