モンガベイ(Mongabay) 2022年2月2日
世界がプラスチック廃棄物に溺れる中、
国連は世界条約を打ち出すべき

チャールズ・ペコウ
情報源:Mongabay, 2 February 2022
As world drowns in plastic waste,
U.N. to hammer out global treaty
by Charles Pekow
https://news.mongabay.com/2022/02/as-world-drowns-
in-plastic-waste-u-n-to-hammer-out-global-treaty//


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2022年2月17日
更新日:2022年2月23日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_22/220202_Mongabay_
As_world_drowns_in_plastic_waste_UN_to_hammer_out_global_treaty.html

  • 地球環境におけるプラスチック廃棄物の蓄積を何年にもわたって無視してきた後、国連環境会議(U.N. Environment Assembly)は、世界のプラスチック汚染を管理する最初の国際条約を起草することを期待して、本年2月と3月に会合を開催する。

  • 廃棄されたプラスチックは現在、海洋生物を殺し、食料安全保障(food security,)を脅かし、気候変動に寄与し、経済に損害を与え、土地、水、大気、さらには人間の血流さえも汚染するマイクロプラスチックに分解している。

  • 国連加盟国は、彼らが書く条約がどれほど包括的であるかについて議論するであろう。例えば、それは海だけを保護すべきなのか、それとも地球全体を保護すべきなのか? それは主に再利用/リサイクルに焦点を当てるべきなのか、それともプラスチック製造とサプライチェーンと廃棄物の流れの全てのステップを管理すべきなのか?

  • 米国は、ドナルド・トランプ大統領下でのそのような条約への反対からジョー・バイデン大統領下での支持にその立場を変えたが、協定で何を望んでいるかをまだ明確に述べていない。環境 NGOs が包括的な条約を推進している一方で、規制を支持していると言うプラスチック企業は、おそらく条約の範囲を制限したいと思うであろう。

 2月末に、国連環境総会(United Nations Environment Assembly, UNEA)は、世界中のプラスチック汚染を管理するための画期的な条約の創設という困難な課題に取り組む。ほとんどの国が参加に同意しているが、そのような協定の範囲とタイミングは決まっておらず、多くの諸国、環境 NGOs、プラスチック業界は、何を含めるべきかについて大きく異なる考えを表明している。

 しかし、太平洋ゴミベルト(Great Pacific Garbage Patch)や世界で最も遠く離れた沿岸部や海岸(most remote seaside beaches)が廃棄物に溺れている多くのメディア画像で、誰でもが今こそ行動すべき時であることに同意している。”プラスチックの生産量が増え続けることで、大量のプラスチック廃棄物の生成[問題]をもたらし、その増大はラスチック廃棄物を効果的に管理する社会の能力を超えている”と国連の基調報告(baseline report)は 2020年に警告した。


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街路で廃棄されたプラスチック廃棄物。米国国立科学アカデミーによると、毎年少なくとも880万メートルトンのプラスチック廃棄物が世界の海に流入している。これは、プラスチックのごみ収集車を 1分海に投棄することに相当する。Image by Justin Bautista via Unsplash.
 全ての情報源を集計すると、”世界中で、毎年少なくとも 880万トンのプラスチック廃棄物が世界の海に流入している。これは、プラスチックのごみ収集車を 1分毎に海に投棄することに相当する”と、12月に発表された米国国立科学アカデミー(NAS)の重要な報告書は結論付けている。 同報告書によると、2016年には、米国は他のどの国よりも多くのプラスチック廃棄物を生成し、全ての欧州連合(EU)加盟国を合わせたものを上回っていた。

 米国議会は NAS にその調査を委託したが、その報告書は米国は 2022年末までにプラスチック廃棄物に対処するための国家戦略を確立し、2025年末までに進捗状況を評価することを提案した。NAS 報告書を作成したアカデミー委員会の議長を務め、現在モントレーベイ水族館の首席保全科学責任者であるマーガレット・スプリングは米国が現在、プラスチック環境ガイドラインの策定に EU とカナダに遅れをとっていることを認めている。中国は 2018年にプラスチック廃棄物の輸入を禁止し、2025年までに特定のプラスチックを段階的に廃止する計画を立てた。



