EcoWatch, 2020年11月3日
新たな研究によれば
アメリカはプラスチック廃棄物の生成で世界の首位に

オリビア・ロザンヌ
情報源:EcoWatch, November 3, 2020
U.S. Leads the World in Plastic Waste, New Study Finds
By Olivia Rosane
https://www.ecowatch.com/world-plastic-waste-leader-us-2648607158.html
#:~:text=The%20U.S.%20Environmental%20Protection%20Agency,
U.S.%20plastic%20is%20accounted%20for.


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2020年11月11日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_20/
201103_EcoWatch_US_Leads_the_World_in_Plastic_Waste_New_Study_Finds.html


 米国は世界一のプラスチック廃棄物の生成国であり、海洋プラスチック廃棄物では第3位である。

 これは、先週の金曜日に Science Advances で発表された、プラスチック危機への米国の寄与をより正確に描くことを目的とした新しい研究の発見である。以前の研究はアジア諸国が海洋プラスチックの大部分に責任があることを示唆していたが、新しい研究は米国が海外に出荷するプラスチックを考慮に入れることによってこの推定を覆した。

 ”何年もの間、私たちが青いごみ入れ容器に出したプラスチックの多くは、米国から送り込まれる膨大な量のプラスチック廃棄物は言うまでもなく、自国の廃棄物の管理に苦労している国々にリサイクル用として輸出されてきた”と、この研究の主著者であり海洋教育協会の海洋学教授であるカラ・ラベンダー・ロー博士は、EcoWatch に送付された電子メールによるプレスリリースの中で述べた。 ”そして、私たちのプラスチック廃棄物のいかに多くが、価値が低く、汚染されており、又は処理が難しいために、実際にはリサイクルできないかを考えると、その多くが環境を汚染することになるのは当然である”。

 米国が大量のプラスチックを生産していることは古くから知られているが、このプラスチックは効果的に管理されていると想定されていた。たとえば、米国環境保護庁(EPA)は、プラスチック廃棄物の 75.4%が埋め立てられ、15.3%が焼却され、9.3%がリサイクルされていると報告しているが、[これらの合計は100%になるので]、これらが米国の全てのプラスチックであるかのように見える。しかし、これは違法なポイ捨てや、プラスチックがリサイクルのために収集された後に何が起こるかを考慮していないと、研究の著者らは指摘している。 2010年の調査では、海洋プラスチック汚染への全体的な寄与で米国は 20位にランクされた。しかし、その研究では米国が発展途上国に輸出したプラスチックは考慮されていなかった。

 新しい分析によると、米国は 2016年に約4,200万トンのプラスチックを生成した。リサイクルのために収集された米国のプラスチックのうち、半分以上が海外に出荷され、その 88%が適切なリサイクルに苦労している国に向けられていた。 さらに、その 15〜25%は汚染されているか、品質の悪いプラスチックであり、とにかくリサイクルするのは非常に困難であった。 これらの数字は、米国が100万トンものプラスチックで外国の海岸を汚染していることを意味する。

 さらに、この論文は、米国内に 98万トンから 126万トンのプラスチックが散らかっているか、違法に投棄されていると推定した。著者は、2016年以降に米国が 225万トンものプラスチックを環境に排出し、そのうち沿岸の生態系に150万トンのプラスチックを排出したと推定した。プラスチック廃棄物の上限の見積もりを使用すると、海洋プラスチック汚染への全体的な寄与の大きさで米国は第 3位に押し上げられる。

 ”これまでの研究は、環境や沿岸地域へのプラスチック排出についての理解に対して世界的な価値をもたらしたが、今回の研究のような詳細な分析は、各国がその寄与の大きさをさらに評価するために重要である”と、研究の共著者であり、ジョージア大学工学部の特別教授(Distinguished Professor)であるジェナ・ジャンベックはプレスリリースで述べている。”米国の場合、私たちが自分たちの裏庭を調べ、世界的なプラスチックのフットプリントに責任を持つことが非常に重要である”。

 この調査は、世界銀行と追加の米国データの両方からの2016年のプラスチック廃棄物データに基づいており、海洋教育協会(Sea Education Association / SEA)、DSM 環境サービス、ジョージア大学及びオーシャン・コンサーバンシー(海洋自然保護団体)によってデータの収集及び分析がなされた。

 調査には関与していないグリーンピースは、EcoWatch に電子メールで送信されたプレスリリースで、同じ著者の多くが海洋プラスチック汚染の原因も調べた 2015年の調査に寄与したと述べた。その研究は、アジア諸国に海洋プラスチック危機の責任を負わせるために企業や政府によって誤って解釈されていたとグリーンピースは主張した。

 グリーンピース USA のグローバル・プラスチック・プロジェクトのリーダーであるグラハム・フォーブスはプレスリリースで、”何年もの間、グローバル・ノース(訳注:欧州、北アメリカ、及びアジアの先進諸国)の企業や政府は、プラスチック汚染危機についてアジアの国々に責任を転嫁をしてきた”と述べた。 ”この包括的な調査により、米国は他のどの国よりも多くのプラスチック廃棄物を生成しており、その膨大な量が私たちの環境に行き着いていることが明らかになった。これは、産業界によるリサイクル基盤の主張が策略であることを証明している。プラスチック生産者及び主要な消費財会社は、アフリカとアジアにリサイクル基盤を構築さえすれば、使い捨てプラスチックを大量生産し続けることができると主張している。米国は比較的しっかりした廃棄物基盤を備えているが、2016年には2010年の推定 5倍のプラスチック汚染が海洋に流入している。米国は他国の問題を非難するのをやめ、使い捨てプラスチックへの依存を断念する必要がある”。

訂正:この記事の以前のバージョンでは、米国が”プラスチック汚染”の主要な発生源であると誤って述べた。 実際には、米国は処分する必要があるが必ずしも環境に入るとは限らないプラスチックの総量として定義される”プラスチック廃棄物”の主要な発生源であり、 ”プラスチック汚染”とは、環境に侵入する不適切に管理されたプラスチック廃棄物のみを指す。

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