グランジャン博士のウェブサイト
Chemical Brain Drain - News 2014年9月12日
アフリカの子どもたちの脳が危ない

情報源:Chemical Brain Drain Website - News
African brains in danger, 12 September, 2014
By Philippe Grandjean, MD
http://braindrain.dk/2014/09/african-brains-in-danger/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2014年10月2日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/African_brains_in_danger.html

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【2014年9月12日】化学的脳汚染は他の諸国よりアフリカで、はるかに大きなであり、また今後もそうなるであろう。”現在、アフリカの子どもたちの健康に努力を向けることが重要である” と、今週の初めにルクセンブルグでの会議で、神経毒性学の開拓者であり教授であるピーター・スペンサーは述べた。スペンサー教授によれば、アフリカの子どもたちに努力を向けるの必要があるのは、ふたつの理由からである。

 ひとつは、アフリカの女性の出生率(しゅっしょうりつ)が高いということである。UNICEF の新たな報告書によれば、今日、アフリカ人のほとんど半分が18歳以下である。2020年までに、アフリカは世界の全ての子どもたちの40%にとって故国となるが、その比率は1950年にはわずか10%であった。2050年までに、子どもたちの数はほとんど10億人にまで増大しているであろう。今世紀中には、世界の子どもの約半数はアフリカ人となるであろう。

 同時に多くの地域でアフリカは、栄養不良、伝染病、食料不安、そして天然及び人工の有害化学物質への暴露のような、多様な問題に苦しんでいる。後者には、有害金属農薬、そして脳の発達や神経系機能に影響を与えるかもしれないその他の有毒物質等がある。

 さらに、普通の食物中に他の神経毒性化合物が存在する。 キャッサバは、サハラ砂漠以南のアフリカ地域の大部分、8億人以上の人々にとって重要な主要産物である。特に、苦い栽培品種は、もし食する前に塊茎が処理されなければ、シアン化水素を放出するシアン発生性配糖体(cyanogenic glycosides)を含んでいる。これらの物質への長期的暴露は、cassavism、konzo、又は mantakassa など、様々な名前で呼ばれる神経系への慢性毒性を引き起こす。それだけでなく、エチオピアやその他の諸国で一般的に食されるグラスピー(grass pea)は、脳に不可逆的なダメージを引き起こすことができる有毒化合物を含んでいる。グラスピーとキャッサバの両方は、貧しい人々の主要な食料産物の役目を果たす環境的には許容される植物である。さらに、新たに認められた神経系の疾病−うなずき病(Nodding Syndrome)(訳注1)は、現在、食物汚染を含んで、原因物質に関する調査が行われている。

 これらの理由で、神経毒性研究はアフリカで非常に必要とされており、他のどこよりも予防的な取り組みが大きな影響を与えるであろう。


訳注1
うなずき病(頷き病)/ウィキペディア
 アフリカ東部で近年発見された奇病。1980年代にスーダンで発生したとされるが、類似の症例が1960年代に報告されていたとも言う。致死的であり、心身に障害を起こし、小児児童しか発症しない。現在のところ発症が見られるのはスーダン南部とタンザニア、ウガンダの狭い地域に限られる。



化学物質問題市民研究会
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