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各国はどのくらい使い捨てプラスチック廃棄物を生成している? 2019年に特定の国で1人あたりに発生した使い捨てプラスチック廃棄物(キログラム) SImage courtesy of Statista.
 米国国立科学アカデミー(NAS)の調査は、結論に達するにあたり、米国の連邦データに依存し、海洋に焦点を当てていたが、その専門家は、プラスチックの問題は地球の海をはるかに超えて広がっており、プラスチック廃棄物の管理を目的としたイニシアチブが成功するためには、地球規模の方法論と協力に基づく必要があることに同意している。

 プラスチックで最も汚染しているのはどの国かについて、生産又は使用が勘定に入っているかどうか、又は EU がひとつの実体と見なされているかどうかによって、数値が異なる。たとえば、中国はプラスチック生産の約 30%を占めているが、世界の使用量の約 20%にすぎない。世界的に、ほとんどのプラスチックは中国、西ヨーロッパ、及び米国で製造及び使用されている。

 ”この[NAS]レポートは、知識のある人々はすでに知っていたことをまとめたものである”とスプリングは述べている。彼女はさらに、”[これまでに]設定されていないのは世界的な目標である”と付け加えた。これは、国連のプラスチック条約が取り組むべきことである。

暴走するプラスチック危機

 推定量はさまざまであるが、国連の数字(U.N. figures)によると、人類は年間 5,000億個のビニール袋と 1,700万個のプラスチック製石油容器を使用している。毎年約 1,300万トンのプラスチックが海に流れ込み、プラスチックは毎年10万頭の海洋動物を殺している。

 10月に発表された別の国連報告書(Another U.N. report)は、”プラスチック生産は過去数十年で指数関数的に増加した。現在、年間約 4億トンにのぼる。しかし、製造されたプラスチックの推定 12%が焼却され、推定 9%がリサイクルされている。残りは埋め立て処分されるか、海洋を含む環境に放出される。意味のある行動をとらなければ、水生生態系へのプラスチック廃棄物の流入は、2016年の約 1,100万トンから2040年の約 2,900万トンへとほぼ 3倍になると予想されている”。

2019年の国際環境法センター(Center for International Environmental Law)の報告によると、このプラスチックは全て気候変動にも大きく影響を及ぼしている。”現在のレベルでは、プラスチックのライフサイクルからの温室効果ガスの排出は、地球の気温上昇を 1.5°C [2.7°F]未満に保つ世界のコミュニティの能力を脅かしている。石油化学及びプラスチック産業が生産の大幅な拡大を計画しているため、問題はさらに悪化する方向に進んでいる”と報告書は述べている。


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インドネシアのプラスチック汚染と稚魚。
水生生物によって摂取された、又は絡み合ったプラスチック廃棄物は、しばしば致命的である。 たとえば、ウミガメはビニール袋を食べることのできるクラゲと間違える可能性がある。 WWFによると、世界のカメの 52%がプラスチック廃棄物を食べていることを調査が示唆している。
Image by Naja Bertolt Jensen via Unsplash.
 各国は別として、世界のどの企業が最も廃棄されたプラスチックを生産しているのかを知るのは難しい。 NGOで”プラスチック汚染のない未来を描く世界的な運動”と称する Break Free from Plastic(BFFP)は、ボランティアが収集した具体的な企業を特定できるプラスチックごみに基づいた年間見積もり(annual estimate)を発表している。その測定結果によれば、ジャンクフード容器が問題の大きな部分を占めているが、最終的に上位の汚染者はコカコーラ、ペプシコ、ユニリーバ、ネスレ、 プロクター・アンド・ギャンブルである。

 しかし、BFFP の見積もりは、45か国で有名商標名のゴミを示しているが、埋め立て地や焼却炉に、又は単一繊維(訳注:釣り糸や漁網などに使用される)や漁網の細片のよう水域に、最終的に行き着くものではなく、発見できる識別可能なゴミのみの集計であることは、明らかである。また、順位付けはプラスチックメーカーを考慮していない。 (完全開示:この記事の著者は、コカ・コーラ社の退職金口座の株式を保有している。)

動画:We've breached the threshhold(我々は限界を超えてしまった)

 食品容器から漁具に至るまで、廃棄されたプラスチックは世界中の海岸で洗い流され、海洋生物に食べられ、船舶の航行を妨害し、イクロプラスチック廃棄物に分解されて食物連鎖に入り込み、さらにはそれが大気にまで舞い上がり気候変動に影響を及ぼしている可能性がある。


