Packaging Europe 2021年10月12日
果物と野菜のプラスチック包装
フランスでは禁止になる


情報源:Packaging Europe, October 12, 2021
Plastic packaging for fruit and vegetables
to be banned in France

https://packagingeurope.com/plastic-packaging-
fruit-and-vegetables-banned-in-france/


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2021年11月月1日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_21/211012_
PE_Plastic_packaging_for_fruit_and_vegetables_to_be_banned_in_France.html

 フランス政府は、2040年までに段階的に廃止される使い捨てプラスチックで循環型経済[訳注1]を創出することを目的とした廃棄物防止法の一環として、2022年1月1日から果物と野菜のプラスチック包装での販売を禁止する計画を発表した。

 廃棄物防止法は 2020年初頭に施行され、最初の段階はグラス、カップ、皿などの使い捨て食器と綿棒の販売を禁止した。 2021年、フランス政府は、プラスチック製のストロー、使い捨てカトラリー(フォーク・ナイフ類)、スターラー、持ち帰り用飲料カップの蓋、ポリスチレン製ボックス、プラスチック製紙吹雪を禁止することでこの法律を拡大した。

 フランスの廃棄物防止法の次のステップでは、重量が 1.5kg未満の果物と野菜のプラスチック包装が禁止される。これは 2022年1月1日に発効するが、政府は法律が 2026年6月30日まで徐々に適用されるため、メーカーは包装戦略を変更する時間がある。フランス政府によると、包装在庫の処分には 6か月の猶予期間も認められる。

 この法律に含まれる野菜には、リーキ、コショウ、キュウリ、ジャガイモ、トマト、タマネギ、カリフラワー、スカッシュなどがある。リンゴ、ナシ、バナナ、オレンジ、キウイ、レモン、メロン、パイナップル、マンゴーも、廃棄物防止法の追加の対象となる果物の一部である。

 レタス、ほうれん草、アスパラガス、きのこ、チコリについては、プラスチック包装の段階的廃止の期限は短くなり、禁止は 2024年12月31日までに完了することになっている。トマト、桃、ネクタリンには 2023年6月30日という短い期限が適用される。

 新法には 2つの免除がある。すなわち、ひと山 1.5kg以上で販売される果物と野菜、及び、まとめて販売されると劣化のリスクがある果物と野菜である。ラズベリー、イチゴ、スグリ、ブルーベリーは、成熟時に摘み取られた熟した果実とともに、後者の分類に含まれる。レンズ豆や大豆などの製品も免除される。

 フランス政府はこれらの禁止の結果として、年間 10億包装の削減を見込んでいると述べている。同政府は現在、新鮮な果物や野菜の 37%がプラスチックで包装されていると推定している。

 再利用を促進するために、フランスの廃棄物防止法は、容器が清潔で購入した製品に適しているなら、再利用可能な容器を小売店に持ち込んで商品を購入することを消費者に求めている。

 フランス政府は、2021年8月に施行された気候変動レジリエンス法(Climate and Resilience Law)[訳注2]の一環として、2030年までに中型および大型製品の 20%をまとめて販売し、プラスチック包装の必要性を削減または排除することを目指している。これは、2023年までに包装の 5%を再利用し、2027年までに 10%を再利用するという廃棄物防止法の目標を補完するものである。

 2022年には、フランスのスーパーマーケットの棚から非生物分解性のプラスチック製のお茶やハーブのティーバッグが取り外されるなど、廃棄物防止法のさらなる変更が予定されている。同国の外食産業も影響を受ける。2022年に食事付きのプラスチックゲームの配布が禁止され、2023年以降、レストランは施設内で提供される食事や飲み物のための使い捨ての大皿を再利用可能なものに交換する必要がある。

 出版物や広告も2022年からフランスの廃棄物防止法に従いプラスチック包装なしで出荷される。

 ヨーロッパの政府は、プラスチック廃棄物の課題に対処するためにさまざまな対策を講じている。フランスが実施したもうひとつの取り組みは、HolyGrail 2.0プロジェクトである。このプロジェクトでは、コペンハーゲン市で行われている現在の準工業的試験が成功した場合、2022年前半に電子透かし製品が店頭に導入される可能性がある。

 一方、プラスチック業界の代表者は最近、欧州連合(EU)に対し、2030年までに欧州市場で販売されるプラスチックのリサイクル含有量目標を30%に設定するよう求めたが、これにはバリューチェーン全体で責任を共有していないという批判もある


訳注1:EU 環境型経済
訳注2:気候変動レジリエンス


化学物質問題市民研究会
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