PHYS.ORG, 2020年2月27日
カリフォルニアの訴訟は
コカ・コーラ、ペプシ及びその他の会社による
プラスチック汚染を標的にしている

ジェームス・レイニー

情報源:PHYS.ORG, February 27, 2020
Lawsuit in California targets plastics pollution from Coca-Cola, Pepsi and other companies
By James Rainey
https://phys.org/news/2020-02-lawsuit-california-plastics-pollution-coca-cola.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2020年2月29日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_20/200227_Phys_org_
Lawsuit_in_California_targets_plastics_pollution_from_Coca-Cola_Pepsi_and_other_companies.html


 企業が生成する廃棄物に対して企業に責任を負わせるキャンペーンが拡大する中、ある環境団体が水曜日(2月26日)に世界最大の食品、飲料、及び消費者製品の会社のいくつかに対し、カリフォルニア州の海、河川及び小川を汚しているプラスチック容器に責任を持つべきと主張して、カリフォルニアの裁判所に訴訟を起こした。

 環境団体「アースアイランド研究所」は、コカ・コーラ、ペプシ、ネスレ U.S.、プロクター・アンド・ギャンブル、及びその他の 6社に対して不特定の損害賠償と環境団体の主張によれば、世界的な汚染危機を引き起こしたプラスチック廃棄物を浄化する命令を求めた。

 サンマテオ郡上位裁判所(一審裁判所)に提訴されたその訴訟は、その種のものとしては初めての訴訟であると信じられている。それは、特に世界の海洋でのプラスチック汚染についての高まる公衆の抗議、及び会社に対して製品の容器に使用する材料に責任を持たせるための州議会及び連邦議会による取り組みに従うものである。

 カリフォルニア州議会は、食品及び飲料生産者に空容器を回収するための計画を実施することを求める、いわゆる拡大生産者責任を課すことになるであろう諸政策を見直している。

 そして上院議員トム・ユーダル(民主党、ニューメキシコ)と下院議員アラン・ローウェンタール(共和党、カリフォルニア)は今月、プラスチック汚染からの脱出法案(Break Free From Plastic Pollution Act)を提出した。それは全国的な飲料容器回収プログラムを創出し、いくつかの使い捨てプラスチック製品を禁止し、プラスチックびん及び容器の製造にリサイクル材料の使用を義務付けることになるであろう。

 ”これは、前例のない我々の海のゴミ汚染についてプラスチック産業に責任を求める相次ぐ訴訟の第一波であると私は信じる”と 「アースアイランド研究所」の理事長であるジョシュ・フロウムは述べた。”これらのプラスチック販売者は、我々の海のプラスチック処分とリサイクル能力は限度を超えており、彼らの製品は我々の水路を汚染しつつ、海にたどり着くことを知っていた”。

 環境団体は水曜日(2月26日)の営業終了間際に訴訟を起こしたので、産業団体であるプラスチック産業協会はコメント要請にはすぐには応じなかった。

 企業及び独占禁止の専門弁護士であるフロウムは、訴訟は初めは”異端”として迎えられるであろうが、その論理はすぐに明らかになるであろうと述べた。”巨大タバコ産業の様に、巨大プラスチック産業も我々の環境を汚染していることを我々は知っている。それは動物の体内にもみられる。我々の体内にもある。それは世界中の海にあり、我々の河川を詰まらせている、そして、この汚染に責任があるのはプラスチック販売者である。”

 プラスチック製造者はかつて、政府規制当局ではなく、市場が彼らの製品の価値を決めるべきであると主張した。彼らは喜んでプラスチック代替品を研究すると述べたが、リサイクルと廃棄物管理の改善もまた汚染危機を解決すると強調した。環境活動家らは、プラスチック容器のわずか10%だけしか新しい製品に再生されていないと言って、その考えを否定した。

 新たな訴訟は、カリフォルニア裁判所がこの論争のために適切な場所かどうかという難題に直面するであろう。カリフォルニアの法律は、”公的不法妨害(訳注:公害等)に対する主張”を認めているが、気候変動に寄与しているとする訴訟に直面している石油会社らは、国内び国際的な会社が関わる主張は連邦裁判所で裁かれるべきであると巧妙に主張した。

 公的不法妨害、表明保証違反、製造物責任の欠陥、使い捨てプラスチック容器により引き起こされる危害の警告の過失及び怠慢などを含む、会社に対する多くの申し立てをその訴訟は対象とする。

 被告のリストは、少なくとも部分的には昨年の夏、51か国で「アーシアイランド研究所」のパートナー組織のひとつにより実施された審査から引き出されたことをその訴訟は示唆している。その調査は、プラスチック汚染の上位10位の生成者には、コカ・コーラ、ペプシ、プロクター・アンド・ギャンブル、モンデリーズ・インターナショナル及びコルゲート・パーモリーブが含まれることを発見した。その訴訟は、ネスレ U.S.、クリスタルガイザーウォーター、クロロックス、マース、及びダノン・ノース・アメリカとともに、これらの会社の名前を挙げた。

 その訴訟は、世界最大の食品・飲料会社としてネスレ、第二位の会社としてペプシを記述している。訴訟は、被告側の会社は合計で、全ての使い捨てプラスチック容器の約15%を生成していると。

 バークレーを拠点とする「アースアイランド研究所」は、シエラクラブの初代事務局長故デービッド・ブラウワーにより創設された。同組織は他の環境団体を育て、資金を提供した。この訴訟では、推定 1億5,000万トンのプラスチックにより引き起こされた海洋環境への広範な被害に言及している。

 汚染は、現在は太平洋ゴミベルト(Great Pacific Garbage Patch)より汚染密度が高いモンテレー湾のような沿岸部から、世界で最も深い地点を含む太平洋渓谷(Pacific Ocean canyon)、マリアナ海溝の最深部まで広がっている。

 現状のペースなら、プラスチックは 2050年までに魚を上回るであろうと推測されている。この合成物質は、海洋動物と海鳥を殺し、平均的な人は週に概略クレジットカード 1 枚に匹敵する約 5グラムのプラスチックを摂取していると推定されるほどに世界の淡水供給を汚染していると非難されている。

 同環境団体は、会社は、プラスチック廃棄物の大洪水に対処するためにリサイクルシステムは不適切であると知っていたのに、リサイクルが汚染問題を解決できるとほのめかしてきたと非難した。

 我々が訴訟で標的にしている製品には、我々がしばしば、わずか数分間しか使用しないプラスチック包装が含まれると「アースアイランド研究所」の法律顧問スモナ・マジュムダールはその声明の中で述べた。

 ”そしてこの包装容器は一世代から次の世代に我々の体を、そして我々の地球を数世紀にわたり汚染する”。

 同環境団体は、彼ら自身のために、そして同団体が支援するいくつかのプロジェクト:the Plastic Pollution Coalition, Break Free From Plastic United States, the International Marine Mammal Project, Shark Stewards and 1000 Fountains.の利益のために訴訟を行なっていると述べた。

 その訴訟は、連邦政府が気候変動を許し、それにより若者の生命、自由、及び財産の権利を侵害したとして 2015年に連邦政府を訴えた同じ弁護士ら Cotchett、Pitre & McCarthy の法律事務所により起こされた。

 米連邦裁判所判事は、「Our Children's Trust」グループによる気候変動訴訟を進める準備を整えた。しかし、1月に控訴裁判所は、地球温暖化に対処するために訴訟は明らかに必要であるが、それは政府の政策部門が決めることであり、裁判所ではないと判決を下した。



化学物質問題市民研究会
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