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トロピカル・パラダイス? ゴミが散らかったビーチ。 砂と混ざり合ったマイクロプラスチックは目に見えず、これは予期しないさまざまな影響を与える可能性がある。 たとえば、砂と混ざったマイクロプラスチックがウミガメの営巣ビーチの温度を上昇させているかどうかを判断するための研究が進行中である。 ウミガメの性別は気温に依存するため、地球温暖化(及び場合によってはマイクロプラスチック)が世界の営巣ビーチの気温を上昇させるにつれて、より多くのメスが孵化する。 今日、世界中の多くの営巣ビーチで、メスはオスを 3対1 で上回っている。Image by Dustin Woodhouse via Unsplash.
 ”プラスチック汚染は、北極圏の遠く離れた海岸から海の最深部まで、今ではどこにでも見られる。年間最大 1,200万トンのプラスチックが海洋環境に流れ出し、生物多様性を損ない、食料安全保障、持続可能性、及び人間の健康に脅威を与えている”と環境調査エージェンシー(EIA)は 2020年に報告した

 昨年10月に発行された国連環境計画(UNEP)の報告書は、廃棄物条約の緊急の必要性に言及している。 ”プラスチックは、海洋ごみの中で最も大きく、最も有害で、最も残留性があり、海洋廃棄物全体の少なくとも85%を占めている”とし、”[プラスチックを適切に処分する]ノウハウはあるが、増大する危機に立ち向かうためには、政府による政治的意思と緊急の行動が必要である”と付け加えた。

今後の挑戦的な交渉

 2014年に設立された国連環境総会(UNEA)は、ケニアのナイロビで隔年で開催される。以前の UNEA 会合で、代表団は国際的なプラスチック協定の必要性について議論したが、前進する方法について合意することができなかった。しかし、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、フェロー諸島、グリーンランド、フィンランドの自治州であるオーランド諸島の議会の連合である北欧理事会(Nordic Council)がそのような協定の作成を求めた2019年に、国際的な勢いは大きく後押しされた。

 その結果、2月28日から3月2日まで開催される予定の今年の総会予定表で目立つように取り上げられているのは、世界初のプラスチック条約の枠組みの開発である。総会は、特に含まれるべきもの、そして含まれないものに焦点を当てるであろう。

 過去に交渉された国連環境条約は、国境を越えた大気汚染から有害廃棄物(プラスチックを含む)の国境を越える移動、労働災害まで全てを対象としているが、プラスチック条約プロセスの基礎となるものはあまりないかもしれない。アムステルダムに本拠を置き、世界の海域からプラスチックをなくすことに取り組む NGO である Plastic Soup Foundation によると、”それぞれが独自の焦点を持っている既存の条約はどれも、プラスチック・スープを封じ込めて戦うために必要な包括的な議論の適切な基盤ではない。"

 国連環境総会(UNEA)は、ひとつの枠組みに到達するために 2つの競合する草案を検討する予定である。ルワンダとペルーが後援するより包括的なものは、生産から廃棄まで世界中のプラスチック汚染に対処するであろう。もうひとつは、日本が後援しているもので、海洋と使用の終了(end-of-use)に焦点を絞っている。

 今月、世界各国の代表者が集まる中、プラスチック製造者や石油会社(石油系原料をプラスチック製造のために提供)が関心を持ち、成果に影響を与えることを期待して参加することを望んでいる。


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川のほとりにプラスチックが山積み
この廃棄物の多くは、河口や海洋に流され、時間の経過とともにマイクロプラスチックに分解される可能性がある。マイクロプラスチックの環境への影響については、調査が開始したばかりである。
Image by Alexander Schimmeck via Unsplash.
 プラスチック業界は、ビジネスにあまり干渉しない限り、協定を支持する用意があるように見える。ワシントンD.C.に本拠を置くプラスチック産業協会は、モンガベイに次のような声明を伝えた。”我々はプラスチックの環境中への漏出をなくそうとする国際的な共同作業を支持する。我々は柔軟で地域の状況に関連する解決策を推奨し、プラスチック業界を専門家及びパートナーとして扱うことを求める。特にサプライチェーンにストレスがかかっているときに、材料が世界中を流れる能力を妨げるような厳しい制限をしないよう警告する。さらに、プラスチックの生産又は消費の制限は間違ったアプローチであり、それは性能又は持続可能性のが劣る劣る製品の使用を奨励することになり、その結果世界的に大きな経済的損害をもたらすと我々は信じている。”

