グランジャン博士のウェブサイト
Chemical Brain Drain - News 2015年3月4日
大気汚染は脳の発達を損なう

情報源:Chemical Brain Drain Website - News
4 March 2015
Air pollution harms brain development
By Philippe Grandjean, MD
http://braindrain.dk/2015/03/air-pollution-harms-brain-development/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2015年3月11日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Air_pollution_harms_brain_development.html

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 トラックからの大気汚染は子どもの脳の発達を損なうことをスペインのバルセロナからの新たな研究が示している。研究者らは2,700人の小学校児童の調査で、大気汚染の度合が高いほど、脳の機能の発達が遅れることを見出した。子どもたちは 1年間、3か月毎にコンピュータ化されたテストを受けた。テストは、7〜10歳時に急速に発達する記憶力と注意力持続時間の機能を反映した。全ての子どもたちは、テスト期間中に得点を上げたが、学校で大気汚染に暴露した子ども達は発達が遅れる傾向があった。この研究は昨日、主要な科学誌である『PLoS Medicine』に発表された。

 最も高く汚染された学校の子どもたちは、テスト期間中に記憶力が平均7.4%上昇したが、汚染の低い学校の子どもたちは11.5%の上昇を示した。学校の中庭と教室の中で、様々な大気汚染が測定された。元素炭素(煤)、二酸化窒素、及び超微粒子数の全てが、子どもたちの能力に悪い影響を及ぼすことを示した。研究者らは他の重要な要素を考慮に入れた。両親の教育、通学時間、家庭の喫煙、学校の緑地空間などである。

 以前の調査と動物モデルは、脳機能への悪影響を示していたが、今回の新たな研究は前向き(prospective)研究であり(訳注1)、したがって、より説得力がある。さらに、その結果は、学童年齢における発達は大気汚染により悪影響を受けるかもしれないことを示している。バルセロナの大気汚染は、ほとんどがトラックの排気ガスに由来するが、世界中の子どもたちは、今回化学的脳汚染に関連することが示された大気中の煤、二酸化窒素、及び超微粒子を吸っている。


訳注1
前向き研究(prospective study)・後ろ向き研究(retrospective study


化学物質問題市民研究会
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