HEAL, 2021年9月2日
NGOs は化石燃料企業が後援するメディア主催の
イベントでの講演招待を辞退


情報源:Health and Environment Alliance (HEAL), 2nd September 2021
NGOs to refuse invitations to speak at fossil-fuel sponsored media events

https://www.env-health.org/ngos-to-refuse-invitations-
to-speak-at-fossil-fuel-sponsored-media-events/


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2021年9月月20日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_21/210902_HEAL_
NGOs_to_refuse_invitations_to_speak_at_fossil-fuel_sponsored_media_events.html

 欧州の主要な市民社会組織16団体[1]は、化石燃料企業が後援する EU 政策に関するメディ主催のイベントでの講演への招待を受け付けないことを、欧州の 3つの報道機関の編集者に宛てた本日付けの公開書簡訳注1]で、発表した。

 Fossil Free Politics のコーディネーターであるララ・ハクマ・ダドゥチ(Lala Hakuma Dadci)は、次のように述べた。”家が燃えているときは、家を取り囲んで見物している、マッチを擦って焚きつけに着火した人々から忠告を、特にその忠告が焚きつけやマッチの種類を調べるという場合、聞いても無駄だ。化石燃料企業は、気候とエネルギーに関する EU の議論の条件を自分たちに合った方法で設定し、自分たちを中心に据える戦略の一環として、メディアが主催するイベントを後援する。彼らは信頼できるニュースブランドの信頼性を利用して、EU の意思決定者に近づき、気候変動を防ぐために必要な緊急の行動を遅らせる。

  この書簡は、Politico Europe(ポリティコ・ヨーロッパ)、 Euractiv(ユーラクティヴ) 及び the Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)の編集者に宛てたものである。これら 3つの報道機関は全て、過去12か月間に、EUの意思決定者を巻き込み、化石燃料企業からの支援を受けて、EUの気候とエネルギー政策に関する討論やイベントを主催してきた。

 英語でイベントを開催する他の報道機関は、公開書簡の署名団体が知る限り 2020年又はは2021年には化石燃料企業の支援を受けてそのようなことをしていなかった。

 これらのイベントでは、スポンサー企業の代表者が基調講演者になる特権をしばしば持っているおり、したがってパネリストに問題の組み立てを危うくする。パネリストには、欧州委員、欧州議会議員及び気候とエネルギー政策の分野に責任を持つ EU当局者が通常は含まれる。

 これまでに 2020年と2021年に化石燃料企業が後援する 29 の EUメディアイベントがあり、これらのイベントのパネリストのうち 50人は、EUの高官であった。

 グリーンピースEUの気候とエネルギーのキャンペーン担当者であるシルビア・パストレリは、次のように述べた。”私たちは、自由で独立したメディアが極めて重要であると信じている。 気候と生態系の危機に関するタイムリーで正確な報告をヨーロッパの人々に提供するこれらの報道機関のジャーナリストたちが行った優れた仕事は、悲しいことに同じ報道機関の他の部分が石炭、石油、ガス企業に表彰台を進呈することにより損なわれる。化石燃料企業は、EUの意思決定者や一般市民に私的利益を宣伝するために、世界的な気候変動を犠牲にしてもこれらのイベントを利用している。私たちの参加によってそれを正当化しようとすることを拒否する。

 環境団体 Fossil Free Politics (脱化石燃料政策)は、EU のメディア主催のイベントを監視し、化石燃料のスポンサーとして発表された場合は、EU 及び市民社会のパネリストに連絡して、これらの気候破壊企業のグリーンウォッシング(訳注:環境配慮をしているように装いごまかすこと)やロビー活動に加担しないために参加を取りやめるよう要請する。

1公開書簡の署名団体
  • Fossil Free Politics
  • Alter-EU
  • CIDSE
  • Corporate Europe Observatory
  • Counter Balance
  • European Federation of Public Service Unions
  • Food and Water Action Europe
  • Friends of the Earth Europe
  • Global Witness
  • Greenpeace
  • HEAL
  • Naturefriends International
  • Transport & Environment
  • Youth for Climate
  • WWF European Policy Office
  • 350.org (9月1日14:15に追加)


訳注1:公開書簡日本語訳(参考)

オリジナル:NGOs to refuse invitations to speak at fossil-fuel sponsored media events
Open letter to the editors of EURACTIV, The Financial Times, and POLITICO Europe, Brussels, 2 September 2021


NGOs は化石燃料企業が後援するメディア主催のイベントでの講演招待を辞退する
EURACTIV、The Financial Times、POLITICOEuropeの編集者への公開書簡
ブリュッセル、2021年9月2日

拝啓

 気候変動対策と気候正義のためのヨーロッパの運動家として私たちは、化石燃料企業の支援を受けてメディア組織が主催する EUの政策に関するイベントで講演する招待を受け付けなくなることをお知らせします。

 以前のタバコ産業のように、化石燃料産業にとって、イメージが全てです。正当なパートナーと見なされ、気候危機の解決策の一部と見なされることが重要です。あなた方のようなメディアが主催する注目を集めるイベントを後援することにより、化石燃料業界は信頼性と過度の影響力を得るためのプラットフォームを購入しています。

 虚偽情報がソーシャルメディアに広まり、広告と社説のコンテンツを区別することがますます困難になる時代において、私たちは、自由メディアが民主主義と言論の自由を支持するために果たす重要な役割を持っていると固く信じています。

 しかし、化石燃料業界にメディアプラットフォームを後援させても、客観性の追求は提供されません。気候危機を加速し、気候行動を弱体化させることに対する石炭、石油、ガスの利益の継続的な役割は意見の問題ではなく、業界が会話を組み立て続けることを可能にすることは、地球の温暖化を自然と社会が許容できるレベルに制限するために必要な緊急のステップを遅らせるのに役立つだけです。

 何百万人もの気候変動に抗議する学童たちの言葉を借りれば、私たちの家は燃えています。そして、化石燃料産業はガソリン缶を手にしています。化石燃料企業が公開討論の条件を設定し、意思決定者の近くに位置するための戦略の一部としてメディアプラットフォームの信頼性を利用するとき、あなたは彼らが火に燃料を注ぐのを助けています。

 読者やイベント参加者に、化石燃料業界の支援を受けて開催するイベントに私たちの組織が欠席している理由を知らせるために、この手紙を公表していただければ幸いです。また、化石燃料企業の支援を受けてイベントを開催しないことで、化石燃料の影響という陰湿な問題にさらに取り組むことをお勧めします。
敬具  


化学物質問題市民研究会
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