 プラスチックメーカーを代表するロビー活動グループである米国化学工業協会(American Chemistry Council/ACC)のプラスチック担当副社長であるジョシュア・ヴァカ(Joshua Baca)も、モンガベイに”ACC は、プラスチック廃棄物を排除し、より循環的な経済への移行を加速するための条約の交渉を完全に支持する”と述べた。昨年9月、ACC は、国際化学工業協会協議会(International Council of Chemical Associations)及び世界プラスチック評議会(World Plastics Council)とともに、各国のニーズを満たし、”廃棄物収集へのアクセス”を改善し、設計とリサイクルを革新するための国家の”柔軟性と支援”を含んで、協定のための一連の原則に合意した。



Plastic in the world: Plastic production by region in 2019 (in percent). Image courtesy of Statista.
 ACC は、2020年 12月に米国議会が Save Our Seas Act 2.0 を可決したときにその願いの一部を達成した。これは、プラスチック廃棄物から海洋を保護するために 2018年に可決された法律のフォローアップである。企業は法案に反対せず、そしてドナルド・トランプ大統領もまたその法案に署名した。その法案は業界を規制せず、リサイクル、再利用、危険性の低い製品の製造に関する政府支援の研究を求めるだけであったからである。 (当然のことながら産業界は、その研究のために自己資金を使うのではなく、政府にそのお金を払わせることを喜んだ。)

 一方、議会は、現在及び以前の立法会議で導入されたプラスチック汚染からの脱却法(Break Free from Plastic Pollution Act)に基づいて行動していない。その法案は使い捨てプラスチックの生産に制限を課し、再利用とリサイクルの要件を追加するはずであった。

 世界自然保護基金(世界自然保護基金/WWF)は、2020年に、”プラスチック汚染に関する国連条約は、企業と環境に利益をもたらすであろう”と示唆した。主にコンプライアンスのコストと活動を標準化することにより、”プラスチックのバリューチェーン全体で公平な競争の場を作り出すことができる”と同 NGO は示唆した。

以下追加(22/02/23) new_3.gif(121 byte)
関係諸国の準備

 欧州連合と 48か国は、昨年9月の国連の[海洋ごみとプラスチック汚染に関する]閣僚会議で、”この課題のさまざまな側面に単独で適切に対処できる国はない”と述べ、プラスチック管理条約の必要性を承認する協定に署名した。したがって、プラスチックのライフサイクルに沿った悪影響に対処するための調整された行動を含む国際協力のためのバランスの取れた枠組みを確立し、地域及び国家の状況、ならびに開発途上国の特定のニーズを考慮に入れることを約束する必要がある。 最終の集計では、英国及び全ての EU 加盟国を含め、81か国が署名した(訳注1)が、米国や中国は署名しなかった。また、WWFグローバル・プラスチック・ナビゲーターによると、161か国が関心を表明している。

 米国はこの国連文書に署名していないが、ジョー・バイデン大統領の政権は、トランプ政権の立場を覆して、条約の創設に参加することに同意した。 (大統領交代前は、プラスチックの最大の汚染者のひとつである米国は、規制に積極的に反対した数少ない国のひとつであり、国際交渉プロセスを後退させた。)

 バイデンの署名が遅れた理由のひとつと、2022年1月中旬の時点で政権が世界的なプラスチック管理政策を明確に表現できなかった理由のひとつは、複雑である。国務省から環境保護庁、米国海洋大気庁に至るまで、12の連邦機関が米国の立場を決定する役割を果たしている。

 国務省はモンガベイへの声明の中で、執行に関する米国の立場や、合意が海洋又は全てのプラスチック汚染に焦点を当てるべき程度などの問題について”議論するのは時期尚早”であると述べた。しかし、声明は、米国が”革新的であり、さまざまな国の状況を説明する必要がある”、”最も必要としている国が潜在的な解決策を実施するための財源を確保する必要がある”と述べ、ある程度の柔軟性を望んでいることを示した。

 国務省は、米国国立科学アカデミー(NAS) の調査結果と推奨事項を検討していると同時に、プラスチックのライフサイクルの全ての側面を検討するために協定が必要であると述べ、各国に”プラスチックのライフサイクルへの影響を減らすサーキュラーエコノミーアプローチ”を検討してもらいたいとし、一部の国では、”プラスチックの生産と消費に対する制限が含まれるかもしれない”と述べている。


