ECHA 2018年11月22日
意図的に添加されたマイクロプラスチックは
陸上及び淡水環境中に蓄積するらしい


情報源:ECHA 22 November, 2018
Intentionally added microplastics likely to accumulate
in terrestrial and freshwater environments
https://echa.europa.eu/-/intentionally-added-microplastics-
likely-to-accumulate-in-terrestrial-and-freshwater-environments


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2019年1月25日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_18/181122_Intentionally_added_
microplastics_likely_to_accumulate_in_terrestrial_and_freshwater_environments.html

 すでに広く議論されている海洋汚染に加えて、意図的に添加されているマイクロプラスチックは陸上及び淡水環境にもっと関連があるかもしれないという懸念が提起されている。

【ヘルシンキ 2018年11月22日】 ECHA の評価によれば、製品に添加されるマイクロプラスチックは、海洋より陸上及び淡水環境にもっと多く放出され蓄積するらしい。

 ”我々は、とりわけ意図的に使用される化粧品、洗剤、その他の家庭用品、塗料、農業用途から環境中へのマイクロプラスチックの多様な放出源を特定した。これらのマイクロプラスチックの多くは使用場所において洗い流される。EU における廃水処理方式では、これらのマイクロプラスチックは一般的には水生環境に直接、放出されるわけではなく、多くの加盟国中では肥料として農業用土壌にしばしば施される下水汚泥中に濃縮されるらしい。さらに、マイクロプラスチックの肥料及び植物保護製品(農薬)中での直接使用もあると、スペインのランサローテ島で開催された 「 MICRO 2018 マイクロプラスチックの運命と影響」会議で ECHA の上席科学担当官ピーター・シンプソンは述べている”。

 マイクロプラスチックの残留性については深い懸念がある。”一旦放出されると、環境中で数千年と見積もられる半減期をもつ極めて強い残留性がある。このことは、そのような長期間の蓄積と暴露から生じる環境へのリスクを我々は現在評価することができないので、それらの農地での蓄積には懸念があることを意味する”と彼は付け加えた。

 欧州委員会は ECHA に対して、意図的に添加されるマイクロプラスチックのEU 全土での制限に正当性があるかどうか調査するよう要請した。 ECHA はマイクロプラスチックが一旦放出された時に環境に及ぼし得るリスクを評価しており、特に環境中での極端な残留性、及び一旦そこに存在するとそれらを除去することが困難であることに注目している。

 ECHA はマイクロプラスチックに関する制限提案を 2019年の初めに完成させることを予定しており、ECHA の科学委員会(リスク評価委員会(RAC)及び社会経済的分析委員会(SEAC))による意見作成には約 14か月かかるので、委員会の意見は 2020年4月頃に欧州委員会に提出されることになる。

 これとは別に、ECHA はまたオキソ分解性プラスチック(oxo-degradable plastics)によってもたらされるリスクを注視している(訳注1)。

ビデオ:マイクロプラスチックの問題 (ECHA)
https://youtu.be/sl82ZO9AT4Y

背景
 マイクロプラスチックは、径が 5mm 以下のプラスチック材の粒子であり、もっと大きな合成繊維製品を含むプラスチック片の分解を通じて非意図的に形成される。それらはまた、意図的に製造され、特定の目的をもって、例えばフェイシャルスクラブ製品又はボディースクラブ製品中の角質除去ビーズとして意図的に製品に添加される。環境中に一旦放出されると、それらは食物連鎖中に蓄積し、最終的には人間に摂取される。

訳注1
訳注:本記事に関連する情報


化学物質問題市民研究会
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