Independent, 2020年9月19日
気候変動:
世界のプラスチック廃棄物は 2030年までに
6倍に増えると科学者らが警告

10年以内に、毎年5,300万トン以上の廃棄物が
環境に放出される可能性があることを数理モデルが示す
ハリー・コックバーン
情報源:Independent, September 19, 2020
Climate change: Global plastic waste on course to increase six-fold by 2030, scientists warn
In less than a decade more than 53 million metric tons of waste could be pouring into environments each year, modelling shows
By Harry Cockburn
https://www.independent.co.uk/environment/climate-change-
plastic-pollution-global-waste-environment-b484442.html


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2020年9月25日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_20/200919_Independent_
Climate_change_Global_plastic_waste_on_course_to_increase_six-fold_by_2030.html



 新しい研究によると、世界中の環境に影響を与える膨大な量のプラスチックに対処するための多数の世界的な約束があるにもかかわらず、プラスチック廃棄物の増加は依然として削減努力を上回っており、たとえ政府が既存のガイドラインに固執したとしても、年間のプラスチック排出量は 2030年までに 6倍以上に増加する。

 生成され、我々の地球を汚染しているプラスチックの量を世界規模で分析し、プラスチック汚染を世界規模で削減できる方法を評価し、ビニール袋やストローの禁止などの介入の相対的影響を評価した。

 現在、毎年約 800万トンのプラスチック廃棄物が世界の海洋、湖、川に流入すると推定されている。

 しかし、最新の研究では、新しい数理モデルを使用して、2030年までに 173か国の年間プラスチック廃棄物が 5,300万トンに増加する可能性があると推定している。

  この調査では、次のような既存の緩和戦略を使用して、2030年までに廃棄物を 800万トン以下にするという地球規模の削減目標を達成するために、プラスチックの禁止;廃棄物管理の改善;そして環境浄化を含む将来のシナリオをモデル化した。

 この目標を達成するには、プラスチック廃棄物を 25〜40%削減する必要があり、低所得国では、プラスチック廃棄物管理を 6〜60%増加しなくてはならず、年間のプラスチック排出量の 40%をクリーンアップする必要があることが調査で判明した。

 この研究は、科学者が”ありそうもないシナリオ”と述べたプラスチックの生産と使用の成長が止まらないなら、プラスチック経済の抜本的な変革が不可欠であることを示している。 これは、”使用済みプラスチック製品は廃棄物として廃棄されるのではなく、価値あるものとして利用される”ことを意味する。

 アリゾナ州立大学の保全科学の教授であり、この研究の共同研究者でもあるリア・ガーバーは、次のように述べた。”クリーンアップには多くの注目が集まっているが、我々が現在も大規模なプラスチック生産を行っているという事実はあまり注目されていない

 ”適切なインフラストラクチャがない場合、そのプラスチックは海洋および水生生物の生息地に浸透している”。

 プラスチックは分解が遅く、たとえ分解したとしても、マイクロプラスチックと呼ばれるその一部が水生食物連鎖に入り、最終的には人間に侵入する。

 ”グレート・パシフィック・ガベージ・パッチ(Great Pacific Garbage Patch)”と呼ばれる海に浮かぶ大量のプラスチック漂流物のまだらな帯がカリフォルニアとハワイの間にあり、地球規模のプラスチック汚染の深刻化する危機を具現している。

 この帯は、ウェールズの約 8倍の面積である160万平方キロメートルをカバーすると言われている。

 この調査の著者らは、世界のプラスチック排出量を大幅に削減するには”意味のある政策変更(meaningful policy change)”が必要であると示唆している。

 これには、不要なプラスチックの削減または排除、新しいプラスチック生産のグローバルな制限の確立、プラスチックの回収とリサイクルが可能であることを保証するグローバル基準の作成、およびプラスチック加工とリサイクル技術の開発と規模の増減が含まれる。

 ”米国では、使い捨てプラスチックを大量に消費している”とガーバー教授は述べている。

 ”我々の調査結果が人々にこれらの消費パターンを再考させることを期待している。 ここアリゾナでさえ、我々が行う選択は我々の海の未来に影響を与えるであろう”。

 英国動物虐待防止協会(RSPCA) によると、コロナウイルスのパンデミックに対応するための手袋、使い捨てマスク、および追加の食品包装の生産の増加がすでに野生生物に害を与えているという懸念が高まっており、研究者が警告を発している。

 この研究はサイエンス誌に掲載されている。


訳注:
Science 18 Sep 2020
Predicted growth in plastic waste exceeds efforts to mitigate plastic pollution (Abstract)

Another article on this topic in the same issue of Science is “Evaluating scenarios toward zero plastic pollution”.


化学物質問題市民研究会
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