マウイ・ニュース 2021年11月27日
【コラム】 2022年にマウイ郡で使い捨て
プラスチックに別れを告げよう

マイケル・ビクトリーノ(マウイ郡長)

情報源:The Maui News November 27, 2021
Let's bid farewell to single-use plastics
in Maui County in 2022

MICHAEL VICTORINO (Maui County Mayor)
https://www.mauinews.com/opinion/columns/2021/11/
lets-bid-farewell-to-single-use-plastics-in-maui-county-in-2022/


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2021年11月29日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_21/211127_Maui_
Lets_bid_farewell_to_single-use_plastics_in_Maui_County_in_2022.html


この動画は参考用に訳者がネット上の動画のひとつにリンクを張ったものでオリジナル記事にはない。

 ほとんどのベビーブーム世代は、1967年の映画「卒業(The Graduate)」の象徴的なシーンを覚えているであろう。ダスティン・ホフマンは、将来を描けない大学卒業生を演じている。パーティーで、家族の友人が彼の将来をアドバイスするために彼を脇に連れて行く。 ”プラスチック”と彼は耳元でささやく。少し間を置いて、彼は続ける。”プラスチックには素晴らしい未来があるよ。考えておきたまえ。”

 50年後には、プラスチックは技術の驚異から世界で最も使用されている材料のひとつになっていた。しかし、安価に製造でき、廃棄も簡単なプラスチックは、固形廃棄物システムを窒息させ、世界の海を汚染する世界的な呪いになっていた。

 マウイ島(Maui)(訳注1)、プレフロードのマウイ郡埋立地を車で通り過ぎると、ゴミで高く盛り上がる”オパラ山”が展望できる。ここで”ゴミを捨てた”後に何が起こるかを思い起こすと暗い気分になる。島には”離れた”場所はない。ゴミは正に我々の裏庭にとどまり、さらに悪いことに、海に流れ込む。

 ハワイは海流の真ん中にあり、浮遊する海洋ゴミ(主にプラスチック)を太平洋ゴミベルト(the Great Pacific Garbage Patch)(訳注2)に運ぶ。プラスチックは分解しないため、ますます小さな破片になる。これらのマイクロプラスチックは、色彩豊かな「プラスチックの砂」で我々のビーチを彩り、また海洋中で幼生の魚の餌になる。ある動物が別の動物を食べることにより、マイクロプラスチックは食物連鎖で人間にまでたどり着く。つまり、アヒ・ポケ・ボウル(訳注:ハワイ料理)でマイクロプラスチックを食べることになる。

 昨年法案 52を可決したマウイ郡評議会に感謝する。現在は郡条例 5084 と呼ばれ、2022年1月1日以降、マウイ郡全体で使い捨てプラスチック食器の販売と使用が禁止される。これは、お気に入りの持ち帰りレストランや小売店でポリスチレン製の食品容器、プラスチックフォーク、スプーン、ナイフ、プラスチックカップ、プラスチックストローが利用できなくなることを意味する。

 使い捨てプラスチックの終焉は、利便性の終焉ではない。紙、植物でんぷん、竹、サトウキビまたは他の堆肥化可能な材料から作られた堆肥化可能な器具を使用することができる。慣れるのに少し時間がかかるかもしれないが。それは絶対に価値がある。

 ”リデュース、リユース、リサイクル”というスローガンを耳にしたことがあるかもしれない。環境・持続可能性部門を管理するタマラ・ファーンズワースは、リデュースとリユースはひとつの理由で、リサイクルの前にあると強調する。

 ”発生源で廃棄物を減らすことが最も重要である。不必要に廃棄物を出さないで”と彼女は述べている。 ”再利用が2番目になる。使い捨ての飲料水ボトルを詰め替え可能なボトルに交換すると、年間 1,000本以上のペットボトルが埋め立て地や海に入るのを防ぐことができる。このような小さな個人的な行動が大きな影響を与える。”

 何世紀にもわたって、マウイ・ヌイ(訳注3)には固形廃棄物処理の問題はなかった。ひょうたん、ココナッツの殻、木、竹などの天然の堆肥化可能な材料が料理や食事に使用された。目的を果たした後、それらは土地に戻され、自然の土壌に分解した。ピーク時にあったのは”ゼロ・ウェイスト”であった。

 プランテーション時代、島の労働者らは彼らの昼食を再利用可能な”カウカウ缶”(訳注4)に詰めた。これらの2段構造のランチ缶は、下に米のご飯を、上においしい民族固有のおかずを入れていた。それらは丁寧に洗浄され、毎日再利用された。カウカウ缶は、今日のプレートランチ(訳注5)の前身であり、分解しないポリスチレン・クラムシェル容器(訳注6)ではない。プランテーションの家族は、ドレスやエプロンにする布製の米袋をはじめ、何でも再利用した。習慣になる可能性のある小さな変更を加えることで、マウイ郡では、現在でも”ゼロウェイスト”の達成を目指すことができる。今から始めよう。持ち帰り食品の店を頻繁に訪れる友人への素晴らしいクリスマスプレゼントをお探しなら、ゼロウェイストで環境に優しい食器キットを検討されてはどうか?。今後のホリデーパーティーでは、通常のプラスチック製の食器を捨てて、再利用可能な食器、カップ、調理器具を選ぶことができる。

 今が1月の変更に備える良い時期である。自分の”再利用可能な器具”のセットを集めて、バンダナまたは布ナプキンで包み、車、ハンドバッグ、またはオフィスに用意しておこう。食べたら、洗って乾かし、次の食事に備えよう。

 プラスチックにはもはや大きな未来はない。今こそ、使い捨てプラスチックを過去に置き去る絶好の機会である。マウイのプラスチック禁止の詳細については、mauicounty.gov / PlasticFreeにアクセスしてください。

 *マウイ郡マイケル・ビクトリーノのコラム「我々の郡」では、郡の問題と郡政府の活動について説明している。このコラムは、隔週で「評議会の3分」と交互に表示される。


訳注1:マウイ島
訳注2:太平洋ゴミベルト(Great Pacific Garbage Patch)
訳注3:マウイ・ヌイ
  • マウイ・ヌイ(ウィキペディア)
     マウイ・ヌイ(Maui Nui)または大マウイ(Greater Maui)は、先史時代のハワイ諸島に存在した島である。この名称は現代の地質学者が与えたもので、「ヌイ」はハワイ語で「大きい」を意味する。マウイ・ヌイは7つの盾状火山によって形成され、現在はマウイ島を含む4島に分裂している。
訳注4:カウカウ缶(Kau Kau Tin)
訳注5:プレートランチ
訳注6:クラムシェル容器


化学物質問題市民研究会
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