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現代の都会人への警告:今日我々が廃棄する大量のプラスチック廃棄物は、何世紀にもわたって環境に生き続ける。
”プラスチックは分解するのに500年かかる”
Image by Jon Tyson on Unsplash..
 1月のブログ投稿で、海洋国際環境科学局の次官補であるモニカ・メディナは、”我々の水路及び海に流出し生物多様性を損なうプラスチック汚染の猛攻撃に対処するためのグローバルな解決策を模索すること”を含んで、同局の4つの優先事項を挙げた。

 多くの国際的な環境団体は、厳しい米国の姿勢に強く反発している。 ”我々は何百もの政府、企業、NGOs、その他の利害関係者らに会話を前進させるよう説得してきた”と、グリーンピース USA の海洋キャンペーン・ディレクターであるジョン・ホセバーは述べている。 ”我々はまた、バイデン政権に世界的な脅威についてキャンペーンを行うようにとの圧力を少しかけている。”

 ”我々は、企業にたいして販売及び生産するものに責任を持たせ、使い捨てプラスチックからの移行と再利用への移行を行う必要がある”とホセバーは述べている。 ”政府は企業を規制する仕事をしていない。”

 国連環境総会(UNEA)が今後数か月で決定するものが何であれ、”この条約の良い点のひとつは、企業や政府への目覚めの呼びかけであるということである。彼らは皆、今生じている変化を見ることができる。今すぐ行動を開始するように促す必要がある。解決策に取り組み始めるための条約が採択されるまで待つ理由はない”とホセバーは述べている。

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バルバドスのビーチクリーンアップ中に見つかった使い捨てのペットボトルの山。このようなクリーンアップの取り組みはよく意図されており、問題を認識させるための良い宣伝を提供するが、プラスチック汚染の流れを食い止めることはできない。これは、ソースとサプライチェーンに沿って行う必要がある。Image by Brian Yurasits via Unsplash.

今後の困難な仕事

 今後の国連総会に何を期待できるであろうか? 何が続くのか? 当面の目標は、条約草案を作成するための政府間交渉委員会の設立である。

 国連環境計画(UNEP)のインガー・アンダーセン事務局長はモンガベイへの声明のなかで、”加盟国が真の違いをもたらす前進の道を決定すると確信している”と述べた。目標は、2024年の次の UNEA 総会で条約の文言を完成させることである。”これは、この重要な環境問題を進展させる緊急性についての加盟国の理解を反映して、非常に野心的な時間枠になる。”

 アンダーセンは、加盟国は、条約が海洋又は世界的な投棄に焦点を当てる程度と、協定の資金調達方法を徹底的に議論する必要があると述べている。しかし、彼女は、”生産から廃棄、そして現在世界の生態系に存在する既存のプラスチックの漏出の削減まで”、プラスチックのライフサイクル全体をカバーする必要があると主張している。

 各国が処分を過小評価するリスクについて尋ねられた彼女は、”これは加盟国がさらに検討するための重要な問題である”と答えた。他の多国間環境協定について”疲労感の報告(reporting fatigue)”を表明する国々があった。”これは、最適なレビュープロセスを評価する際に真剣に留意する必要がある。”


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バングラデシュのダッカの埋め立て地。 ”プラスチックの生産量が増え続けることで、プラスチック廃棄物の重大な[問題]が発生し、それを効果的に管理する社会の能力を上回った”と、2020年に国連ベースラインレポートが警告した。Image by MARUF_RAHMAN via Pixabay.

 既存の国際協定は、執行と報告の問題に関するいくつかのガイダンスを提供することができる。しかし、合意は、彼らの最善の利益が”新しいグローバルプラスチックサーキュラーエコノミー”を中心に展開することを説得力のある国々に強調し、強調を”施行から、協定を実施することが全ての人の利益になる可能性のある環境の構築に”切り替える必要があるとアンダーセンは述べた。

 米国や他の国々は、迅速かつ断固たる行動をとる必要性に熱心に取り組んでいるように見える。国務省はモンガベイに宛てて、次のように述べている。”これは緊急の問題であり、緊急の注意が必要である。 交渉に何年も費やすことはできない。我々は、UNEA 5.2 [来たる2月から3月の会議]で政府間交渉委員会を設立し、2024年までに交渉を終了することを支持する。これは、現在提案されている[日本とペルー/ルワンダ]の決議ではまだ予定されていない UNEA 6 の目標と一致しているかもしれない。” 世界的なプラスチック汚染の潮流がますます高まる中、時間が重要である。


訳注1
訳注:参考情報


化学物質問題市民研究会
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